松本尚代議士とのランチ
千葉13区から出ている衆議院議員、松本尚代議士と先日会って昼食をともにした。彼とは小中高と同級生で、一番近しい友人だ。今回、仕事で金沢で来ることになったから昼飯でも、ということになった。今や相手は国政の議員だから、あまりSNSのネタにしてはいけないと思う。私が軽率に何か書いて、迷惑がかかってはいけない。だが今回はとても感心することを教えてもらったから、書いておくことにした。
松本尚代議士の辻立ち
彼は土日になると自分の選挙区内で辻立ちをする。辻立ちとは、交差点や団地の近くなどで演説を行うことだ。昔からよく行われている政治家の自己主張の手法である。彼は昨年、立候補を決意した時から辻立ちを始め、見事当選した今でも続けている。なんと当選の翌朝も辻立ちをしたのだ。これは偉い!凄い!と称賛しかない。
誰もいないのに辻立ち
彼のフェイスブックを見ると辻立ちの写真がよく出てくる。それを見る限り、周りに人が集まっているようには見えない。前々から気になっていたので聞いてみた。誰か聴いてくれてんの?すると彼は「誰もおらんよ」と答えた。有名人気政治家でない限り、辻立ちなど基本、誰も立ち止まって聴いてくれない。1回の辻立ちは平均10分程度。さっと始めてさっと終わる。そして次の場所に移動してまたさっとやる。一日で8か所、多い時は十数か所でやる。終わったらへとへとになるそうだ。そりゃあ体力を使うだろう。
道行く車に向かって辻立ち
聴衆がいないのになぜやるか。「前を走る車が見るから」。それって一瞬だ。多くは「あれは何?誰?」でおしまい。何十人かに一人が「あれ確か地元の政治家だよ」とわかる程度だ。そして誰一人、演説をちゃんと聴くわけではない。それでも彼は続ける。誰も見ていない。でも遠くから見ている人がいる…かもしれない。それが自分への支援に将来つながるかもしれない。そう思うからだ。地道だ。あまりに地道すぎる。票を取る点においては極めてコスパの悪い活動だろう。…だが!
柴田未来さんの辻立ち
だが!本当に長期間にわたって続けたとしたら、これほど強い草の根運動はない。スポーツに例えれば、走り込みだ。全ての競技における基本中の基本、走り込み。誰も集まっていないのに演説を真摯に続ける姿に、人はその政治家の本気度を察知する。私はこの辻立ちパワーを実感した経験がある。私にはやはり同級生に岡田直樹参議院議員がいる。彼の2016年の参院選で対立候補は野党推薦で弁護士の柴田未来さんだった。下馬評では圧倒的に岡田有利。だが、私は選挙戦中、誰もいないところで一人辻立ちする柴田さんの姿を見た。私は岡田議員を熱烈に応援する立場だが、この瞬間から柴田さんに敬意を持つようになった。もし違う選挙だったらこの人に入れてもいいかなとさえ思った。主義政策とは別のことだが、無人の辻立ちとはかくもパワフルなのである。
ある辻立ち名人
また、私は、人が集まっていない交差点で、別に選挙中でもないのによく辻立ちしている政治家を一人知っている。その方は本当に、え?こんなとこで?という辺鄙なところにも出没して演説する。私ですら片手ほどの回数で出くわしているのだから、実際何千回とやっているのだろう。松本代議士に聞いた。「辻立ちをしようと決めたきっかけは何かあったの?」彼は「それは、フェイスブックで馳さん(馳浩・現石川県知事、元衆議院議員)がやっているのを見たことだね」と答えた。私が一人知っていると言った辻立ち政治家も馳さんだ。私は県知事選では馳候補に入れてない。(大暴露《爆》)だが政治家・馳浩には敬意を持っている。それはこの辻立ちを何度も見ているからというのが一番の理由だ。
自己鍛錬としての辻立ち
松本代議士はこうも言った。「辻立ちは、誰も聴いていないから、自分の演説のかっこうの練習台になる。日頃勉強して仕入れたネタは、まだちゃんと自分の頭の中で咀嚼されていないから、演説の中に盛り込んでも論旨がうまくはまってないことはよくある。辻立ちで話しているうちに、それが段々と自分の血肉になって、理論立った話ができるようになるんだ」。インプットとアウトプットを繰り返すことで人の考えが熟成されるお手本のような話だ。彼は、自己PRの場を作りながら、同時に自分をトレーニングしていたわけか。
天知る、地知る、我知る、人知る
私は彼を見習おうという気になった。いや、別に辻立ちして政治家を志すわけではない。天知る、地知る、我知る、人知る。何事もこの姿勢に通じるということだ。腐ってる場合じゃない。今日から胸張ってやるべきことをやり続けるのだ。