本日、加賀野菜に認定されている「金沢一本太ねぎ」の本年度初荷があった。
初せりにあたり、金沢市の山野市長からはトップセールスを、JA金沢市軟弱野菜部会の副部会長 村田潤一氏からはご挨拶をいただいた。
山野市長は地元の農産物振興にはいつもとても熱心で、何かの折には市場に早朝からかけつけてくださる。
大変ありがたいことだ。
金沢一本太ねぎは1960年代をピークに一世を風靡した根深ねぎだが、風に折れやすく箱詰めするのに長すぎたため生産量が激減した。
しかし、非常にやわらかく美味しいネギであり、すき焼きや鍋物にすると天下一品の風味を醸し出す。
このことから、加賀野菜に認定することで種の保存振興がはかられ今日に至る。
出回りは生産地は金沢市の金城地区、富樫地区。
今後数を増やしながら年内一杯販売される予定である。
一般に、青い部分と白い部分がはっきりと分かれている方が良いとされる。
一本太ねぎには問題もある。
普通のねぎと差別化があまり図られていない。
上述のように風味が完全に違うのならよいが、どうも中途半端なのである。
見た目は普通の白ネギと見分けがつかない。
八百屋の中には「普通のねぎと一緒や」と言う者までいる。
持前のやわらかさがよくわからない、又はアピールしきれていない。
種の継承の仕方が原因の一つかもしれない。
生産農家は自家採種によって種を確保している人が多いと聞く。
自家採種だと、永年の栽培で普通のねぎと“混じってくる”現象が起こる。
畑を分けているつもりでも、少しずつ交配が進むのだ。
そのせいかどうか、「一本太」ねぎであるはずが、太くないネギが目立つ。
太くないので「太」の字を取ろうかと今真剣に検討されている。
そうなれば新名称は「金沢一本ねぎ」だ。
種は金沢市農業センターに昔からのものが保存されている。
もし現場で種の交配が進んでいるならば一度リセットし、農業センター保存の種を使って新たに増やしていく試みが必要かもしれない。
加賀野菜は“いいもの”だ、というのが加賀野菜の父・松下良氏の言葉だ。
これはブランドが生き抜いていく上でシンプルながら一番大事な部分だ。
金沢一本太ねぎが、本来の長所を維持しながら発展継承されていくことを強く願う。