同窓会報ヘ松本尚君について寄稿(記録)

金大附属高校同窓会報への寄稿

 母校の同窓会の会報事務局から、先の総選挙で当選した同級の松本尚君について寄稿してくれとの依頼を受けたので、以下の原稿をしたためた。記録する。

松本尚君が総選挙で当選

 32回卒業生の松本尚君が、10月31日投開票の第49回総選挙で勝利し、千葉13区の衆議院議員に就任しました。彼は日本医科大学千葉北総病院・救命救急センターで長年に渡って救急医療の最先端に立ち、「ドクターヘリ」の第一人者として功績を残しました。近年は千葉県庁の医療調整本部でコロナ対策の陣頭指揮を執りましたが、政治・行政が遅々として進まない実態を目の当たりにし〝今の日本は非常時に国民の命と生活を守る体制にない〟ことに危機感を募らせました。

 彼は次第に一人の医師としてより政治家となるほうが国に貢献できるとの思いを強くし、ついに昨年6月に大学を辞職し、自民党公認で出馬しました。選挙戦ではSNSを駆使したオープンな情報発信と、一日も欠かさず続けた辻立ち等のドブ板活動を両立。激戦必至の選挙区で10万票超を獲得し、見事当選を果たしました。我ら32回生としては、参議院議員の岡田直樹・元内閣官房副長官と並び、同期で二人目の国会議員誕生となり、大いなる誇りを感じます。

 松本君は今後、災害派遣医療チームの法制化、国産ワクチンなど創薬への投資強化、憲法における緊急事態条項の新設など、医療改革に邁進していくことになります。我が国は感染症だけでなく、地震や火山活動、河川氾濫など自然災害の脅威が増大しています。災害に対する安全保障の構築は国の急務です。医療の現場から国政の現場へ。ステージを移しての彼の活躍に大いに期待して下さい。

青果物の週間情報 【2022-W25】

■週の概況 第25週 6/20(月)~ 6/25(土)

【全体】

 野菜全般は産地切り替わり期でそれほでボリュームが多いわけでなく、市況はそれなりに堅調である。しかし暑さや湿度の高さもあって消費は活発でなく、動きは重たい。例年のことではあるものの、この頃から家庭菜園も成り始め、郡部の小売店ほど青果物販売が厳しくなるのも悩ましい。現時点で軟調が目立つのはジャガイモ、キュウリあたりだ。逆にブロッコリーは一時過剰気味で安値だったが、地元産が切り上がってきたのでこの週からは底上げしそう。トマトは依然として品薄が続き、高値傾向が続く。
 果実は順調な出方を見せている。サクランボはピークの週であり、桃は品種が日川に変われば一気に増量しそうだ。各品目例年並みの入荷量が期待できるが、燃油や資材費の高騰を背景に果実の市況は例年よりやや高めの印象がある。輸入フルーツも品薄高値感があり、現に輸入量は減少傾向だが、当市場は順調に入荷できる見通しである。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、レタスは長野産をメインに前年並みの数量となる見込みだ。青梗菜は県内産を主体に潤沢な入荷。ブロッコリーも県内産がピークとなり前年以上の数量が予想される。とうもろこしは愛知産を中心に前年より数量増、単価安の展開となる。菌茸類では、少量ながら松茸が始まる。
 果菜類では、胡瓜は増量傾向と荷動きの鈍さから価格は下がる。茄子は順調な入荷で前年以上の数量が見込まれる。トマトは数量少なく引き合いが強まり高値継続する。豆類ではインゲンは減少し、相場は強含みとなる。枝豆は低温と降雨で生育は遅れ気味だ。
 根菜類では、和歌山産の梅は終盤を迎える。大根は後続の産地も加わり前年を上回る数量となるだろう。馬鈴薯は潤沢な入荷で前年より安値で拡販が可能だ。長芋は値上げが予想されるが前年並みのレベルで止まりそう。生姜は安定した入荷で気温の上昇に伴い引き合いが出るだろう。

