強制力の効果

新システムの効果

 会社のコンピューターの新システムでは、販売伝票の入力支援がかなり強化される。これにより、事務作業が大幅に省力化・効率化されることを願っている。今まで1時間かかっていたことが10分で終わる、或はまったくやらなくて済む業務が出てくるはずで、労働時間の短縮や空いた時間を営業活動に振り分けることが可能となる。

営業社員は負担増か?

 一方で、新システムの稼働でむしろ営業社員の負担が増えるのではないかと懸念する声も聞こえてくる。これまでは販売内容を「指示書」に表記し、それを部下又は事務作業専門の者に渡し伝票入力させていた営業が多かったが、今後はコンピュータ入力まですべて自分自身でこなすのが原則となる。その分、営業の仕事が増えてしまうという指摘だ。

指示書が楽か直入力が楽か

 これはもう、発想を転換してもらうしかない。従来通り「指示書」なるものを作り、それを自分で入力するならば確かに手間が増える。しかし新システムは「指示書作成」にあたる業務そのものを端末でやってしまおうという考え方だ。紙の指示書はもう作るな、と会社が社員に対し上から強制するに近い。

強制力の効果

 基本体に人は変化を嫌う。今までのやり方を変えたくない。変化=負担増と考える。よって自主性に委ねていてはいつまでも変わらない。未だにパソコンを扱えない古参の社員はこのタイプだ。だから強制的にやらせる。3ヶ月、6か月、一年経って、やっぱり仕事が増えました、帰りがもっと遅くなりましたであれば、考え直さなくてはならない。しかし多くの場合は、固定観念の方が破れるものだ。やってみたらこっちが圧倒的にいいです、となることの方が多い。

強制力を意識的に配置する

 新型コロナウイルスで、リモート会議が当たりまえになった。コロナという外部要因が強制的な環境を作ったから一気に進んだのだ。リモートで済む会合はコロナが収まってもリモートで行えばよい。強制力の効果を意識的に導入するよう、日々の仕事や勉強にもっと活かせないものか。プロジェクトを進捗させるには、中身の進み具合を無視して会合の日程をバンバン入れてしまうことが意外に重要だ。勉強にしても検定試験に申し込んでお金を払ってしまうことで否応なくやらざるを得なくなる。枠を先に決めてしまうことで逃げ場をなくす。これを自社、自分自身に課すことで結果良しとなるのである。