本日、当市場で高松のデラウエアの初せりが行われました。
昨日は香川県「高松市」の小原紅早生の話でしたが、今日の「高松」は石川県かほく市の高松地区のこと。
そこの特産品がぶどう各種です。
特にデラウエアの生産が盛んで、高松は石川県を代表するぶどう産地となり、近年ではルビーロマンを手がける生産者も少なくありません。
その初市。
デラウエアはかなり昔からの定番品なので、初市だからといって別に特別なご祝儀価格がでるわけではありません。
ところがところが・・・
この日最後に競られた特秀2箱(1箱2kg)が1箱3万円ついたのです。
一同「えっ!?」とプチびっくり。
普通なら1箱3000円ぐらいが相場のものですからその10倍がぴょんとついた感じです。
せり落としたのは地元の青果専門商「堀他」の果実部長・松﨑さんでした。
前日に松﨑さんのもとに「高松ぶどうを応援する者」と名乗る匿名の男性から電話がかかってきたそうです。
「コロナ禍で頑張る看護師に感謝を込め、一番いいぶどうを贈りたい。1箱3万円を2箱分買うからせり落としてもらいたい」という話だったそうです。
石川県かほく市の「二ツ屋病院」では80人以上の院内感染者が出るという、石川県最大のクラスターが発生しました。
病院は医療崩壊の危機に瀕しましたが、石川県看護協会が献身的な協力体制を組み、看護師を病院に投入しました。
その甲斐あって、クラスターは封じ込まれたのです。
「看護師に感謝を伝えたい」と話す男性から、代金が松﨑さんの元に郵送されてきたそうです。
松﨑さんは「すぐに届けたいけれど、看護協会は土日が休みで、お届けは月曜日になってしまう。それがなんだか申し訳ない」とおっしゃっていましたが、大変美しくも有り難い話です。
ルビーロマンでも辻口シェフが東日本大震災の時、疎開してきた子供達のために高額で落札依頼をしたことがありました。
ブランド農産物の高値ご祝儀相場も、裏側にこのようなストーリーがある場合、とても感動する秘話になります。
誰かが誰かに愛情を寄せる。
それがこもった贈り物が本当のギフトですね。
匿名おじさん、あなたは素敵な方です。
あっ、なんとなく私のイメージでは「あしなが」おじさんということで、おじさん扱いに勝手にしてしまいましたが、もしかしたら正体はお兄さんかもしれませんね。悪しからず。