誰のための再整備か
金沢市中央卸売市場は、市場再整備に向けての基本設計にとりかかる段階に来ているはずだが、具体的なものはまだ出ていない。この事業計画の主体は誰なのか、意思決定者、施行責任者は誰なのか、表向きは、それは市長であったり市場長であったり運営協会であったり、いろいろ挙げることはできるだろう。しかし、実需者は卸売会社の社員であり、仲卸業者であり、小売業者であり、産地である。さて、これらすべてのステークホルダーの意見や希望をまとめ、最大限の幸福を目指すべきが事業の本分であろうと思う。
存在すらしない業界の総意
我が社の社員だけとっても再整備にかける思いはまちまちだ。役員クラスの思い、現場責任部長の思い、課長係長の思い、荷受け課社員の思い…。新しい市場はこうあってくれれば今より働きやすく、機能的だ、という思いの温度差がものすごくある。会社が変わればもっと違う。業界全体の総意などというものをまとめることが果たして可能なのかどうなのか。今更ながらに思うのだ。
無私無欲の精神をもつリーダーが必要
立場があまりに違う者達の集合体が、一つのことに向かって動こうとする時、強力なリーダーシップを発揮できる存在が必要だ。個人や特定団体の利害に拘泥せず、全体を俯瞰し、大義を全うに主張・説明して業界を牽引できる存在。今後の金沢市場再整備計画に誰かふさわしい人物を選任できないだろうか。新市場が本当にいいものかどうかはオープンして使ってみないとわからない。計画段階ではかならず不平不満がうずまくだろう。そこを押して動かす。ただし、具体的設計の裏には、無私無欲の公共的な精神が根付いていなければならない。そういう存在を待望する。