【果実】

 国内果実では、西瓜は大玉傾向で順調な入荷となる。サクランボは佐藤錦を中心に増量傾向だ。桃ははなよめ、日川白鳳主体に例年並みの数量となる。いちじくは降雨で産地からの出荷は遅れ気味で、不足感は続きそうだ。ぶどう類では、翌週に県内産のデラウェアーがスタートする予定。
 国外果実では、バナナは国外需要の高まりから、前年より高値推移が続くだろう。台湾産パイナップルは昨年より早い切り上がりとなりそうだ。キウイは潤沢な入荷。反対に、アボガドは、引き合いが強いことと入船の遅れから品薄高が続く見込みだ。

利家とまつリレーマラソンに若手チームが参加

大会再開、参加再開

 昨日の日曜日、「利家とまつ 金沢城リレーマラソン」が開催された。1周1キロのコースを4人以上で走り、タスキを受け継いで20キロを走破する。コロナで3年ぶりの開催だ。我が丸果からは若手が13人でチームを結成し参加した。結果は131チーム中、59位で中の上である。立派なものだ。何よりみなとても楽しそうだったのがよかった。

今回は裏方に徹する

 私は側面サポートに徹した。レース後は皆で会社に帰ってランチ会をするというので、義弟が経営する「金澤ななほしカレー」のデリバリーサービスを手配した。また、費用支援のため、会社の部長以上の面々にカンパをお願いする口添えをした。

若手世話役の奮闘

 何年か前、私が企画し、参加を呼びかけ、打ち上げの段取りも全てこなした。お揃いのポロシャツまで作って盛り上げた。それなりに成功したと思う。そして、次回からは若手が引き継げばいいと身を引いた。だが続かなかった。私の独りよがりだったかと内心ガックリした。その後は私も臆病になって、企画を組む気が起こらなくなった。ところが今回、若手の山口くんが「リレーマラソンやります。メンバー10人以上集めました。専務も参加しませんか」と言ってきた。先約があったので残念ながら参加できなかったが、とても嬉しかった。こういうイベントものは絶対やった方がいい。やれば得るものは大きく、失うものは何もなく、いいことだらけだ。ただ、お世話役はエネルギーを食う。だから周りが少しずつでも助けてやらねばならない。そして参加する者はお膳立てへの好意と感謝の意を表さなくてはならない。それを続けることで集団は親近感と結束力が固まっていくのだ。

人材の宝庫となる

 とにかく、世話役を自ら買って出た山口くんには感謝だ。ご苦労さんでした。これからもなんとか続けてほしい。また、一緒になってやってくれる仲間を増やしていってほしい。カレー配達してくれた妻が私に言った。「丸果にはいい若者がたくさんいるね」。そうなんだ。一時期にたくさん辞めてしまうことがあって本当に心が痛かったし今も会社は人材面で苦しいのに変わりがないが、今残って頑張ってくれている若い力は会社の宝である。もっともっと増やしていかねばならん。若手の自発的パワーだって素晴らしいのである。やがて必ず、我が社は人材の宝庫と呼ばれる会社になる。リレーマラソンという遊びの場ではありながら、そうした思いを強くした機会であった。

青果物の週間情報 【2022-W24】

■週の概況 第24週 6/13(月)~ 6/18(土)

【全体】

 沖縄、奄美、関東甲信で梅雨入りしたものの、全国的には平年より遅い梅雨入りペースのようだ。しかし、この週の中頃から前線が本州付近に停滞し、北陸を含め続々と梅雨入りするだろう。雨の降り方次第で出荷の波は大きく変わるので、この時期の市況は予測しがたいものがある。
 一方で産地の切り替わりが進んでいる。ミニトマトが「もがき」である。九州産が予想以上に早く切り上がり、後続産地が追い付いていないためだ。人参も少なく品薄強含みである。一方、葉茎菜類は潤沢で弱含みとなる品目が多く、ジャガイモはかなりのだぶつき感が出て低迷している。
 果実は石川の西瓜・小玉西瓜が出回りる。今季は昼夜の寒暖差によって糖度が上がり、非常に食味良く仕上がっている。山梨の桃もスタートし。昨年ほど早くはないが、例年よりやや前進出荷で品種が切り替わる見込みだ。サクランボ、メロンは順調だ。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、レタス・ブロッコリーは順調な入荷となり価格は緩んでくる見込みだ。葱は安定した数量で単価は前年並みとなる。キャベツは茨城産の出遅れが見られるが、徐々に増加する見込みである。アスパラは九州産地から前年以上の入荷を予定する。
 果菜類では、胡瓜やトマト、インゲンは主要産地が終盤となり、品薄高の展開となる。ミニトマトは品薄傾向が顕著で、一層の高騰が予想される。茄子は減少傾向だが、数量は前年並みにある。ピーマンは安定した数量で単価は下がるだろう。季節商材では、県内産の打木赤皮甘栗かぼちゃが始まった。
 根菜類では、人参は出回りの少なさから価格は上げに向かう。玉葱は、数量が伸び切らないものの、高値疲れから単価は下げが予想される。生姜は引き合いが強くなるが、前年と比較して数量増、単価安だろう。季節商材の梅とらっきょうは順調な入荷で価格はもう一段下がる見込みだ。

