昨日のことだが、子会社「ファーム菜四季」の河北潟農場に顔を出した。
周年栽培できるようにハウス内で作っているのが「大根菜」だ。
今日はその播種(はしゅ 種まきのこと)の手伝いをさせてもらった。
と言っても、実際は「手伝い」になってない。
むしろ足手まといである。
この前“種まきのやり方を知っておきたい”と言ったら“来週やれますよ”と農場長が段取りしてくれたのだ。
結局ど素人の私につきっきりで教えることになるので、手伝いどころか逆に時間のロスになる。
申し訳ない。
だが二度三度と回数を積めば少しは手伝いと言えるかもしれない。
種まき一つとっても、なんとも気の利いた農具がある。
写真の種まき機は、車が回転することによってまず前輪が土を少し掘る。
直後にベルトコンベヤ式に種が一粒ずつ土の上に落とされる。
さらに後輪に連結した弁のような金具が土を寄せて種を土中に埋める。
最後に後輪がローラーになって土を平らにならす。
私の役目は種まき機をまっすぐ押すことだけだ。
部分的にはシンプルな構造ながら、本当によくできている。
農機開発の仕事に就いている人は、小中校時代、図工や技術が得意だったに違いない。
ファーム一年目と二年目はすべて手作業で播いていたというから、かなりの能率アップだ。
私がちゃんと播けていれば、一週間後にはパラパラっと芽が出はじめる。
さらに一週間経つと、全体が芽吹いて大きさも揃ってくる。
心配だが楽しみである。
この「大根菜」は加賀野菜の源助大根の種を使った「源助大根菜」である。
種の袋には「菜取り用」とある。
何でも、種を採取するとき粒の大きさで選別し、大きい種は大根本体を作る用に、小さい種は菜っ葉栽培用に仕分けて製品化しているそうだ。
だから、菜取りせずにそのまま育てればやがてちゃんとした大根に育つ。
こんな小さなものからあんな立派な大根ができるとは。生命は神秘である。
この後、灌水チューブを使った水やりを行った。
水圧と角度を微調整すれば、勝手に水やりが完成する。
これまた、ただチューブに穴を開けた単純なものだが、物すご精緻な加工と工夫の賜物である。
ど素人にとって農業は、感心・びっくりで埋め尽くされた世界である。