8月29日土曜日の体験です。
この日、午後5時より、石川県立能楽堂で開催された「観能の夕べ」に参加しました。
観能の夕べは、能楽(狂言と能)鑑賞する会です。
この日の番組は狂言が「呼声」、能は「鵜飼」でした。
会場はコロナ対策で客席は一つ置きで160人程度の規模でしたが、満員でした。
やっぱり金沢という街は人々の文化レベルが高いのでしょうか。
石川県は能楽(能と狂言のこと)が昔から盛んです。
代々の加賀藩主が宝生流(ほうしょうりゅう)を愛好して手厚く保護したため、加賀宝生と呼ばれるほど能楽の盛んな地となりました。
加賀藩では領民にも謡を奨励したため、金沢は「空から謡(うたい)が降ってくる」と言われました。
この言葉自体、大変小粋な言い回しでセンスに溢れています。
庭師や大工らが高い場所で仕事をしながら謡を口ずさんでいたという様子を表したものです。
能楽がいかに暮らしに根づいていたかを物語ります。
石川県立能楽堂は私の家から歩いて10分とかからない場所にあります。
が、私がここで観劇をしたのは今日が二度目です。
一度目は高校一年の時で、学校の授業の一環でした。
だから自主的な観劇はこれが初めてとなります。
能楽にはまったくの無関心でしたから、私の素養たるや当時の「空から謡が降ってくる」という市民レベルとはまったく違います。
狂言と能を併せて1時間30分ほどのステージでした。
これで料金1000円。
素晴らしいコスパですね。
簡単なあらすじが書かれた紙があったので、狂言はほぼ理解して観ることができました。
普通に面白く、笑えました。
能「鵜飼」のほうは、ぐっすりと寝てしまいました(笑)。
途中、これではいかん!と目を覚ましましたが、周囲を見回しますと客席は7割方が同じようにお休みでした(笑)。
もしかしたら、能の鑑賞はこれでいいのかも?
長唄もそうですが、かなり経験値を踏まないとわからない世界というものがあります。
能の良さは正直言ってまだわかりません。
歌舞伎ならば、単純に「なんという格好良さ!」と感動することもできますが、能は動きがなさすぎます。
表情も乏しいです(っていうか、お面です)。
でも、演者の力量と観る方の鑑賞眼が相俟って、表情豊かな舞いが現れるのだそうです。
深い!
近く、世阿弥の「風姿花伝」も読んでみようと思いました。