【果実】

 国内果実では、さくらんぼは佐藤錦を中心に入荷は増量し販売拡大が期待できる。西瓜・小玉西瓜は県内産がスタート。大玉傾向で例年並みの数量が見込まれる。いちじくは前年並みの入荷ながら、降雨で数量は伸び切らない。マンゴーは父の日の特売を控え堅調な価格推移となる。山梨産をメインにぶどうが入荷中。桃も始まる。
 国外果実では、アメリカ産チェリーは例年より少ない状態が依然として続きそうだ。シトラス類は、国外での引き合いが強く高値推移となる。

金沢すいかと橋田組合長

大玉・小玉揃ってのセレモニー

 本日、金沢市産の大玉すいかの初販売を迎えた。金沢における園芸作物トップの産出額を誇るのがこのすいかである。打木安原地区が中心地であり、粟崎五郎島の小玉スイカと並んで「金沢そだち」というブランドになっている。この日は、約1週間前に始まった小玉すいかとともに、シーズンスタートのセレモニーが行われた。大玉の代表者として副部会長の戸水さんが、小玉の代表者として部会長の元林さんが挨拶をされた。大玉のせり販売では、「金」「沢」の字が入ったプレミアム級が特製木箱に入って販売され、ご祝儀価格15万円でせり落とされた。せり落としたのは最近すっかりお馴染みとなった「HORITA(堀他)」の松崎氏である。(毎度、生産者の励みになる価格を出してくださり本当にありがたいことである。)

橋田組合長の名演説

 セレモニー冒頭では、加賀野菜や金沢そだちの初せりで名物となった「金沢市農協・橋田組合長の名演説」が繰り広げられた。「待ってました〜!金沢すいか〜!栄養満点!甘さ最高!誰もが大好き〜金沢すいか〜!」の調子が延々10分間続いた。この素晴らしいパフォーマンスに対して、正対する仲卸小売軍団は、なぜそんなに無愛想なん?と突っ込みたくなるほどの無表情で迎え撃つ。彼らに悪気はない。シャイなのだ。演説する橋田組合長のハイテンションと、受ける仲卸小売側のローテンションの妙なバランスが面白い市場の風物詩であった。

今までのご尽力に感謝

 そんな風景も、これが最後となることが発覚した。橋田組合長は、6月末に予定されている総代会を持って組合長を退任されるそうである。大変残念なことだ。組合長は、元々園芸畑ではなかったので、野菜や果物について知識がある方ではなかった。だが、とても謙虚で優しいお人柄であり、金沢の農産物に対するPRには誠心誠意、いつも全力で臨まれていた。加賀野菜の会合では気を遣ってくださり、必ず私に話を振って下さった。金沢マラソン前夜祭では、ミーハーな私に付き合ってくださり、有名人との記念撮影にともに突進して下さった。偉ぶらず、誰からも親しまれる方だった。これも卓越したリーダーシップのあり方と思う。残念ではあるが、今までのご尽力に深く感謝申し上げなければならない。

