筍が厳しい

思惑違い

 今、地物の筍がピークである。昨年は大不作で歴代最少、価格は逆に市場最高値の年だった。あまりに少なすぎて各家庭の食卓にも上らなかった。今は表年である。関係者一同、かなりの期待を込めてシーズンに臨んだ…のだ、実際のところ。ところが蓋を開けると消費が動かない。一つには、出がけに急に冷え込みが戻って引き合いが落ち込んだ。これだから農産物は難しい。ないならないで皆騒ぐが、わずかでも適正量をオーバーすると大きく値が下がる。一寸先は闇だ。市況は大きく低迷した。

産地への申し訳なさ

 私は先の筍感謝祭で祝辞を述べ「待ちに待った地物の到来です。今まで他県産は少量で相場が平年比1.5倍でした。この機に乗じて地物の筍が出回れば有利販売するに好条件です!」と啖呵を切ったのだ。産地に合わせる顔がない。市場関係者は決して適当に値をつけているわけではなく、市況低迷と必死に戦っている。しかし、それでも許されないほどに値が下がってしまっている。

販売力が鍵

 自然の成り行きに任せては、その時々の気温・気分・マーケット状況であまりにも不透明・不安定な先行きが待っている。卸売会社に今一番必要なのが販売力である。過剰気味ならそれなりの廉価で量をさばき、逆に不足気味なら、どこからでもかき集めて売る。これは日頃から販路=お客さんを捕まえていなければできないことである。何といって産地あっての卸売市場だ。その産地から支持を得るためには販売力がすべてだ。