今でこそ全国の産品がどこででも手に入る世の中になりましたが、それでも地域ならではの産物や売り方は残っているものです。
当市場でいえば、12月上旬に行われる干しだいこんのせりがそんな冬の風物詩になります。
だいこんはだいこんでも干し大根に適した品種を使います。かつては「宮重(みやしげ)」という品種を使う生産者が多かったですが、最近では少数派になったそうです。「稲架(はさ)」と呼ばれるものに吊るして冬の寒風にさらして干し上げます。
産地は海が近い「浜手(はまて)」と呼ばれる地域…五郎島のさつまいも産地などです。
と、「山手(やまて)」と呼ばれる地域…五里峠なんかがそうですね。
があります。
今年の傾向は、ものすごく太いものが多くて、残念ながらこうしたものは商品価値が低いみたいです。水分量が多く、干し上がりが十分にならないからだそうです。
そのため、太物と細物の価格差がとても大きくなっています。
高いものと安いものが両極端に割れている感じです。
知らない人は「どうやって料が理するんですか」と聞きますが、漬け込んで沢庵にするものであり、料理する感覚ではないです。
最近は自家で漬物を作る食習慣が全くと言っていいほどなくなったので(そもそも漬物自体を食べなくなってきました)、生産も消費も減ってきています。
時代の流れで仕方がないことですが、古くからの日本の家庭の味ですから、大事に引き継がれていってほしいものです。かといって希少価値が高くなりすぎ、ブランド農産物になって「今年の初せり10万円!」みたいになっても困ります。
(自分で漬けない、ほとんど食べない私が言える資格はないかもしれませんけどね。)