大変お世話にもなり、また、多くを学ばせていただきました。ありがとうございました。

メディアのずれ具合

相次ぐ玉ねぎ報道

 昨日、会社にローカル局の石川テレビから取材が入った。「玉ねぎの高騰について、その理由をインタビューしたい」というものだった。玉ねぎ担当の当社浦川さんが対応した。夕方、家に帰ったら、NHKで「玉ねぎ高騰」のニュースを放映していた。「NHKも…?」と思った。そして本日、出社して北國新聞をめくってみると「玉ねぎ高値に悲鳴」の記事があった。おいおい、いったい何があった。

実ははるか前からの事象

 確かに玉ねぎは高い。だがそれはずっとずっと以前からだ。今にわかに起こった話ではない。北海道産が異例の干ばつで、平成3年度産が凶作となった。玉ねぎは毎年夏から春は北海道産の独擅場である。昨年夏に不作が決まった時点で、ずっと高値が続くことは確定事項だったのである。

値上げネタの便乗?

 その高値状況について、われわれ流通業者は、お客様や消費者に情報を提供し続けてきた。ところがメディアはなぜか一斉に「まさに今!玉ねぎが高くて大変だ!」という論調で騒いでいる。ロシア-ウクライナ問題や円安で値上げラッシュだが、その農産物便乗バージョンだろうか。

お決まりの展開

 メディアは高値をニュースにするのが本当に好きだ。生活が苦しい、家計が苦しい、商売が苦しい、でも踏ん張るぞ…。その手のストーリー仕立てが得意中の得意である。農産物が高値をつけると必ずどこかのスーパーのおっちゃんが「でも我々はお客様のためになるべく価格を据え置きます」だの、カレー屋のあんちゃんが「価格を上げたいけど、利益を減らして辛抱してます」だののたまうのだ。

始めに結論ありき

 そのニュースが正鵠を射ているなら問題ない。だが、だいたいずれている。現に玉ねぎ高騰はすでにピークを過ぎている。北海道の後続産地である長崎、淡路島が始まり、高値はかなり緩和されてきている。何を今さら、のニュースなのである。取材を受ければ当然我々はそれを説明する。「いやいや、違います、まだ少し高いけど、平年並みに戻ってきています」と。だがその部分は採用されないのだ。メディアは結論ありき。玉ねぎが高い!という論調は、取材前から決まっているのだ。インタビューではその結論に沿った部分のみが使われる。

真実、誤報、捏造

 そのミスリードは〝誤報〟に近い。さらにひどく言えば〝捏造〟だ。何も青果物だけの取材態度ではないのだから、新聞・ラジオで報道される情報の何割かは〝かなり怪しいもの〟と言わざるを得ない。

メディアの本分

 先入観は誰にでもある。だが、取材して誤りだと気づいたら、素直に方向転換できないものか。「…記者はそう想定してきたが、実態は違っていた」という記事の方が読んで面白いと思うだが。真実に近い報道と正鵠を射た論評がメディアの本分であるならば、気骨あるジャーナリズムの登場を期待したいものだ。

天地返しと市場の組織論

北陸農政局の調査

 本日、北陸農政局より市場調査のご依頼があり、野菜統括の島田部長とともに面談に及んだ。テーマは二つ。持続可能な物流形態としての循環型パレチゼーションの実態と、有機農産物の取り扱い実態である。有機については別の機会にして、今回はパレットについて書いてみたい。

規格統一は問題ないが運用は至難の業

 パレットの規格統一については全国的にも比較的スムーズに進めることができる。1.1メートル×1.1メートルのサイズは今やスタンダードで問題はない。だが、いわゆるレンタル方式(パレットの集積と回収)がきちんと履行されるかについてはかなり否定的だ。パレット輸送はトラックにそのまま載せられ、そのまま降ろせるから効率的なのであって、市場から外へ流出してしまうと回収が難しくなる。全てを管理するには、専門の人間が張り付かなくてならず、現実的ではない。

天地返しは普及困難

 そこで考え出されたのがいわゆる「天地返し」のフォークリフトだ。到着した荷物のてっぺんに空のパレットを載せ、上下から挟んで180度ひっくり返す大技を繰り出す。積んできたパレットはその場で返却する。その時点では商品の天地が逆さまなので、もう一枚空パレットを載せて再度天地返しする。一見便利そうだが、なかなか手間である。地味に積み替えるのと天地返しとどちらが簡単なのか微妙だ。それより、天地返しすることで大きなダメージを負ってしまう品目が多々あることこそ問題だ。大丈夫なのは芋玉ぐらいで、大根・人参でも無傷では済まない。荷下ろしで農産物にダメージを与えるやり方が支持されるわけがない。かつてのシートパレッ方式も長続きしなかったが、天地返しもおそらく普及しないのではないか。

