長唄の稽古
男50の手習いで長唄を習っている。一ヶ月に一週間、長唄の杵屋君三郎先生が神奈川から金沢にいらっしゃり、その一週間のうちに3度(1回30分)稽古をつけてもらう。課題の曲をきちんと唄えれば合格となり次の曲に進む。
長唄は覚えるのが難しい
君三郎先生はオープンなお人柄で、最初にお手本としてご自身の弾き唄いを録音させて下さる。生徒はその録音と稽古本(楽譜)を使って自学自習する。長唄は一曲の平均が20分あり、今の歌謡曲と違ってほとんど繰り返しがない。長唄には定番の節回しがいくつかあるものの、基本的に20分間ずっと違う旋律が流れるのだ。よっていくら稽古本を見ながらでいいといっても、唄を覚えるのはかなり骨だ。
長唄習得のペース
私は自慢じゃないが、素人にしてはたくさんの曲を上げてきた。1ヶ月に3回の稽古しかないから、1回目で90点以上の出来を狙い、直しを受けて2回目で合格を得、3回目で新しい曲を録音させてもらう。このペースを維持すれば、一月ごとに新しい曲を習える。同じ月謝を払うなら、たくさん吸収しなければ損だ。その代わり翌月の稽古日までの3~4週間、自学自習でそれなりに時間を費やすことになる。
先生、本を忘れる
今月はちょっとしたハプニングがあった。24日の日曜日から30日土曜日までが今月の先生の在沢期間で、私は初日の日曜日に稽古に行った。「賤機帯(しずはたおび)」という曲が今月の私の課題曲だったが、君三郎先生「あれっ、いけない。賤機帯の本を持ってくるの忘れちゃったよ。ごめん、新しい曲入れよう」となって、「大原女(おはらめ)」という違う曲に急遽替わった。日曜はそれを録音して終了。先生は「大急ぎで覚えなきゃ」と笑った。
1週間マスターに挑戦
私は、翌日月曜日に2回目の稽古を予約していたが、すぐにキャンセルし、2回目を金曜、3回目を土曜に変更した。普段は1ヶ月近くかけて1曲覚えるのに、1週間ではとても無理と最初は諦めかけた。だが思い直して挑戦することにした。ここまで突貫の覚え込みはやったことがないが、今週土曜に合格できれば、来月は賤機帯に戻ってまた月一曲ペースに戻せる。
目標は88曲!?
別にそこまで頑張る必要はさらさらない。ただ、1曲1曲積み重ねるのは楽しいものだ。今の仕掛りである2曲を入れれば、習った唄は45曲になる。先生からいただいた演目リストは88曲ある。ほぼ半分に達した。最近は、どこのお浚い会のプログラムを見ても、7割は習ったことがある曲になった。心密かに「俺はしってるぜ」という優越感も湧く(w)。リストにない長唄も実はたくさんあって、この世界は何百曲もの広がりがあるのだろう。とりあえず、目標は88曲である。あと最低5年かかる計算だ。もしそれが達成できたら、次は三味線で長唄を弾く習い事もできる。なかなか一生涯かけて楽しめる趣味なのである。