年賀状減少の理由
我が社は今年から会社から出す年賀状を辞めた。個人でも年賀状をやめる人が増えている。年賀状は2003年をピークに漸減傾向にあったが、この1~2年の減少度合いが加速度的である。その理由として、よく言われるのが下記3点である。
①SNSが普及し、はがきを出さなくても簡単に近況報告できるようになった
②年賀状にはお金と手間がかかり、そこまでする必要はないと考える人が増えた
③個人情報保護で個人宅の住所が入手し難くなった
コロナと虚礼廃止
上記の理由に加え、私は次の点も理由にあると考える。②にかぶることではあるが、
④年賀状を〝虚礼〟と捉え、世間の風潮に乗ってこれ幸いと辞めてしまう人が増えた
この風潮を後押ししたのがコロナだ。会議・集会・出張・会食など激減し、必要なことはオンラインで自室からチャッと済ます。お通夜、お葬式は回り焼香で終わり。手間と時間は省いてみたけど全然大丈夫じゃん、という空気。コロナと年賀状という本来無関係なものが、コロナ⇒オンライン普及⇒紙文化(=虚礼)の廃止 という図式で結びついた。
生存だけを知らせる代物
今年で辞めると宣言した人は素早いほうだ。今後年を追うごとに廃止がどんどん増えるだろう。それを証拠に今年頂いた年賀状は〝元気のない年賀状〟が多い。元気がないというより、やる気がないというか。何の変哲もない図柄と文面で、もらった方も一瞬で読む気が失せる代物。一言コメントもなにもない。これでは〝私、生きてますよ〟と言っているだけだ。
人間関係はより希薄に
ああ、しかし、年賀状がさらに衰退していくと、この〝私生きてます〟も定かでなくなるのだ。虚礼廃止は仕方ないとしても、人間関係はますます薄くなっていく。「今年を最後に年賀状のご挨拶をやめることにします」という案内を数人の方からいただいた。これはこれで面倒で、来年の年賀状は、こちらから出すのも遠慮した方が良さそうだ。1年後の年賀状管理で誰それさんはこのことを思い出さなければならない。
郵便局は何をしている?
それにしても、「真っ向サービス」の郵便局はいったい何をしているのだ。数の激減に反比例して値上げするだけが取り柄か?私が生まれた頃は葉書1枚7円、昭和47年10円、昭和51年20円、昭和56年30円、平成元年41円、平成6年50円、平成26年52円、平成29年62円、そして令和元年63円だ。いったい今いくらだっけ?と半年もすれば忘れてしまうほどに葉書料金は馴染みが薄くなってしまった。
逆張りはあるか
逆にチャンスな面もある。はがき文化が衰退し、お便りが減れば減るほど、個性的な年賀状は人の目を引く。心を込めて伝えたい人、承認欲求の強い人、商売につなげたい会社などにとって、年賀状はツールとしてまだまだバカにできない。