語尾を「らしい」としたのは、うちは幸いにしてそれほどでもないからです。
えらいこととは、大市場でミカンが余りまくり溢れかえっているようなのです。
以下はあくまで聞いた噂話なので違ってたらすみません。
豊洲市場では、卸売場だけでは置き場が足らず、屋上までみかんを重ねたパレットが置かれているとのこと。
雨ざらしになってしまうので、上からブルーシートをかけているなんて話も聞きました。
仲卸は、新しく買ったものが屋上に置かれてしまうので、今はなるべく買い控えたいという思いが強く、悪循環に陥っているらしいです。
横浜市場でも置き場がなく、公園にまでミカンが置いてあるそうです!
いくらなんでもこれはフェイクニュースではと疑ってますがどうなんでしょう。
真偽は別として、今年度はみかんが過剰在庫となり、どの卸売市場では山のようになったのは確かです。
大豊作だったわけではありません。
売れなかったのです。
なぜか。
美味しくなかったから。
毎年毎年異常気象ですが、今年は9月の曇天長雨が響きました。
これで極早生みかんが低糖低酸といって糖度(甘さ)が低く、酸味も低い、金沢弁でいうところの「しょむない」みかんになってしまいました。
これは全国的な傾向です。
早生みかんになって少しは改善されましたが、昨年・一昨年がすこぶる食味の良い年だっただけに、美味しさに慣れた消費者の舌を満足させることはできず、販売低調に陥りました。
金沢市場でも12月後半は置き場がないくらいに溢れました。
今でも場内整理に社員は苦しんでします。
しかし、東京や大阪など、大都市はもっと悲惨な状況らしいです。
入ってくる量がうちらとはケタが違いますからね。
溢れかえるミカンはそのほとんどが売れ悩んでいる滞留品ですから、日数が経つほどに品物は傷んできます。
傷んでくればそのまま出荷できず、選別をやり直すなど余計な人手を食い、ロスが大量に出ます。最悪の場合、全量廃棄になるかもしれません。
それは通常は卸売会社の欠損になります。
こうした廃棄ロスは、卸売会社の財務状況を悪化させる一番の原因となります。
別に、卸売会社だけが酷い目にあうわけではありません。
産地も厳しい、仲卸もきびしい、小売もきびしい。
そして、みかんが美味しくなくて消費者は悲しい。
誰も悪くないし、誰も得していません。
気象条件によって、こうした憂き目に会うのは青果物の宿命であり、卸売会社がその時大きなリスクを担ぐのは、ある種、定めであると私は思います。そのリスクを負うからこそ青果業は難しく、そのプロは矜持を持ってしかるべきなのです。
しかし、昨今、中間流通は損ばかり背負っている面もまたしかりであり、今後実現したいのは、せめて儲けられる状況の時はガツンと儲けさせてもらう、という業界構造の改革です。