Nintendo Switchがやってきた

息子よ、よくやった!

 今月の衝動買いはNintendo Switchである。と言っても買ったのは私ではない。息子だ。朝起きて居間のテレビの前に座ったら、このマシンが鎮座していた。今どきのTVゲーム機には疎いので、寝ていた息子を起こし、これは何だと聞いた。息子はたたき起こされて、ひょっとして叱られるのか?と一瞬身構えたが、自分はもう18歳の成人で親の了解を必要とする年ではないはずと開き直り「それはNintendo Switchだ」と応えた。私は「よくやった!」と褒めた。この年になって自ら買い求めてゲームにはまる気はない。だが、かつてはファミコン、スーパーファミコン、PCエンジン、メガドライブ、ゲームボーイの5機を使い回したバカヤロだ。プレステや任天堂のマシンには興味はそこそこあったのである。

息子よ、父さんも遊ばせて!

 息子にお願いし(弱!)、私も使っていいことになった。息子はアクション系が好きであるが、私はジックリ系(RPGかシミュレーション)がいい。そこで考えたあげく、Switchの代表作である『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をネットから購入することにした。2017年発売。任天堂がSwitchの発売と同時に出した、マリオとともに社運を賭けた勝負ソフトである。

驚愕と失望と

 やってみた。作りこみの精緻さ、こだわりの深さ、世界観の完成度の高さ、発売して5年も経ったのにそのクオリティの高さに驚愕する。これにはまってしまっては自殺行為だぞと厳に自戒する。が、ちょびっとははまることは確定的な魅力に溢れていた。そして、驚愕と同時に私を襲ったのは、自身に対する失望だ。操作が覚えられない。A、B、X、Y、R、L、ZL、+、-…いったい何個のボタンとグリグリを使いこなさなくてはならないのだ。横で見ていた息子が見かねて「ちょっと貸して」と私からコントローラーを取り上げた。彼もゼルダは初めてである。だが、いきなり私の5倍は早いスピードでマップを駆け回り、敵をなぎ倒し、あっという間に最初のシナリオをクリアーしてしまった。…。息子がすごいのか、私がチョロいのか。なんとも複雑な気分である。この老害め、と自分より年長者を心の中でののしってきた醜い言葉群が、一斉に自分に降りかかってくるのを感じた。

ゲームは何をもたらすか

 技術の進歩と自信の衰えに今後は素直に向き合おう。さて、ゲームの面白さ自体も昔よりは進歩しているのか。この点は目を凝らして見定めたい。ドラクエやFFや信長の野望は私の人生に何か意味をもたらしたのか。微妙な問題だ。今の発達しすぎたゲーム世界は現代人に何をもたらすのか。大げさなことを言うなよということかもしれないが、これから考えてみたい。