スーパー特売における利益管理について

特売の利益管理

 スーパーマーケットが特売を組むのは日常茶飯事である。他の店よりも安く売る目玉商品を設定し、チラシに載せることで多くの集客を狙う。該当する商品の利益管理は以下のいずれかか、もしくはミックスになる。
①単純に他社より売価を下げる。つまり小幅な利益か、赤字で販売する。
②仕入先に協力を求め、仕入値を下げてもらう。

仕入と納入の関係性

 ①だけならば、仕入先(納入業者)にとって負担はない。だが実際は②も併せて行われるケースがほとんどだ。その場合、納入業者側も小幅な利益で我慢することとなり、ひどいときは赤字を被ることになる。かといって納入業者はおいそれと断れない。断るとそのスーパーとの取引が終わってしまう危険性があるからだ。仕入値の値引きがスーパー側から高圧的に要請されるようだと〝優越的地位の乱用〟とか〝バイイングパワー〟と表現する。

納入業者の負担大

 スーパー(小売)が特売を組む場合、私はまず第一に小売側が利益を圧縮するのが筋だと思う。特売は集客するのが目的だ。特売品でお客を(言葉は悪いが)釣り、〝ついで買い〟をしてもらうことで帳尻を合わす。他の品目で利益を確保するのだ。もし特売品のダンピングの差損を納入業者にだけ負担させれば、小売側は特売品でしこたま利益を得ることになる。小売からすればこんなおいしい話はなく、納入業者からすればこんな辛い話はない。だが結構こういうケースが多いのが実態である。

単品管理でなく複眼的商談を

 適正利潤を確保することは商売の常道だ。だが特売品目だけを見れば、上記のように利益を得られない場合が少なくない。納入側こそが、知恵を働かせ、その他の品目で帳尻を合わす営業をするべきである。集客が功を奏し、たくさんの人が来る。そこで通常品目をしっかりと納入しておくことで、特売品の損をカバーする。そのためには、小売側への協力において、複眼的な商談で取引する姿勢が重要だ。間違っても小売側仕入担当
VS 納入側品目担当 の1対1対決に終わってはいけない。

チーム力の強化、個人商店からの脱却

 言い換えれば、チームで当たるか、できる社員に多品目を持たせるかであり、人材難の時代を考えれば、後者より前者で対応する組織改革をするべきである。卸売市場は品目別の個人商店のような体質が根強い。この体質からの脱却を本当に早く実現しなければならない。