今日は母の83回目の誕生日である。
現在、父91歳、母83歳で二人とも健在だ。
ありがたいことである。
親不孝な私は母の誕生日に何かしてあげた記憶が全くない。
その分、妻と子(母の孫)がやってくれていてありがたい。
写真は20歳になった長男が母(彼にとって祖母)へのプレゼントに買ったものだ。
近所の花屋で鉢植えであつらえてくれた。
花屋は長男を馴染みの客と認識している。
過去に何度も母(私の妻)へ、祖母へ(私の母)と花のプレゼントをしているからだ。
「今日はどなたへの贈り物?」
「あ、祖母です」
「おばあさまお元気?」
「色々ありましたけれど、まあ元気です」
こんな会話を交わしたらしい。
昔のことを思い出す。
確か長男が5歳か6歳の時だったか。
妻の誕生日に、「今日、誕生日だね、今晩どうしようか」などと話していたら、長男がいつの間にかいなくなった。
あれ?どこ行った?
と思っていたら、またいつの間にか戻って来て、いきなり
『ふんっ!ふんっ!』と言いながら、妻に向かって花束を突き出した。
妻はびっくりしながらも「えっ?えっ?ありがとう」と感激していた。
夫婦の会話で自分の母が今日誕生日だということを知り、こっそり家を出て近所の花屋に行って、小遣いで花を買ったのだ。
『ふんっ!ふんっ!』と厳しい表情で拳を突き出していたのは、彼なりの照れだったのだろう。
長男と近所の花屋さんとの付き合いはここから始まった。
母はもらった花をスマホのカメラで撮影し、小田原の娘(私の姉)にラインで知らせていた。
孫からプレゼントをもらって嬉しくないはずがない。
長男はあまり喜怒哀楽を表に出さないタイプだが、私より遥かに心根が優しい。
私はこんなことを教えられないし、妻が影響を与えたとも思えない。
やはり彼自身が生まれながらに持っているものだろう。
長男はお祝いとしてケーキも買ってきてくれた。
6個買って、ジジババに最初に食べたいのを選んでもらって、残ったのがこの写真である。
お相伴に預かって、美味しくいただいた。