金沢おどり(令和3年)

2年ぶり開催

 金沢おどりを観てきた。金沢の三茶屋街の芸妓たちが一同に会して芸を披露する年に一度の舞台だ。毎年9月下旬に3~4日間、昼夜2回開演となる。昨年はコロナで中止となった。今年も開催が危ぶまれたが、なんとか無事幕が上がった。オリンピックという巨大イベントもなんとか乗り切ったのだ。イベントの自粛や中止はもういいだろう。だが例年なら早々と切符が手に入らなくなるのに、今年は少し空席が目立った。コロナのせいで、人々の外出マインドは戻りきっていない。

ややおとなしめ?の舞台

 演目は正直、私にはちょっと地味に見えた。華美な出し物は控えたのだろうか。フィナーレも、例年なら芸妓が手ぬぐいを客席にポンポン投げ入れる趣向があるのに、今年はそれがなくあっさりと幕が降りた。芸妓さんにとってもこの2年間は大変な試練だった。宴会、お座敷がコロナでぱったりなくなり、仕事が全くなくなった最大の被害者だ。ひがし茶屋街の「あかり」さんはとてもきれいな顔立ちの人気芸妓だったが、仕事がないために廃業し、今年の舞台にその姿はない。芸妓は本来、客をもてなし、座の取り持ちを行う存在だ。なんとか元気を取り戻してほしい。

長男を送り出す

 今回は偶然手に入った自由席券で鑑賞させてもらった。大学3年生の長男を誘った。先日は映画「シャン・チー」、今日は芸妓の「金沢おどり」。なんでも父親に付き合ってくれる優しい長男である。ちなみに彼は今晩の夜行バスで東京に戻る。今までずっと大学がリモート授業のため帰省していたのだ。金沢の最後に伝統芸能でも見せてやろうという親心…ではなく、単にチケットが2枚あったので誘っただけだが、息子にとってはそれなりの体験にはなっただろう。そんなわけで、今回はややおとなしめながら、復活した金沢おどりを感慨深く観てきた次第。