寒さと野菜の低迷

青果物流通の三重苦

 本来、2月下旬はまだ寒い時期には違いないが、青果物売場は春をイメージさせる野菜を前面に打ち出すのが毎年の常だ。豆類や山菜など芽のもの、菜の花や早堀りの筍などが消費者に喜ばれる。しかし今年は様子が違う。寒波で春の野菜の生育が鈍い。燃油が高いからボイラーも炊けない。だから収量が少ない。消費者はあったかいものが食べたいから需要も伸びない。三重苦四重苦でいいことはないのである。

値上げがなかなか起こらない理由

 数が少ないからといってそれほど値段が高いわけではない。加工食品が軒並み値上げに踏み切っているのとは対照的だ。生鮮青果物はあくまでも需要と供給のバランスで相場が構成される。そのくせ高値の時ばかりニュースに取り上げられ、そのマイナスイメージで需要を抑制する。本当は、加工食品同様、青果物も値上げしたいのだ。本当は、こなれた価格帯が多い青果物の優良性をもっと認知してもらいたいのだ。マスコミ報道はたいがいその逆を行く。声を大に「価格を上げろ」と言うと悪者にされる。だがそれでは長期的には第一次産業は育たない。

流通のあり方の変化

 需要と供給のバランスでなく、原価意識をもった生産・販売で成功するケースが少なからず出てきている。しかし残念ながらそうした新しい流通の牽引役は市場外流通が主に旗を振って来た歴史がある。そこがダメなのであって、市場流通こそが担い手にならねばならぬ。人材育成と仕組み作りと営業量&企画量。それがすべてだ。そこに労働と資本を注入しなければいけない。