Horita205は絶好調

堀他のショップ「Horita205」

 金沢市野田にあるカフェ「Horita205」はコロナ禍でも大繁盛のお店である。金沢の青果専門商でも特別な存在、株式会社「堀他(ほりた)」の直営店である。ショップ名にある「205」は、金沢市中央卸売市場における堀他の買参人番号が「205番」であるところからきている。堀他の社員は毎日、中央市場で「205」のナンバーが付いた緑色の帽子をかぶっている。

最悪の立地!?

 この店が出来た時(2018年7月)は驚いた。場所が野田(!)である。野田とは自衛隊とお墓しかない山奥だ(笑)。こんな場所におしゃれなカフェを作ってやっていけるのか?
と誰しもが思った。しかしふたを開ければ大繁盛である。それどころか、今年の春は「売上新記録かもしれない」という好調ぶりだ。

ケーキ販売の仕組み転換

 なんでもケーキの売上がかつての5倍になったということだ。それまでケーキ作りはすべてケーキ職人に任せていた。しかし、職人気質がすべての世界である。一人しか手がけられず、数は限られ、商品ラインナップもその一人の構想の枠内となる。ある時からやり方を変えた。ケーキをパーツに分ける。生地は生地、具材は具材で、必要な要素の調達は専門の業者にアウトソースする。店では仕上げのみ行う。こうすれば一人の職人に依存せず、マニュアルと教育さえ整えれば誰でも手がけらえるようになる。ケーキが単純に“きれいで美味しそう”になった。幸いなことに、肝心の味のほうもこのやり方で評価が高まったそうだ。今やケーキの店頭販売は「Horita205の一人勝ち」と言われるまでになった。

仕組みの転換がパラダイムシフトを起こす

 そして何より、このケーキの仕組み転換が、店作りそのもののあり方を変えた。商品ラインナップは店長の構想が反映できるようになった。お店のトータルコーディネートに非常に好影響をもたらした。仕組みを変えれば全体の劇的な変化をもたらす。常に工夫と前進、トライ&エラーの連続が重要である好例だ。