数年前から爺さま(父)の確定申告の手伝いをするようになった。
手伝いといっても、書類の整理程度である。
爺さまは昔から申告には会計事務所を使っており、書類作成や提出はプロがやってくれる。
したがって、こちらがやることと言えば、申告に必要な証書類(保険料や年金、株式配当など)を揃えるだけだ。
しかし、それがなかなか難儀なのだ。
現在91歳。
歳の割に意気軒高だが、証書の管理は年々苦手になっている。
毎年2月に入ると一度や二度はあれがないこれがないと大騒ぎになる。
婆さま(母)は大いなる被害者だ。
証書はお前が持っていたはずだと怒鳴られる。
毎年、婆さまにとっては憂鬱極まりない時期だ。
証書類は婆さまが管理するものもあるが爺さまが自分でしまってしまうものもあり、どこにやったと怒鳴られても、いやいや犯人は爺さま自身だろうということはよくあるのだ。
そんなプチ悲劇が目に余るので、数年前から書類管理を手伝うようにした。
もう爺さま婆さまは管理をやめて、目を通した証書はすべて私か妻に回せ。
申告の時期が来たら、出すべきものは私が揃えてあげる、と。
それでも爺さまはプライド高く、これこれはわしが管理する!と手放なさないものも未だ多数残っている。
それにしても、申告に必要な証書類がたくさんある。
年金関係、保険関係、医療費関係、株式配当関係、不動産関係…。
私は今年、上記証書類を可能な限り写真に撮って記録した。
かつては毎年数万円を会計事務所に支払っているのを横目で見て「もったいないなぁ、自分で申告書を作ればいいのに」と思っていたが、今となっては絶対に外注がいい。
パターンさえ毎年同じなら私でもできるが、何が必要で何が不要か、新規の条件が加われば私でも判断がつかない。
うちの爺さまは平均的な老人よりも揃える証書は多いかもしれない。
それにしても、過不足なく証書類を集め、それを正しく計上し、申告書類を役所に提出するまでの一連の手続きを、本当に後期高齢者が一人でできるだろうか。
私自身の確定申告より複雑怪奇じゃないか。
世の中の人々はちゃんとやっているのだろうか。
マイナンバーというものを強制的に交付しておきながら、なぜかくも確定申告が複雑怪奇なのか。
大いに理解に苦しむ。
少なくとも、役所からの交付物など、添付・計上する必要性がないと思うのだが。
それはとにかく、うちの親に関しては今年の経験でなんとかパターンを把握した。
昨年は3度ほど爺さまがブチ切れたが、今年は1度半ぐらいで済んだ。
来年はゼロを目標にしたい。
そして、自分の申告はちゃちゃっとスマホで…できるかどうかはやってみてのお楽しみである。