我が社では3月になると新年度に向けて「年度計画」を立てる。
営業部門がやることはシンプルだ。
「自分の担当の野菜・果実を月毎に何トン(何キロ)売って、いくらの売り上げにし、(粗)利益をいくら稼ぐか」だ。
営業マン一人一人が目標数値を出し、それを集積したものが会社全体の営業計画となる・・・はずである。
しかし、すんなりそうなったためしがない。
へんてこりんな数字を出す輩がい〜っぱいいるからだ。
・今年これだけ売れたのに、来年はどうしてこれっぽっちなの?
・こんな高い平均単価、過去20年間で一回もないぜ?
・おめえ、毎年4%しか利益率回せねぇくせに、なんで計画になると7%なんだ?
多分、前年のデータしか参照しないからこんなことになるのだ。
あるいは、上から「お前は○トン、●円やれよ」と言われ、それだけ考えて適当に数字をはめるからこんなことになるのだ。
この年度計画がおかしなものになってしまうと、それ以降続く月次計画、週間計画が全てデタラメになってしまう。
週に一度行われる営業部門に全体の販売会議は週間計画をベースに議論するから、それがデタラメだと会議そのものが全く意味のないものになる。
もういい!各品目の販売計画、俺が作っちゃる!!
と言いたいのをグッとこらえて、もう一回、理屈が通るように組み上げおいで、とやり直しをさせる。
毎年この時期はかなりストレスが溜まる。
ごくごく基礎的に組み立てるだけなら、機械的にやればいいのだ。
その手順は以下の通りである。
ある野菜「A」の販売年度計画の出し方
①ある野菜「A」の過去10年間の月ごとの販売実績(数量、金額、単価、粗利益額)をコンピューターから打ち出す。
②異常な年、異常な値動き、異常な供給過剰、数量不足などは省いた上で、大体の「平年値」というものを考える。
それがいわゆる「平年の実績」である。まずそれを出す。
③それは言わば今まで通りの集荷・販売をした場合の成り行き上の数値に過ぎない。
年度計画ではそこに「背伸び」の値を加える。
10%アップ!と行きたいところだが、どうもそれは全体に課すのは無理なようだ。
5%アップを基本とする。
意欲ある社員、新しい販売プランがある者はそれ以上でも構わない。
これだけだ。
多分、一品目ならば30分あれば出来上がる。
できた計画はそれほど変なものにはならないはずだ。
本当はもっと難しいのだ。
青果物には流行り廃りがある。
たとえば、大根や里芋、白菜などは斜陽品目だ。
長期的に見れば落ち込む運命にある。
10年のデータを取っても、その平均値を取ればいいほど単純ではない。
逆にブドウのシャインマスカットなどはまだまだ伸びる食材だ。
これこそ10年平均をベースにしたらアホかと言われる。
そういう専門的な機微はあるのだが、大筋では上記のやり方でチョチョイとやればそれでいい。
実際の販売でもっと工夫すればいいのであって、スタート前の計画作りはある程度手抜きでやってもいいのだ。
ただし、成長姿勢は崩してはならん!
今まで、この程度も教わらず何年も経った営業マンがいるということだ。
嘆かわしい・・・ことはない。
むしろノビシロがあると解釈し、これを機会にいつもより精度の高い計画に仕上げさせたい。