突然の不出馬表明
3日、菅総理大臣が自民党総裁選に出馬しないことを表明した。事実上の退陣表明である。理由はコロナ対策と選挙戦を両立することができないからとしているが、もちろんそんなものは上っ面だ。実際は総裁選後に控える衆議院選挙に勝てないと判断したからだろう。横浜市長選で自民が惨敗、ワクチン接種が進もうが五輪パラが盛り上がろうが内閣支持率は低迷の一途。このまま自身が総裁を続け選挙に臨んでも政権与党の座を守れないと悟ったのか、そういう圧力が巨大すぎたのか。この数日間のめまぐるしい動きから一転、ポキッと折れたように辞意を表明した。
菅政権の功罪
思えば不思議である。菅政権はにこれといった失策はない。むしろ功績はたくさんあると評価できる。
●デジタル庁は自身の公約。ちゃんと創設した。
●携帯電話料金の値下げも公約。それもちゃんと実現した。
●オリンピック・パラリンピックを開催し、どちらも無事にやり遂げた。
他にも、汚水処理、慰安婦表現、皇位継承に向けた養子制度など、積年の問題にしっかり手をつけてきた実績もある。
菅政権のコロナ対策
菅政権を断罪する意見としては、コロナ対策が後手後手で一向に市民の生活と社会不安が改善しない、緊急事態宣言等における規制ばかりで補償がまったく追いついていない、という声が大きい。しかし、コロナウイルスにどう対処するかなど、誰もわからないのである。日本のコロナ施策に失敗もたくさんあった。しかし、世界レベルから見て日本は感染数は極めて少なく、ワクチン接種率も大幅に改善を果たした。ファイザーに直談判しワクチン提供を約束させたのは総理の功績だ。+と−をガッチャンすれば、多分日本はいい線行ってる方なのではないか。
菅政権の不人気
それでも菅政権はあまりに不人気である。そう、不人気。人びとの好き嫌い、感覚の問題だ。菅総理の口から出てくるコメントはぶっきらぼう、棒読み、不誠実な印象だった。政治家のくせにフリートークの本当に下手な人だと思う。マスコミはそこを突き、暗いイメージを煽った。政権維持だけを考えれば、菅総理は陰でパフォーマンス能力を磨くべきだったのだ。トークのテクニックを伝授するコンサルなんて世に吐いて捨てるほどいるだろうに。
次代の政権
退陣が決まった以上は、次のことを考えよう。日本は、世の中は、やはり今、かなり危うい状況だと思う。コロナについてはわからない。ワクチンが効を奏して終息に向かうかもしれないし、ラムダじゃミューじゃが猛威を奮ってまた人類が瀕死の状態になるかもしれない。問題は経済政策と対中国だ。その2点について明確なコンセプトを持つ政治家に次代を担っていただきたい。