とはいえ、適応は必然だ

 以上のように現場は決してうまく回っていないわけだが、環境問題が背景にある以上、最終結論は決まっている。通いコンテナ・通いパレットに適応する以外に道はない。むしろ、その管理をしっかりやれる市場しか出荷に価しないという時代に入っていく。うんもチュンもないのである。とすれば、市場運営は一つの企業体で管理する必要がますます強くなっていく。市場の「場」という概念は崩れ、「秩序」をさらに求められる。パレット問題は、突き詰めれば市場の組織体論にも関わってくるのである。

Nintendo Switchがやってきた

息子よ、よくやった!

 今月の衝動買いはNintendo Switchである。と言っても買ったのは私ではない。息子だ。朝起きて居間のテレビの前に座ったら、このマシンが鎮座していた。今どきのTVゲーム機には疎いので、寝ていた息子を起こし、これは何だと聞いた。息子はたたき起こされて、ひょっとして叱られるのか?と一瞬身構えたが、自分はもう18歳の成人で親の了解を必要とする年ではないはずと開き直り「それはNintendo Switchだ」と応えた。私は「よくやった!」と褒めた。この年になって自ら買い求めてゲームにはまる気はない。だが、かつてはファミコン、スーパーファミコン、PCエンジン、メガドライブ、ゲームボーイの5機を使い回したバカヤロだ。プレステや任天堂のマシンには興味はそこそこあったのである。

息子よ、父さんも遊ばせて!

 息子にお願いし(弱!)、私も使っていいことになった。息子はアクション系が好きであるが、私はジックリ系(RPGかシミュレーション)がいい。そこで考えたあげく、Switchの代表作である『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をネットから購入することにした。2017年発売。任天堂がSwitchの発売と同時に出した、マリオとともに社運を賭けた勝負ソフトである。

驚愕と失望と

 やってみた。作りこみの精緻さ、こだわりの深さ、世界観の完成度の高さ、発売して5年も経ったのにそのクオリティの高さに驚愕する。これにはまってしまっては自殺行為だぞと厳に自戒する。が、ちょびっとははまることは確定的な魅力に溢れていた。そして、驚愕と同時に私を襲ったのは、自身に対する失望だ。操作が覚えられない。A、B、X、Y、R、L、ZL、+、-…いったい何個のボタンとグリグリを使いこなさなくてはならないのだ。横で見ていた息子が見かねて「ちょっと貸して」と私からコントローラーを取り上げた。彼もゼルダは初めてである。だが、いきなり私の5倍は早いスピードでマップを駆け回り、敵をなぎ倒し、あっという間に最初のシナリオをクリアーしてしまった。…。息子がすごいのか、私がチョロいのか。なんとも複雑な気分である。この老害め、と自分より年長者を心の中でののしってきた醜い言葉群が、一斉に自分に降りかかってくるのを感じた。

ゲームは何をもたらすか

 技術の進歩と自信の衰えに今後は素直に向き合おう。さて、ゲームの面白さ自体も昔よりは進歩しているのか。この点は目を凝らして見定めたい。ドラクエやFFや信長の野望は私の人生に何か意味をもたらしたのか。微妙な問題だ。今の発達しすぎたゲーム世界は現代人に何をもたらすのか。大げさなことを言うなよということかもしれないが、これから考えてみたい。

能登3JAが合併を断念

協議の打ち切り

 本日の北國新聞一面のトップ記事が「能登3JA合併断念」だった。JA珠洲市、JAおおぞら(穴水町)、JA能登わかば(七尾市)の3農協は2年前から合併推進協議会で調整を続けてきたが、今年4月の発足が見送られたのに次いで、今回協議そのものを打ち切る決定となったものだ。

