ミシュランガイド北陸2021

ミシュランガイド北陸版発売

 ミシュランガイドの北陸版が発売された。富山・石川・福井のレストランと飲食店が347軒、宿泊施設が49軒選ばれている。この本は影響力が大きい。☆が付いた店には予約が殺到する。

石川・金沢の強さ

 今回、三ツ星は金沢市の日本料理店「料理
小松」ただ1軒。私は全く存在を知らなかったが、所在地は幸町。なんと我が家から歩いて10分だ。金沢の名店「銭屋」の料理人小松さんが独立して営むお店とのことだ。二つ星は富山4軒、石川12軒、福井2軒。上記の銭屋の他、日本料理「杉の井
穂濤(ほなみ)」、フランス料理「マキノンチ」はよく知っているお店だ。穂濤のご主人である越沢
晃一郎氏は今や金沢の料亭文化を継承する第一人者となられた。マキノンチの牧野浩和氏はまだお若いながら独創性溢れる料理を提供する。一つ星は富山16軒、石川26軒、福井6軒。こう見ると、北陸3県の中で石川県が群を抜いて星の数が多い。食文化が発達し、県の内外から人々が集っている証であろう。

☆の功罪

 野菜を料理店に納入する青果専門店・堀他の浅市氏に話を聞いた。浅市氏はこのミシュランガイドに掲載されている石川県の料理店のなんと50%に納品しているという。こういうプロがバックに控えているからこその名店と言えるかもしれない。浅市氏は語る。「もちろん、お店にとっては非常に名誉なことで、我々納める者にとっても嬉しい限りだ。しかし、いいことばかりではない。☆を取るとその後プレッシャーが大きくなり、ノイローゼになる人も出る。また、観光客が押し寄せ予約が埋まり、古くからの馴染み客が利用できなくなってお店の在り様がガラリと変わってしまう。これに料理人は悩むのだ」。

格付け産業の脅威

 ☆が付いて嬉しいような悩ましいような。いや、もちろん嬉しいには違いないが、「格付け産業」は、あまりに影響力を持ちすぎると思わぬ弊害を産んでしまう。料理の名店は根本的に量より質の世界である。頃合いというのは難しいのだ。