台風19号は死者60人超、河川の氾濫47以上の大災害となった。 当然、農業と物流にも甚大な影響を及ぼしている。
キャベツの大産地、群馬県の嬬恋村では、複数の道路が土砂崩れで寸断され、出荷が二日間ストップした。 長野県は千曲川が氾濫し、北陸新幹線の基地が水没したが、このあたりはりんご園が多数ある地域で、全滅の憂き目にあった生産者が多数いる。 栃木はイチゴの栽培が盛んであり、生育中の苗がかなりの数ダメになったと聞き及ぶ。
自然災害が起こると、その翌日から「被害状況はどんなですか」という問い合わせが卸売市場にも殺到する。 一番(よく言えば)熱心に、(悪く言えば)しつこく聞いてくるのはやはり報道関係だ。 新聞、テレビである。 それは彼らの仕事であるから聞いてくるのは当然だ。 こちらもわかっている範囲で誠心誠意応える、あるいはそうするよう社員に指示する。
しかし、報道関係者を満足させられるような説明はまったくできない。 それだけの情報がまだ集まっていないからだ。
台風一過の日に、被害はいかほどか、と聞かれてもわかるはずがない。 まだ現地の人間は畑にすら入れてないのだから。
被害の程度の大きい人は、自分の命を守るのに精いっぱいの場合だってある。 そういう被災者に、ジャンジャン無責任に電話などできない。
ある程度のことが判明するにはやはり最低でも一週間程度はかかるのではないだろうか。 幸い北陸地方は被害らしい被害は出なかった模様だ。 今回は関東・東北のダメージが甚大だ。
しかし流通というのは回り回って全国に波及するというのもまた事実である。 当市場は栃木県から直接イチゴが入ってくることは少なく、愛知県がメインである。しかし、栃木に大被害が出たなら、いくら愛知が大丈夫であっても全国レベルで供給がひっ迫し、結果的に当市場も十分な愛知県産イチゴを確保できなくなる。相場も上がる。
まだまったく不透明な段階であるが、これから色々な品目で影響は出てくる。しかも長期的に。さらに、20号、21号の卵が発生しているという。 まったく読めない。 でも、だからこそ、青果物流通のプロが社会に必要となるのだ。
市場人は、自分の力で情報を集め、自分の力でそれを咀嚼しなければならない。