第55回たけのこ感謝祭

たけのこ感謝祭が今年も開催

 本日4月15日、金沢市寺町の妙福寺にて、石川県野菜園芸協会による「第55回たけのこ感謝祭」が開催された。感謝祭といっても賑やかな催しではなく、お寺でお経をあげ、お墓にお参りするという極めて宗教的な儀礼式である。石川県に最初に孟宗竹を導入し、たけのこ産地の礎を築いた加賀藩士・岡本右太夫の遺徳を偲び、石川県産たけのこの豊作と有利販売を祈願する催しである。私は流通業者の代表として出席させていただき、以下の祝辞を述べさせていただいた。

祝辞

第55回たけのこ感謝祭にあたり、一言述べさせていただきます。本日のご開催、まことにおめでとうございます。

岡本右太夫翁が1766年に孟宗竹を導入されて以来、「石川県産たけのこ」は250年を超える歴史を紡いできました。筍の大規模な産地の北限として、また、加賀の伝統的な食文化を代表する食材として、代々・あまたの生産者が繋いで来られた歴史であります。さらに、農協関係者、市町村役場、流通関係者が手を携え、筍の生産と販売の環境を支えてまいりました。皆様方の日頃のご尽力に対し、心より敬意と感謝の意を表します。

 一方、面積の縮小と担い手不足により、生産量の減少に歯止めがかかっておりません。かつては、表年で優に1,000t、裏年でも500tを超える生産量がありました。しかし、昨年令和3年度は、裏年だったとはいえ、共販実績で歴代最少の170 tに落ち込みました。

 本年、先行する他県の産地は、寒い春が長く続いたために大きく出遅れ、1月から3月の累計では、数量が平年の約3分の一、単価は平年の約150%と少量単価高で推移しました。つまり、昨年の不作からこの春までの丸一年、石川県の筍好きの食卓に、筍が行き届いた実感がないのです。

ようやく、シーズン到来を象徴するこの日が来ました。表年の今年にかかる期待はとても大きいものがございます。小売店舗の筍コーナーはここに来て一気に広がってきた感がございます。

卸売市場を代表して、金沢・小松・白山・津幡、各地域の皆さまのご期待に応えるべく、これより全力を尽くして有利販売に努めることをお誓い申し上げます。そして消費の拡大と高単価の維持が、生産現場の日々のご苦労に報いるものとなり、生産意欲の向上、担い手の増加、産地の再興につながることを強く願うものであります。

結びに、石川県野菜園芸協会の益々のご発展を祈念申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。

令和4年4月15日