本日、金沢市農業大学の実習生10名が来場した。
卸売市場の流通の仕組みについて研修するのが目的である。
私がその講師として彼らを案内し、説明させていただいた。
金沢市農業大学とは、金沢市が運営する農家の卵の育成機関である。
新規就農希望者を募り、ほとんど費用をかけさせず農業技術について教育を施し、卒業後は農地の斡旋もするなど、担い手作りのための様々な支援をしている。
まったく農業とは縁のなかった人間が一念発起してこの大学に入ってくる場合もあれば、農家の息子が行く行くは自分の農園を継ぐつもりで基本技術を学ぶために入学する場合もある。
いずれにせよ、青果物流通は生産者があってのものであり、私としては全面的に協力しなければと思っている。
しかし、農業の卵たちは卸売市場のことをまったく知らない、もしくは誤ったイメージを持っているのがほとんどだ。
誤ったイメージとは、せっかく青果物を作っても、市場に出すと二束三文で買いたたかれるという類のもの。
キャリアが浅く、規模の小さな個人農家が農業一本で生計を立てることは実際とても難しい。
しかし、それは日本の農業が抱えている根本的な構造が所以であって、卸売市場流通を諸悪の根源にする発想は50年以上前から続く表層的、短絡的な誤認識だ。
金沢農業大学に通う人たちはまだ何も知らない真っ白な状態であるから、正しい知識を持っていただきたい。
最初が肝心である。
だから私はこうした研修を依頼されると(自分でいうのもなんだが、)誠心誠意の案内と説明をさせていただく。
随行してきた職員さんがいつも「ここまでしてくれるなんて」と驚くほどだ。
かつて市場内に食堂が営業されていた時は、会社持ちで朝ごはんを食べてもらうこともあった。
この日も現場1時間、会議室での座学1時間の計2時間の研修をみっちり・・・のはずが話が伸びて2時間30分にわたって学んでいただいた。
ひと昔前に比べれば、現場の社員の生産者への指導力も増してきている。
本当に蚤のようなスピードだが、地元石川で担い手が育ち、増え、その方々が作った農産物をわが市場に出荷してくださり、いずれ年に50%以上が地物で安定的に占められるような市場にしたい。
それが健全な姿だ。
この内容がベストとは決して思わない。
今後も中身については改善していく。
だが、誠心誠意対応させていただく姿勢はこれからも変えずに続けていきたい。