加賀太きゅうりを児童に配る

加賀野菜「太きゅうり」の児童への配布

 金沢市の農業政策として、5月13日より、金沢市立小学校の生徒に加賀野菜の「加賀太きゅうり」を一人に一本プレゼントする事業が始まった。

昨年はやや成功やや失敗

 太きゅうりは家庭消費よりも外食産業で使われる比率の多い食材だ。今回の緊急事態宣言で業務需要がさらに落ち込むのは必至であり、行き場を失った太きゅうりが暴落する心配がある。これは昨年も起こってしまった事態だ。昨年も金沢市は動いた。急遽、給食で太きゅうりを大量に使い、その材料費として市が補填したのである。これは需給調整には効果があった。だがいちどきに一挙の投入であったため、いわゆる根こそぎ状態になってしまい、一般の市場流通分が消えてなくなった。極端すぎたのである。また、その際は市場側が一切タッチしていなかったため、我々としては、混乱だけが残ったという側面がある。

今年はいい成功事例に

 今年は違う。40校の小学校4~6年生約8300人が対象であり、必要本数は総計8300本と、かなりの数量に昇るものの、学校別に日をずらし、一日当たりにすればそれほどの負担ではなくなる。流通面では市場側がサポートし、我々卸売会社と仲卸業者と市場の物流会社がしっかり管理して届ける。この事業は、加賀野菜を認証する金沢市の機関「金沢市農産物ブランド協会」と我が社の社長が智慧を出して実現した事業だ。生産者からはレシピ集の冊子を提供してもらい、太きゅうり本体とセットにして専用の袋に入れて児童に渡す。農産物の販路と相場を堅持すると同時に、行政と産地と市場と学校が連携する食育事業となる。