金沢を拠点に活動する「VOX OF JOY(ボックスオブジョイ)」のコンサート「This Way」が北國新聞赤羽ホールで開かれた。
VOX OF JOYは中田理恵子さんをトップとする4人のコーラスユニットだ。
中田さんの生徒で組織するコーラス隊「VOX OF JOY Choir(クワイヤー)」に私の妻が加入しており、このステージでも妻はバックコーラスで参加している。
今回は中間30分間にミュージカルを挿入する挑戦があった。
本業の歌とは別枠で30人の志願者を募り、1年間のワークショップ形式で稽古を積んだ。
劇中の音楽は中田さんが作曲したオリジナル曲であり、芝居部分とコーラス部分を融合させて一つの試作品にまとめあげた。
今回のステージを発展させ、再来年にもっと本格的なミュージカルに仕立てたい夢があるそうだ。
コロナ禍で席数を半分に減らし、運営の隅々に到るまで感染対策を徹底させていた。
この苦労は相当なものだったと思う。
コンサートはとても盛況だったし、多くのお客さんは楽しみ、満足して帰途に就いた。
ご盛況おめでとうございます、と申し上げたい。
VOX OF JOYの楽曲のクオリティーは毎度とても高い。
中田理恵子さんは素晴らしい才能と表現力を持ったアーティストだ。
オリジナル曲はどれもいいし、何度聞いても新鮮な感動を得られる。
演奏するバンドもうまい。
とはいっても完全なるプロ集団ではない(と思う)。
キーボードを弾く溝口尚さんは、本業は歯医者さんだ。
ダンスで毎回必ず客演するダンサーのMAIさんとKaNaさんもいい。
中田理恵子さんの音楽に賛同するプロ、セミプロ達が力を貸し、1個のステージが相乗効果的に膨らんでいる。
程よい手作り感があって観客は親近感を覚える。
VOX OF JOYの活動が今後さらに発展し、地元が誇る音楽パフォーマンスユニットになってほしいと心から願う。
そこで最後に一つだけ、勝手ながら苦言を述べる。
私はミュージカルへの傾倒はお勧めしない。
ミュージカルのレベルの低さがステージ全体のグレードを押し下げてしまうように思う。
今は成長期で、将来的に飛躍的にレベルが上がるのか?
否。
ミュージカルは甘くない。
私自身、19歳から27歳までの8年間、今はなき劇団「ネヴァーランド・ミュージカル・コミュニティ」でミュージカルをかじった。
それなりに打ち込んだつもりだが、私など最後まで素人にうぶ毛が生えた程度だった。
(才能がなかっただけと言えばそのとおりではあるが…ほっとけ(笑)。)
VOX OF JOYのステージには歌、演奏、踊り、それぞれ各分野の独立したプロ・セミプロが集ってクオリティの高いものを提供している。
なのにミュージカルという一番複雑な分野にだけ素人をぶっこむ!?
お習い事の発表会ならば無料で披露する限り何をやってもいい。
が、これはまとまった料金を取るコンサートなのだ。
ミュージカルへの進出は中田さんご自身のご意向と聞く。
だが私は、ここに時間と労力を割くくらいなら、もっと歌を聞きたい。
何より中田理恵子さんには新しい曲をたくさん創っていただきたい。
勝手ながら私の希望である。
中田さんが素晴らしいミュージシャンであると敬意を持つが故の。