昨年に成立した「改正卸売市場法」のもと、この春には金沢市議会で「業務条例」ならびにその具体的規則である「業務条令施行規則」が審議され、公布される。
そして6月21日から実際上の適用が始まる予定となっている。
現時点で提示されているのは「施行規則案」であり、この案に対して何か意見はないかと市より打診を受けている。
せりのやり方をどうするこうするといった細かいルール設定が多いので、行政は問題なくスッと通るだろうと思っているかもしれない。
が、ことはそう簡単ではないのである。
我々卸売業者にとっては仲卸の直荷引きというのは大きな問題である。
同時に、仲卸にとっては卸の第三者販売は大きな問題である。
この両方がこたびの法改正で表向きフリーになった。
フリーになった代わりに、報告義務が厳しくなった。
今までも実質的には好き勝手やってたんだから規制が緩和されたところで何も変わらないよ、と言う人は結構いる。
しかし私はこれは大きな変革になり得ると危惧している。
よい方向の変革になるか悪い方向になるかは業者の良識と知恵次第だ。
自社の損得だけを考えれば、際限なく直荷引きと第三者販売は拡大する。
これは長期的に見ればその市場の弱体化を招くと思う。
だからこそ、報告と、その後について回る市場使用料の支払い義務は厳正に行われなければいけない。
市場の番人役は、条例と規則に書いてある通りに厳格に管理監督しなければならない。
自戒・反省を込めてだが、卸売市場業界はものごとへの思慮が甘い。
もっとこの段階に来るまでに議論を尽くしておかねばならなかった。
うちの市場も甘いが、全国的に見てどこの市場も似たようなものだ。
だから市場流通は衰退したとも言えるし、だからその低レベルさえ脱すればいくらでも巻き返せるとも言える。