石川県の合併構想は暗礁

 以前から、調整は難航している、厳しそうだという話は聞こえてきた。だが、石川県中央会が発表した「県内を能登・金沢・加賀の3農協に集約するプラン」の先駆けとして、能登の合併は最も実現性が高いとも言われてきた。それがご破算になった。能登よりも加賀、加賀よりも金沢はさらに調整は難しい。石川県の農協合併は暗礁に乗り上げた格好である。

大農協と零細農協の温度差

 他県では県内の農協をすべて統合する「県1JA」も存在する。1999年の奈良県で発足したJAならけん、その後香川と沖縄、島根、山口が続いた。県1JAでなくとも、ほとんどが合併に参画した県の例もある。農協合併は全国的な趨勢なのだ。大型合併は、規模拡大による経営の安定が目的である。合理化・コスト削減によるメリットは少なくない。しかし、民間の株式会社ならば経営トップの判断で他社との合併が一気に進むところ、組合組織は組合員の理解・賛同が不可欠であり、調整が難航することも珍しくない。むしろ、経営状況の良い農協の方が、首を縦に振らないケースが多いと聞く。「こちらは単独でも十分にやっていける。苦しいところとなぜくっつかなければいけないのか」という理屈だ。合併のメリットは零細な農協ほどあるということらしい。

全方位からの再検討を

 我々、市場流通業者にとっては、農協合併はメリットがある。今までA県からはA-1農協のみ野菜を委託出荷してもらっていたのが、合併によってA-2農協、A-3農協の野菜も扱えるチャンスになる(こちらの販売能力がなければ、逆にA-1農協も切られゼロになってしまう恐れもあるが、それは当方の頑張り次第である)。その点、今回の合併断念は基本的には残念と言わざるを得ない。石川県ば農業零細県だ。地場野菜の量は少なく、担い手の減少率が激しい。この問題は合併をすれば解決されるわけではないものの、県全域での農業振興の在り方をプランニングする必要に迫られている。全農、各単協、行政、そして我々流通業を含め、全体幸福を見据えた歩みをあきらめるべきではない。

金城大学短期大学部で講義VOL5

5回目の金城短大

 昨年もほぼ同時期(2021年6月28日)に講座をもたせていただいた(昨年の6月29日のブログに報告あり)。金城大学短期大学部のビジネス実務学科2年生を相手にする授業である。今回で5回目だ。担当教官の越野先生が「初めてお会いする2年生ですから、昨年と全く同じ内容で構いません」とおっしゃるので、楽して2点を除いて同じ内容で臨むことにした。

目いっぱい真面目に講義

 変更した2点とは、一つはコロナ禍とウクライナ情勢を食料事情と絡めた話を挿入したこと、もう一つは講義中盤でやっていた販売ゲームをやめたことだ。販売ゲームは毎度好評だったが、後半、話す時間が足らなくなって授業が消化不良に終わってしまっていたから、今回は思い切って遊びをやめ、めいっぱい講義にしたのだ。

結果は失敗

 結論。くやしいことに、手ごたえとしては今までで一番ダメな授業となった。やはり90分というまとまった時間では、起伏のある展開を作らなければ単調になる。クイズ形式で進む展開も、それだけだと学生は飽きてくる。明らかに後半は失速感が出た。

面白さこそが存在価値

 中身を欲張りすぎたことが原因だ。これもあれも全部盛り込むのは、講師の自己満足に過ぎない。受け手はそこまでのキャパはない。おそらくは自分が話したいことの2割ほど分量を減じ、これだけは!というポイントを絞ってこそ学生の心に残る。私の講義内容など所詮付け焼き刃の借り物に過ぎない。90分間学生が飽きずに聞けて、ああ面白かったと思ってくれることこそが私にとって重要だ。

人に影響を残す喜び

 よって今回は失敗と自己採点する。次回もしチャンスがあれば雪辱を期す。越野先生が一つ嬉しいことを教えてくれた。昨年受講した学生の一人が、私のシミュレーションゲームに刺激を受け、学祭の模擬店舗で「あの講師が教えてくれたように、仕入原価と販売単価をしっかり設定して、学祭で大きな利益を出すんだ」と意気込んでいたそうだ。面白い授業ができれば必ず誰かに影響を残せる。それこそが人材育成の喜びであり醍醐味だ。