感染8割減少の報道
日本農業新聞より。梅干しがコロナ予防に効くらしい。動物細胞を使った実験では、感染が8割減少したとのことだ。和歌山県のみなべ町と東海大学が6月1日に発表した。みなべ町が東海大学に委託して2020年から研究が開始された。みなべ町は梅の全国一の産地である。当市場にも毎年に豊富に出荷していただいている。
あくまでも研究段階だが…
あくまで研究発表の段階で、梅干しに含まれるどの成分が感染を抑制するのかは不明である。また、猿の細胞に梅の成分を混ぜた実験であり、人に実験したわけではない。また、1日1個を食べたら予防できる可能性がある、とコメントしているようだが、あくまで「可能性がある」に過ぎない。細胞に梅の成分を混ぜるのと、普通に口から食すのではかなり内容が違う。だから「梅干しを食べれば感染しない」という表現になると明らかに言いすぎとなるので注意しなければならない。
みなべに切れ者あり
だが、それはそれ。発表内容に偽りがあるわけではない。讃えるべきは、梅はコロナ感染対策に有効なのでは?と発想したこと、大学にその研究を委託したこと、このタイミングに発表したことである。大学に委託したみなべ町の人物は誰なのか。切れ者だ。そもそも、どういうところから梅がコロナに効くのではと発想したのか。聞いてみたい。さらに、これから梅のシーズンに入ろうとするタイミングにこれ以上ないタイムリーな発表だ。みなべ町には優秀な人材がいる。
梅の販売、消費拡大に期待
我が社を含め、梅を販売する流通関係者は、誇大説明にならないのを注意したうえで大いにこの情報をPRすればよい。そもそも梅は健康食品として有効なのだから、消費拡大策に業界一丸となって取り組めばいい。
研究概要(日本農業新聞より)
・和歌山県みなべ町が東海大学に委託して2020年から開始。大阪河崎リハビリテーション大学と、和歌山工業高専も参加。
・梅干しの果肉から抽出した成分を新型コロナを培養した猿の細胞に混ぜて、ウイルスの感染が抑制されるか確かめた。
・武漢株、アルファ株、デルタ株、オミクロン株の4種で、ウイルスへの感染が約80%減少した。実験に使った梅干し抽出物は、梅干し1個分の成分を2リットルに溶かした濃さに当たる。
・人体での効果はまだ調べていないが、東海大学医学部教授の竹腰准教授は「毎日1粒を習慣的に食べることで予防効果が期待できるのでは」との可能性を指摘した。
・梅干しに含まれるどの成分が感染を抑制するのは不明。今後の研究となる。
・他にも、和歌山県田辺市とJA紀南でつくる紀州田辺うめ振興協議会が、今年3月、梅酢から抽出した梅ポリフェノールに感染を阻害する効果があると発表している。