今当地金沢で一番の話題である。
金沢のデパート「金沢名鉄丸越百貨店(屋号『めいてつ・エムザ』)」とホテル「金沢スカイホテル」がディスカウントストアである「ヒーロー(本社:茨城県牛久市)」に株式譲渡された。
エムザとスカイホテルは名古屋鉄道(名鉄)の子会社である。
永年に渡り金沢市武蔵が辻で地元市民に利用されてきた。
新聞一面トップにでかでかと「エムザ買収」の文字が躍りまずはびっくりだ。
ヒーロー?なにそれ?
というのが地元民の反応だった。
ディスカウントストア?茨城県の?
じゃあ、エムザはディスカウントストアになるのか。
記事を読んでまた驚く。
エムザは年商117億円、スカイホテルは8億円である。
対して買収した側であるヒーローは年商112億円だ。
自社の年商を上回る規模の会社を買収したことになる。
そして、エムザもスカイも近年の経営は芳しくなかった。
親会社の名鉄が清算の道筋を探っているとはだいぶ前から囁かれていたからM&Aそのものは予想されていた。
債務超過に陥っており、コロナ禍で業績はさらに悪化している。
新しい親会社にとって、この現状は大きな負担ではないのか。
報道によると、ヒーローはディスカウントストア業態以外にも、不動産業も幅広く手掛け、成長要因の一つになっている。
だから今回の件は転売の噂が最初からつきまとう。
「まともに百貨店業を継承するつもりはないのでは」
「数年後には巨大マンションに変わっているのではないか」
憶測が憶測を呼んでいる。
名鉄エムザは永らく金沢市民に愛されてきた商業施設だが県外資本である。
だからオーナーが違う他県資本企業に代わってもそれをもって街が変容するとは限らない。
だが、個人的な感傷も含め、なんとか巨大商業施設の体を維持してもらいたいと願っている。
この立地は古くから金沢の中心地であった。
武蔵が辻交差点の四つ角に位置する4つの商業施設
①近江町市場
②名鉄丸越百貨店
③ダイエー
④武蔵が辻ビル
が地下道「ムサシクロスピア」でつながり、いわゆる「四つ葉のクローバー」と呼ばれ
繁栄した。
それが香林坊・片町に押され、ダイエーが撤退、武蔵が辻ビルもマンション「グランドパレス」に変わり、そしてダイエー跡には(株)ダイイチの商業施設「かなざわはこまち」ができた。
変遷の波は否応なしにやってくる。
だが、武蔵が辻に生まれた私としてはやはりこの地は「商売の街」であり、なんとか商業地「四つ葉のクローバー」を堅持してもらいたいのだ。
4つのうち2つがマンションとなってしまうのはなんとも寂しい。
そういう意味で、「ヒーロー」には文字通りこの商業地復活のヒーロー役になってもらいたい。