能登の栗が厳しい状況におかれているらしい

 果実部の靏尾(つるお)君に教えてもらった話です。

 石川県産の栗の主な産地は能登地方、特に穴水町ですが、生産量は年々減少しています。 今年の作況は輪をかけて厳しいらしく、全体的に小粒で、前年の半分程度の量しか採れない見込みとか。
それでも産地はなんとかがんばって、この秋も出荷して下さるので、市場としては大変ありがたいことです。

 問題は来年以降です。

 栗は虫が入りやすく、産地は出荷前にその駆除に工夫をこらします。 特殊な冷蔵や水につける洗浄によって虫を死滅させたり取り除いたり、産地によってその方法はいろいろです。

 穴水では昔から「燻蒸(くんじょう)」といって、ガスをいぶすことで殺虫する方法をとってきました。
でも来年以降、ガスの元となる薬剤の製造が中止になって、その技が使えなくなるそうなのです。
施設自体かなり老朽化が進んでいたので、早晩新しい方法に切り替える必要はあったと思いますが、現時点で方向性はまだ決まっていません。

 水槽方式にしても冷蔵方式にしてもかなりの投資になりますから、先細る生産量との兼ね合いで、産地は難しい選択に迫られます。

  地元で採れる日本栗は今や貴重な秋の味覚です。
産地・市場・行政らが皆で知恵を出し合い、お金を出し合い、精を出し合って守っていくべきものと思います。

水曜開市日はひまなのだ

赤い水曜が休市でそうじゃないのが開市。

この文を書いている今は水曜日である。
水曜日は通常、卸売市場の臨時休市日にあたり、うちの社も休業日となる。
だが今日は開市日であり会社も営業している。

祝日や振替休日がある週は、水曜日が休市でなく開市となる。
こういう週は年間で10週ほどある。
しかしこの日は営業しても「暇だ」「静かだ」「休めばよかった」となるケースが多い。
理由は簡単、お客さんが来ないからだ。

お客さま=小売店側には「水曜は休市」という意識が定着している。
日曜と水曜は市場に行かないと決めてしまった方が週間の業務パターンがルーティーン化するし、いちいち市場カレンダーをチェックする必要もなくなる。それでも仕入に何ら支障は出ない。よって水曜開市は卸・仲卸にとって開店休業に近い状態になる。

この傾向は何年も前から指摘されてきたことだ。

ならば、川下(=小売店)のニーズに合わせて毎週水曜を休市に固定し、あとは

①世間一般の祝日・振替休日は開市にして営業するか
②祝日・振替休日も休市にするか

の2択で議論すればよい。
近年の風潮では②の方が優勢かもしれない。
(私の感覚では正直「また休み!?」と年中休みだらけに感じてしまうが。)

水曜を必ず休みにしたほうがよい、というのは現場で働く人びとに共通した認識だと思う。
もちろん、川上(=青果物を出荷してくれる生産者)あっての市場だから、彼らの理解と協力は得なければならないが、①も②も考え方は極めてシンプルであり、現在のイレギュラーな決め方よりも理解はむしろ得られやすいだろう。

だが実際はそうなってない。それどころか東西で休開市の食い違いが何日も出ている。
水曜開市のたびに現場からは「仕事にならん。だから休めばいいって言ったじゃん!」と恨み節が出る。
暇を持て余しモチベーションを低下させるよりは、と仲卸の中には開市日でも役員や従業員を休ませる賢いところもある。

このように毎年同じ轍を踏むのはどうしたわけか。
きっと、現場から離れたポジションの人が休開市を決めているのだろう。
あれこれ理屈はあると思うが、肝心の川下のニーズ・現場の声を聞いていない気がする。
業界の硬直はこうしたところに現れる。

毎週、日曜と水曜を休市にする。
やってしまえば2~3年経たずして当ったり前の市場常識に定着するはずだ。
簡単なこと、シンプルなことはサクッとやってしまおう。

青果部取引協議会を開く。それと消費税軽減税率にまつわること

 きょう、金沢市中央卸売市場で臨時に「青果部取引協議会」を開いた。 一応、私が会長を務めている。

  議案は二つあった。
一つ目は「消費税制度の変更にともない、代金決済の締め日を9月30日に臨時で締める」。

  野菜とくだものは軽減税率適用で8%据え置きだが、10月1日から請求書等の記載内容が8%と10%で分けて明示しなくてはならない。 また、完納奨励金の税込支払額も変更になるから、9月末日で一度締めた方がよいという業界案になったものだ。 これはいいと思う。
問題は次だ。

  二つ目の議案は「完納奨励金の計算方法が変わる。税込支払額も変わるから、ついては覚え書きを交わさせてほしい」というものである。

 具体的には
①現行 売上(税抜)×1.08(消費税)×10/1000(完納奨励金率)
②改定 売上(税抜)×10/1000(完納奨励金率)×1.1(消費税)

  野菜とくだものは8%据え置きだが、完納奨励金は食品ではなくサービスだから、それにかかる消費税は8%ではなく10%になる。

 これは完納奨励金に限らず、出荷奨励金にも同様に適用されることだ。 すでに各農協から続々と改正の覚え書き提出要求が来ている。

  そして、この計算方法変更については、「支払う金額が変わって負担が増えることになりますがいいのですか」 と社員から相談があった。

 なんで!?
消費税なんだから、10%であろうが8%であろうが、企業は仮受消費税と仮払い消費税の差額を支払うのであって損益には関係ないだろう、 と言ったがその場でははっきりせず、会計士の先生に説明してもらってやっと納得した経緯がある。

 元々①の最初に消費税をかけるというやり方は理屈からいって間違っていると思うので、これを全国的に統一させた役所も役所だが、やはりここにきて、軽減税率というものの煩雑さには頭を抱えるばかりだ。  

 これで税収が改善されるなら結構なことだが、8%から10%という極めて中途半端な、しかも食品を除いた限定的な増税など、消費マインドを冷えさせるだけで、逆に税収の落ち込みにつながりはしないだろうか。  

 このたびの消費増税は「天下の悪法」になるのではないか。

矜持

矜持 読み:きょうじ 自信や誇りを持って、堂々と振る舞うこと。 矜(きょう):矛の柄(矛の持つところ) 持(じ):持つ 矛の柄は昔の武士や兵士がプライド・誇りのよりどころにしていたものです。 一方、「持」の右辺の寺にはじっと保つという意味があります。 彼は大学教授としての矜持を守った。 金銭や名誉に屈することなく私は医師としての矜持を貫いた。 矜持を捨てないことにした。 pride(自尊心、自負心) dignity(威厳、尊厳、品位) self-esteem(自尊心、自惚れ、自負心) 「矜持」と似た言葉に「矜恃」という言葉があります。 ~としての矜持を胸に仕事に励む