合体合成サイクルの誕生と自転車屋「あさひ」

自転車専門店「あさひ」

 昔は町に一軒は地域の自転車屋があって、パンクなどの修理はやってもらったものだが、これも八百屋や魚屋同様、量販店やメーカー直営店に押されて姿を消した。今、息子らは、何か故障などがあると自転車で10分ほどのところにある「あさひ」に行っている。別に「あさひ」をほめる義理はないが、このお店は優秀だと思う。というか他に自転車は知らないし、「あさひ」全体が優秀なのか私らが行くお店だけが優秀なのかもわからない。だから正確に言うと「サイクルベースあさひ杜の里店の社員さんは優秀だと思う」となる。

優秀なお店

 どう優秀かというと、ちょっとした故障や部品交換等でも実にきちんと対応してくれ、新しくて高いものを買わせようといったメーカー特有の下心がまったく感じられないのである。故障部分に対しては、「ここはこうなっていまして、こうすればいくら、こうすればいくらかかります」と2~3の選択肢をくれる。しかもなぜか皆若い。若くて礼儀正しくて、自転車に詳しくて誠実なのだ。

新サイクルは合成サイクルである

 息子二人はそれぞれが中学以来長く乗ってきたが、どうも兄弟2台そろってポンコツとなった。1台は自転車の軸がひん曲がり、もう1台はスポークが何本も折れてチェーンのさび付きがものすごい。「でもまだ一応乗れるから」ということでお店に見せたところ、「それぞれを治すとすればこちらが〇万円、そちらが▲万円もしますね。どちらも必要な部品を取り寄せて交換しなければいけません」と言われた。それだけ費用がかかるなら新品買った方がいいんじゃね?となったところ、店員さんは面白いことを言った。「ですが幸い、二台は修理すべき箇所が違います。大丈夫な部品だけを活かせば、二台で新しく一台に仕立てることができます。そうすれば部品代がかからず修理代は少なくて済みます。一台消滅しますが」。2台を修理するor2台の新品を買うのではなく、合成1台と新品1台にしたらどうかという提案だ。

新生1台と新車1台

 こうして誕生したのが写真の自転車である。どうせならばもっとつぎはぎだらけの、フランケンシュタインのような自転車の方が面白かった。出来がスマートすぎる。がこれは当然ひねくれた物言いであって、仕事としては完璧だ。新品は長い坂道を通う次男のために、奮発して電動アシスト付き自転車を買い与えた。話の流れから言って当然あさひの電動アシストにすべきところ、デザインが好きだからと他社製品を購入。あさひの店員が善良なのに対し、我が家は人でなしである。

企業として見習う点多々あり

 扱っている物は違えど、あさひの店員さんの仕事ぶりは、私の会社に見習うべき点が多々ある。青果物販売でも、お客様に対していろいろな提案をすべきだし、ああそんな選択肢があるの?と思っていただける配慮を示さなけれいけない。