金沢が生んだ偉大な哲学者・鈴木大拙の考えや足跡に触れられる記念館「鈴木大拙館」に行ってきた。
生誕の地・金沢市本多町にある。
大拙は明治から昭和にかけての仏教学者であり、禅思想を広く世界に紹介した。
活動は極めてグローバルで、奥さんは米国人だ。
私は今日まで大拙の功績についても禅についてもまったく無知であった。
ようやく最近になって禅や瞑想について興味が沸き、遅まきながら勉強してみたくなった次第だ。
我が家から歩いて10分もかからないところに記念館があるというのに、ちゃんと訪れたことはなかった。
なんとも情けない。
館は玄関棟、展示棟、思索空間棟が回廊で結ばれ、玄関の庭、露地の庭、水鏡の庭が配置されている。
3つの棟と3つの庭を回遊することで鈴木大拙を知り、学び、考えるよう意図されている。
記念館としては展示物は非常に少ない。
見るものがあまりないともいえるし、見ようによってはあまたあるともいえる。
禅の教えだ。
この場所で自分を見つめることにその真髄があるということか。
訪問したこの日、平日で天気は雨、コロナによる緊急事態宣言発令中で観光客は皆無であり、来館者は私一人だった。
静寂の中、ひたひたと観覧する。
何か意味を解したわけではないが、また来てみたいと思った。
鈴木大拙館の先代の館長は松田章一氏だ。
元金沢大附属高校の教員であり、私は高校時代、松田先生に古文を習った。
松田先生は国語教育の傍ら、舞台戯曲を手がけられており、鈴木大拙と西田幾多郎が登場するオペラの台本を書かれた。
歌劇≪禅≫である。
その初演が昨年11月にあるはずであったが、コロナにより延期となり今日に至っている。
ぜひぜひ完全な形での上演を期待する。