天地返しと市場の組織論

北陸農政局の調査

 本日、北陸農政局より市場調査のご依頼があり、野菜統括の島田部長とともに面談に及んだ。テーマは二つ。持続可能な物流形態としての循環型パレチゼーションの実態と、有機農産物の取り扱い実態である。有機については別の機会にして、今回はパレットについて書いてみたい。

規格統一は問題ないが運用は至難の業

 パレットの規格統一については全国的にも比較的スムーズに進めることができる。1.1メートル×1.1メートルのサイズは今やスタンダードで問題はない。だが、いわゆるレンタル方式(パレットの集積と回収)がきちんと履行されるかについてはかなり否定的だ。パレット輸送はトラックにそのまま載せられ、そのまま降ろせるから効率的なのであって、市場から外へ流出してしまうと回収が難しくなる。全てを管理するには、専門の人間が張り付かなくてならず、現実的ではない。

天地返しは普及困難

 そこで考え出されたのがいわゆる「天地返し」のフォークリフトだ。到着した荷物のてっぺんに空のパレットを載せ、上下から挟んで180度ひっくり返す大技を繰り出す。積んできたパレットはその場で返却する。その時点では商品の天地が逆さまなので、もう一枚空パレットを載せて再度天地返しする。一見便利そうだが、なかなか手間である。地味に積み替えるのと天地返しとどちらが簡単なのか微妙だ。それより、天地返しすることで大きなダメージを負ってしまう品目が多々あることこそ問題だ。大丈夫なのは芋玉ぐらいで、大根・人参でも無傷では済まない。荷下ろしで農産物にダメージを与えるやり方が支持されるわけがない。かつてのシートパレッ方式も長続きしなかったが、天地返しもおそらく普及しないのではないか。

とはいえ、適応は必然だ

 以上のように現場は決してうまく回っていないわけだが、環境問題が背景にある以上、最終結論は決まっている。通いコンテナ・通いパレットに適応する以外に道はない。むしろ、その管理をしっかりやれる市場しか出荷に価しないという時代に入っていく。うんもチュンもないのである。とすれば、市場運営は一つの企業体で管理する必要がますます強くなっていく。市場の「場」という概念は崩れ、「秩序」をさらに求められる。パレット問題は、突き詰めれば市場の組織体論にも関わってくるのである。