
ラーメンチェーンの「スガキヤ」は8月、不採算店や契約満了店を中心に約30店舗を2021年3月までに閉店する予定であるとし、その一環として9月30日を以て北陸地区(石川県と福井県)で展開する9店舗の営業を終了すると発表した。
石川県内ではイオンに4店(加賀の里、小松、松任、杜の里)、アルプラザに1店(津幡)、ドン・キホーテ1店(金沢MEGA)の6店を閉めることになる。
ショッピングモールのフードコートにテナントとして入る方式で、格安ラーメンを売りに拡大してきたが、コロナ禍で商業施設自体の集客も落ち込んでおり、北陸からの撤退を決断したのだろう。
9月末までということで、ラーメン愛好者がSNS上で「いまのうちに!」と盛んに発信している。
最後の一杯を食べそこなうことなかれ、というわけだ。
懐かしい味!
変わらぬ美味しさ!
閉店なんて大ショック!
といった声が閉店を惜しむラーメンファンの間で飛び交っている。
わたしは素直にも、そうかそうだよな、と思ってしまった。
そこで長男を連れて杜の里イオンに行ってきた。
野菜ラーメンを注文した。食べた。
う~む。
そこで私はようやく気付いたのだ。
私にとっては多分これが2度目のスガキヤだと。
あくまでも私個人の好み、ということで正直に言ってしまうと、初回のスガキヤで私は「ああ、ここはもういいな」と思ったのだ、おそらく。
以来、どこで何を食べようかと悩む際の選択肢からスガキヤは無意識に外れ、そのまま数十年が経過し今日に至ったのだ、と、思う。
自分で下した初回のジャッジを忘れ果て、SNS上の評判を見て「俺も今のうちに食べ収めをしなければ」と思い込んで駆け込んだ。
同調心理の成せる技である。
私はそこが恥ずかしい。
たった一度しか食べておらず、しかもその時は低く評価し、さらにそのことをきれいさっぱり忘れてしまったくせに、人々の声を聞くや「あの懐かしい味がもう食べられないなんて!」という気になってしまった。
たかがラーメン一杯の話。
しかし、その根っこはコロナ禍におけるイベント自粛、自民党総裁選における候補者支持にも相通じるところがある。
ワールドカップの時だけにわかラグビーファンが増えたこともどこか通じる。
自分の経験や思考からでなく、ただ大衆がそう言っているからそうなんだ、という。
同調心理は悪いことばかりではない。
今まで知らなかったことを知る機会にもなる。
だが、自分の意思決定のすべてを同調心理にゆだねてはダメだ。
それは自己の喪失、思考停止につながろう。
大げさかもしれないが、スガキヤ撤退でこのような考察に到った次第である。
なお、繰り返しになるが、スガキヤのラーメンに対する評価はあくまで私の個人的な好みである。
