金澤市場人錬成塾の勉強会で、老舗料亭「つば甚」を訪問しました。
この錬成塾では毎年この企画を行いますので、私は3回目ですが、塾生は毎年替わるので、ほとんど人にとっては初めての会となります。
まず女将の鍔(つば)正美さんから、料亭のおもてなし作法について。
特に、器に込められた意味についての興味深いお話がありました。
続いてはお昼をいただきながら料理長の川村浩司さんの講和を拝聴しました。
修行時代、市場の仲卸から魚の目利きを鍛えてもらったそうです。
いいものは高くてもいい。だが、最近の〇〇初競り「んー十万円!」という風潮には大いに疑問であるとの見解もいただきました。
また、昔は当たり前のように食されていたものでも、今では「こんな塩くどいもの食べられるか」と敬遠される料理もあり、時代に合ったアレンジが常に必要であるとのこと。
そう、我々はよく簡単に「金沢の食文化が・・・」と言いますが、金沢の食文化って何?と聞かれてちゃんと答えられる人はどれだけいるでしょうか。
私自身はぜんぜん自信ないです。
でも「さあ~?」としか言えないようでは、今すぐ青果物のプロという旗は降ろさなくちゃいけないでしょう。付け焼刃でもなんでも、市場人は答えを持っていいなくてはいけないと思います。
老舗料亭なんて普通はなかなか利用しませんので、塾生諸氏は緊張の面持ちでした。
でも本来、料亭はかしこまるところでもありません。
観光客の方がよく使っていて、市井の人からはむしろ遠ざかっている印象があります。これは料亭からしても本意ではないでしょう。
金沢の食文化は市井の人と結びついてこそ実体を成すはず。
そういう点では金沢の現状はかなり危機的なのです。