1.品薄の時に自然災害
台風9号10号は、青果物の生産・流通にそれほど大きな影響を与えないと思われるが、輸送面で若干の混乱が出る。北海道や淡路島のフェリーが停まった。よって本日売りや明日売り分の大根・玉ねぎ・人参などが未着となっている。特に人参は高温干ばつで数量が少なかったことから、ひっ迫感が強い。欲しい時にわざわざその不足感を助長するような自然災害が起こる。これは青果物においてはよくあることだ。他にも思いつく〝青果物あるある〟は以下のとおり。
2.〝あるある詐欺〟と〝ないない詐欺〟
卸売会社は先々の需要と供給のバランスを見極めることが極めて重要なので、毎日のように生産者(個人農家、農協職員、全農担当者など)とコミュニケーションを図る。そこで「まだまだ潤沢に出ますよ」と言われながら急にパタッとなくなったり、「今年は不作で量がないですよ」と言われながらガンガン長期で入ってきたりという、〝あるある詐欺〟と〝ないない詐欺〟がよく起こる。〝詐欺〟とは無礼な表現で、もちろん業界内のスラングだ。急激な天候変化などで本当に出荷量が大幅に狂うケースがほとんどだろう。だが人によっては、価格を持たせるために故意に反対の情報を言ったのでは?と訝しんでしまうケースもあるとか。そんな悪意のケースはほとんどないとは思うが。
3.出荷の終わりがけにTV特集
青果物、特にくだものにはシーズンがある。豊作で出始めにテレビの特集で「○○は健康に超グッド!」「××はダイエットに最適!!」といった特集が組まれると、大いに販促になって販売が好調になる。しかし多くの場合はその逆だ。つまり、シーズンの終わりがけに特集が組まれ、モノはどんどん少なくなるのに、引き合いだけが強まって〝ないない状態〟になるのだ。値段は不当につり上がり、小売商・消費者からは欠品に対するクレームの嵐となり、いいことが一つもない。マスコミ・メディアによるパブリシティは大いに期待するところだが、放映時季についてはちゃんと卸売市場に相談を持ち掛けてほしいと強く願う。
4.生産量と相場の隔年の乱高下
野菜というのは、何をどれだけ作付けするか、毎年農家さんが自由に決められるから、年による変動が激しい。前年に少量高値だった野菜は、全国の農家が作付けを増やすので、一挙にオーバーフローとなって翌年はバカ安値となる。逆にバカ安値だった野菜は、多くの人が作付けを取りやめるので、翌年は需要>供給で価格が高騰する。多くの生産者がこのパターンにはまって「農業なんてやってられっか」ということになる。大勢の逆をつけば儲けられるはずだが、どうも辛抱が効かない人が多い気がする。