ルビーロマン初せり

一年で最もものものしい日

 金沢市中央卸売市場が一年で一番ものものしい雰囲気になる日、それがルビーロマンの初せりの日である。今年は本日7月16日がその日に当たった。コロナ禍で、あまり人出が多いのは避けたいところだが、やはり注目度が高い!当日は5時を過ぎた頃から来るわ来るわ。果実の卸売場はやはりものものしい雰囲気に包まれた。

史上最高値140万円

 今年は最後の一房が140万円という史上最高値更新となった。競り落としたのは(株)堀他で、その先の納品先が台湾の企業「(株)裕源(ゆうげん)」であった。堀他は裕源の依頼を受けて140万円を付けてせりに臨んだのであり、実質的な買い手は裕源である。ついにルビーロマンの初せりに海外企業が名乗り出たことになる。

台湾の裕源という会社

 裕源は台湾の台中市を中心に「裕毛屋(ゆうもうや)」というスーパーマーケットを経営している。完全な富裕層向けの高級食材提供店で、日本のブランド品も多数販売している。当地で言えば、志賀町のころ柿を数年前から多数扱っていただいている。また、日本では支社が横浜にある。ユニークなのは、スーパー経営ばかりでなく、マスク工場でマスク生産も手掛けている。セブンイレブンのPBマスクは裕源の工場で作られたものだ。

豪放磊落!謝社長

 裕源の謝 明達 社長のお話を聞く機会を得たが、強面の外見とは裏腹に(失礼)穏やかな物腰で、日本語も堪能でいらした。記者の質問に対しても丁寧に応えられていた。「日本の農家の方が丹精込めて作ったこのブドウ、140万円でも決して高いとは思いません」。奥ゆかしいコメントだと思う。実は、この1房ばかりではなく、10万円のを6房、30万円のを1房、合計8房を購入され、台湾へ輸送手続きをされた。卸売価格の合計だけでも8房230万円である。

今後にはずみをつけて

 史上最高値更新、台湾企業の台湾人社長の購入という話題性もあって、盛り上がりのある初せりとなった。生産者にとっても、勢いのあるシーズンスタートと感じてくだされば幸いだ。我々流通業者は、シーズンを通して適正な価格を維持できるよう努めなければならない。