PHP:部下の邪魔をするな

本日、金沢PHP経営者友の会の勉強会に参加した。松下幸之助の成功の金言集「運命を生かす」からいくつかテーマを抜粋し、メンバー間で考察を深める内容だった。

テーマの一つに次のような下りがあった。(『運命を生かす』P351より要約)「部下に大いに働いてもらうコツの一つは、部下が働こうとするのを邪魔しないことだ。下手な指示は水をさし、やる気を失わせる。だが何も注意しないわけではなく、責任者として言うべきことは言う。ただその際、働くのを邪魔する言い方をしないよう気をつけなければならない」

簡単な文だが、なかなか難しいことが書いてある。注意はするが邪魔しないとはどういう言い方か。頭ごなしにああしろこうしろそれは違うぞ、ではまずいということはわかる。部下の行動や思惑を否定せず尊重した上で、軌道修正が必要ならばそれを示唆するということか。今風に言えばまさしく“コーチング”だ。

松下幸之助が自発的にコーチング的なものへの重要性に気づき心がけていたのはさすがの一言だ。今日の勉強会のメンバーから「上からがんがん言わず、まず社員の言葉を先に聞いておくんだった」「私ら若い時にはコーチングを習う事はおろか概念すら知らんかったからね」という反省の弁が聞かれた。日本社会の経営陣はおしなべて同じだろう。

コーチングはコミュニケーションの「技術」というイメージが強い。だが技術云々以前に、経営の想いがあるべきだ。それを一言で語ったのが「部下の邪魔をするな」ということではないだろうか。