石川ブランド農産物の自家増殖を禁止

改正種苗法の施行を受けての規制強化

 本日の北國新聞一面の記事だ。石川県が開発した20品種について、4月から「自家増殖」が禁止となる。石川のブランド農産物を保護することが目的である。地域独自のブランド品の種や苗は、開発者の権利が保護されなければいけないが、不正に海外に流出する事例が後をたたない。このため、種苗法が改正されて間もないが、その中での自家増殖の許諾制に対し、石川県が独自に「一律禁止」という厳しい対応を取ることでブランド保護を明確に打ち出した格好だ。他県よりも厳しい規制である。

対象品目

 対象となるのは以下のブランド農産物である。
【米】ひゃくまん穀、ゆめみづほ、石川門、百万石乃白
【ぶどう】ルビーロマン
【ナシ】加賀しずく
【花き】エアリーフローラ11品種
【りんご】秋星
【かぶ】加賀姫青
【大根】長根系源助

処罰内容

 これまでも、苗の流出を阻止するため、石川県と生産者は契約の上、苗木の第三者への譲渡ができないルールを定めてきた。よって生産者の栽培姿勢としては今までと変更はないとのことだが、規制がより明確かつ厳しくなる効果が期待できる。悪質な違反は刑事罰対象になり、10年以下の懲役、1千万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下)の処罰が下される。

厳格なる保護政策を望む

 開発品種の海外不正流出はひどい有様で、日本が誇る素晴らしい開発ノウハウが外国の心無い者たちによってたやすく簒奪されてきた。今までの保護制度がザルすぎたのである。日本の財産が盗っ人に奪われてきたのと同じだ。近年になってようやく目が冷め、規制強化に舵を切った。石川県のような零細な農業生産県は、大規模な青果物生産は望めない。希少だが価値の高いブランド品の振興は生命線といえる。行政と生産者が一体となって地域限定の開発品を守る体制をさらに強化してもらいたい。