今年は家族で食べるクリスマスケーキを注文するのを忘れた。
中央市場のお客の中には、ケーキ業者(あるいはケーキ屋さんと取引の強い業者)がいて、この時期は逆にこちらへケーキの売り込みをするのだ。
その注文を今年は忘れていた。
まぁ別にいいかと思っていたが、今朝、会社近くのセブンイレブンに寄ったら妙な貼り紙があった。
3種類のケーキの写真があって、“X’masケーキ3種、各限定1個在庫あります”と書いてある。
各限定1個?
予約を受けた品がキャンセルになったか何かだろうかと気になり、店の人に聞いてみた。
「いや、キャンセル品ではなく、純粋に1個ずつ仕入れた」との応え。
コンビニでX’masケーキはそれほど売れないのだそうだ。
毎年それなりの数を仕入れても売れず、大量に廃棄する羽目になる。
だから今年は1個×3種だけ仕入れたと。
何のことはない。在庫ではなく初めから3個の仕入れだったのだ。
そして、こんな年もいいかと思い、私はそのうちの1個を買い受けた。
毎年の馴染み深いケーキ屋のではなく、大手コンビニのX’masケーキがどんなものか、結構楽しみだったりする。
価格も2,000円代でそれほど高くない。
それにしてもセブンイレブン各店が、自己のリスクで仕入れをしているとは思わなかった。
てっきり完全予約制で、注文があった数だけ作るのかと。
ネットでググって調べると、各コンビニは予約と当日売りを併用している。
本部からの圧力は結構きついだの、ファミマは完全予約制にしただのとある一方で、今回のセブンイレブンのように、各種1個ずつしか当日売り分を用意しない店舗も多いようだ。
2019年は食品の廃棄ロスが問題となった。
廃棄による欠損より、廃棄そのものに対する道義的責任が問われる時代である。
目の前を見れば各1個の世界だが、何万店ものコンビニがあれば何万個ものケーキになる。
ミクロを操るマクロの親分がいるわけだ。
ミクロ側の店長さんは、廃棄ロスが出ないよう日々あくせく頭を働かせていると想像すると、なんとも悲哀を感じてしまう。
そうしみじみ思いながら今宵ケーキを家族で食すつもりだ。