燃油高とくだものの少量化

原油高の悪影響

 この冬、野菜とくだものについて、施設栽培モノはかなり少なくなることが予想される。野菜では果菜類全般、業務用の妻物類など、果実ではイチゴ、メロン、晩柑類で顕著になりそうだ。最大の原因は燃油高である。ハウスの温度を上げるために油を炊くが、燃油のコスト増を青果物の小売価格に転嫁することが難しい。よってハウス規模の縮小もしくは無加温栽培が多くなり、生育が滞って流通量が少なくなる。供給が減るからますます高単価になる悪循環に陥る。

くだものの少量化

 日本農業新聞に、このことがイチゴのパック少量化にも結びついているという記事が載っていた。かつて1パックの量目は300グラムだったが、10年前の燃油高で200グラム台後半に少量化され、このたびの原油高でさらに1粒(20グラム)程度減らす動きが全国的に進んでいるらしい。末端価格を据え置きにする代わりに、量目をへらす対応だ。

数量減の単価高

 同記事には、2020年の全国のイチゴ出荷量が10年前の13%減で、卸売価格は3割高の1キロ1317円だったという農水省の調査結果が紹介されている。スーパーの店頭価格ではわからないが、実質的には数量減の単価高である。イチゴに限らず、くだもの全般でこの傾向がある。フルーツギフトの定番、静岡のマスクメロンも生産者減少に歯止めがかからない。

本当の生産振興と消費促進に向けて

 産地は生き残りのため、ブランド力を高め、より高く売れる商品の開発に懸命だ。それは大切なことかもしれない。しかし一方で、日々の食生活で気軽に食べるには今のくだものは高すぎる。今回の原油高もコロナ禍からの経済復興という一連の流れに上にある。農政や民間業者の知恵を結集して、真の生産振興、消費促進の道を探る必要がある。