旬の食材「らっきょう」
写真は、個人出荷者による「らっきょう」である。らっきょうのうち、「洗いらっきょう」と呼ぶもので、生産者が手作業で先端とお尻の部分を切り取り、外皮を1枚剥いて、薄い塩水につける。当市場では昔から1袋2㎏入りの規格でご出荷いただいている。品質に大きく差が出る商品なので全量せり販売だ。高値と安値では3倍以上の値の開きが出ることもある。
土付きらっきょうと洗いらっきょう
らっきょうは写真のような形で収穫されるのが第一段階である。当市場では「土付きらっきょう」という品名で扱い、生産者はこのまま出荷してもよい。だが、それだと値段は安価である。そこにひと手間ふた手間かけて1枚目の写真のように塩水付けにして出すことで価格を大きく上げることができる。これが「洗いらっきょう」だ。
品質基準
「洗いらっきょう」のいいものとはどういうのか。いろいろな要素があって、目利きの八百屋は細かくチェックする。教えてもらったポイントをざっと上げる。
①粒の小さいものの方が値が高い。
手間暇を考えればこれは妥当性がある。2㎏が同じなら、小粒なものほど個数はかさみ、手間にかかる労力と時間は跳ね上がる。そこをしっかり値段で評価してやらねば、小粒は割に合わないものになってしまう。
②色は白いものがよい。
だがこれは技術的にはなかなか難しくて、塩水の濃度によって色の具合が変わってくるのだ。黄色味の強いものは塩分濃度が濃い。その分、たな持ちが良くなる。対して、塩分濃度が低いと白い色を残しやすい。だが、その分たな持ちが悪くなる。ある程度はたな持ちが良く、色も白く残るギリギリのラインはどこかを見定める必要がある。
③切除部分が少ない
土付きラッキョウは頭とお尻部分をちょきんと切られ、外皮を1枚はいで塩水につける。その切る部分が少しであればあるだけ良い。多ければ、最悪、中身が抜けてしまうことがある。だが、切取り部分が小さければ小さいほど作業は難しく時間もかかることになる。
継続のために
この「土付き」から「洗い」にする工程があまりにも手間がかかるので、今では高齢の生産者が数名いるだけになってしまった。この方々が続けられなくなると、もしかしたら地物のらっきょうの文化は廃れてしまうかもしれない。初夏の食卓を彩る日本の食文化だけに、なんとか担い手を確保し、継続していきたいものである。