大雪によるスーパーの明暗

大雪の影響が尾を引いている。
スーパーによっては、未だに商品が補充されず、棚がガラガラスカスカだ。

金沢にあるスーパーで品薄感が一番強いのはアルビスである。
店舗配送の仕組みに理由がある。
アルビスは富山の小杉に大きな流通センターを持ち、特に10日の商品については一括して小杉センターからの店舗配送に集約されていた。
そこにきての大雪。
小杉からの道路が麻痺し、センターから店舗へのトラックが通行不能となった。
しまいには、センターそのものがパンクし、ベンダーが持ち込んでも受け入れられない状況になったという。
11日は、金沢店舗の青果物については卸売市場からの配送を使ってそれなりに補充が効いたようだが、それでも不完全だった。

対して、同じ富山に本社を構える大阪屋ショップは、アルビスほど深刻ではなかった。
その理由は納入拠点が分散されていたからである。

アルビスが小杉に物流センターを構えたのは物流の効率性とコストダウンを図る優れた戦略であり、このようなイレギュラーな事態は当然想定していない。
なので品切れ続出となったのは不幸という他ない。

マルエーなど地元のスーパーは商品はかなり潤沢であった。
この大雪でスーパーは大きく明暗が分かれたと言える。

また、こうした異常事態では、企業倫理も問われる。
アルビスは丸二日、自社のセンター機能の麻痺で商品を店舗に届けられなかったわけだが、我が社の営業に対し、雪が落ち着いたら止まっていた分も含めて、注文数はまとめて引き取ります、という返事だった。

対して某スーパー●●は、同様に物流麻痺に陥り、我が社の担当者に「この日の分はキャンセルね」と通告してきた。
キャンセル、つまり、仕入れそのものを無かったことにする、というわけだ。

問屋という立場は、発注された商品を欠品なく納入するために、何日も前から準備する。
必要数を揃えられない場合は、他所から高く買い取ってかき集めてでも手配する。
(その分は逆ざやだ。)
それを簡単にキャンセルね、で済ませるのはいかがなものか。

そういう話もある一方で、仲卸・柿良青果の橋本君は、富山の椎茸産地が、自社では出荷便の手配ができないという事情を聞き、でもお客が商品を待っているということで、自分で富山まで椎茸を取りに行った。
今回、雪が一番深いのが富山であり、椎茸の栽培地というのは大概が山奥である。
「まぁ、ちょっとした命がけ」と橋本君は笑って振り返っていたが、本当に殊勝な心がけというものである。

大雪は商売には厄介ごとしかもたらさないが、色々と勉強させられるのもまた真なりである。