さすが大手メーカーと感心させられたことがあったので記す。
昨年の11月、家のIHクッキングヒーターを買い替えた。
ヤマダ電機に行き、実物を見て、Panasonic製のものを選んだ。
IH調理器は毎日の料理に使う台所の要だから、妻は安かろう悪かろうでは絶対ダメと各メーカーを厳しく比較し購入した。
それなりに大きな出費だった。
取り付け工事はすんなり済んで、まずまず快適な使い勝手のうちに早や一年が過ぎた。
それまで全く問題は生じなかったが、つい先日、大きなトラブルが発生した。
表面のガラス製のトッププレートが大きくひび割れたのである。
何か固い鍋や皿を落としたわけではない。
普通に使っていて、ある日見たらヒビが入っていた。
一応そのまま使い続けることはできた。
しかし、翌日になるとひび割れの数が増えていた。
このまま使い続けるのは危ないし、完全に壊れてしまっては生活に大きな支障が出る。
ヤマダ電機に電話して、修理をお願いした。
原因がこちらの過失にあるならば有償とのことだが、それは仕方ない。
年末に差し掛かり、電気屋も一番忙しい時期だろう。
すぐに修理に来てもらえるかが一番心配だった。
年内に手配できず、壊れたまま年越しというのが最悪のシナリオだった。
それが昨日のこと。
今日、仕事から家に帰ると、妻がニコニコして迎えてくれた。
「お父さん、IH直ったよ」
「えっ?もう修理に来た?」
なんでも、トッププレートが割れるクレームが多発していたらしい。
製品に欠陥があったということか。
原因はプレートだけでなく、基盤にも問題ありと言うことで、そんぐり交換してくれたということだ。
もちろん無償である。
修理に来たのはヤマダ電機ではなく、Panasonicの修理工だった。
「ご不便をおかけして大変申し訳ありませんでした」と丁重に謝られたという。
製品に問題があったのならば、無償で修理するのは当然のことだろう。
ただ、今回の場合は、①迅速さ、②丁重さ の点においてとても感心させられた。
さすが一部上場の大会社Panasonic。
というより、いまだ松下幸之助イズムは健在なり!というところか。
こういう誠実な対応をしてもらえれば、次に何かを買うときも、このメーカーを選ぼうかという気になる。
かつて、FF式石油温風機の不具合で死亡事故を含めての不祥事が起こった時(2005年)、同社は「ナショナルから、大切なお知らせとお願いです」から始まる回収告知のコマーシャルを打った。
それはそれは徹底的な回数だった。
企業に問題が起こった時、隠し事をするとかえってブランドイメージを損なうという経営陣の危機感が根本にあったのだろう。
この対応はその後の日本の企業理念のお手本になったように思う。
業種は違えど、経営する上で大変勉強になった出来事だった。
IH調理器はリコールコマーシャルこそやっていないが、企業の姿勢を感じることができた。