能登の正月飾り

こちらは金沢のしめ飾り

正月飾りも地元産で!

 注連飾り(しめかざり)など正月飾りは卸売市場で扱っている。稲わらを使って農家が作り上げるので、農産物と同じように売買する商習慣が出来上がっているのだ。必然、我々は地元の生産者が作った締め飾りを市民にPRすることになる。〝金沢のお正月は金沢の〆め飾りで!地元の稲わらを使っています!!〟といった売り文句だ。

能登でよく使われる輪飾り

金沢と能登の注連飾り

 このお正月飾りだが、金沢と能登では作法が異なる。〆飾りは、金沢では家の大きさに応じて大・中・小があり、あくまでも「しめ飾り」なのに対し、能登では「輪飾り」という略式的なものが一般的だ。

能登の蓬莱

 能登では「蓬莱(ほうらい)」という文字飾りもポピュラーだ。主に石川県の奥能登に浸透している正月の縁起物で、神棚に飾られる。奉書紙に「福寿」と書くことが多い。また、文字を切り抜いて切り紙細工にした商品も多数販売されている。

市場人はもっと勉強せよ

 狭い石川県の中でも地域によってかくも様式が異なる。私は能登の風習についてあまり勉強してこなかった。これは大いに反省すべし。足元をしっかり固めず遠くばかり見ていてはダメだ。また一方で、多くの地元の若者も能登特有の文化を知らずに育ったはず。伝統的な正月飾りはオシャレではないか。啓蒙することで、まだまだ需要が伸びる(いや、取り戻すといった方が妥当か…)と思う。市場人はもっと勉強しなければならない。

今年のテーマは〝挑戦〟

本日初市

 本日は金沢市中央卸売市場の令和4年初市だった。毎年1月5日が初市というのは、古今東西変わらない。雪に見舞われた年末年始だったが、初市においては大きな混乱もなく、まずまず平年なみの入荷となった。

ローカルニュースに出演

 年末の止市(とめいち)と年始の初市はマスコミが取材に来る。テレビ局の場合は、せり販売の模様と業界関係者の抱負をニュースで流すのが定番だ。卸売会社の代表ということで、年末の止市に続いて今日も私がインタビューに応じることになった。別に私が適任というわけではない。せり中に暇そうにブラついていたところを捕まっただけである。

新年互礼会

 初市ということで、午前11時より市場関係者が集まっての新年互礼会が開催された。だが依然コロナ禍ということで飲食はなし。運営協会会長、市長のご挨拶のあと、今年の商売繁盛を祈願して三本締めでお開きとなった。その後は会社に戻り、役員・部長が集っての社内互礼会を開いた。大西社長は宣言した。

〝今年は挑戦の年だ。各人が必ず、挑戦することを実行に移してもらいたい〟

ただ気勢を上げるだけではない。具体的に行動に移せということだ。奇しくも今年は壬寅(みずのえとら)の年である。壬寅には「新しく立ち上がること」や「生まれたものが成長すること」という意味がある。新しいことに挑戦するのが吉!の年なのである。

全員が一丸となって

 組織が進む上で一番大切なのは、全員が動くこと、そして同じ方向を向くことだ。昨年は非常に厳しい年だった。今年のテーマは挑戦である。取るべきリスクは取り、果敢にチャレンジしなければならない。

年賀状をやめる人が増加

年賀状減少の理由

 我が社は今年から会社から出す年賀状を辞めた。個人でも年賀状をやめる人が増えている。年賀状は2003年をピークに漸減傾向にあったが、この1~2年の減少度合いが加速度的である。その理由として、よく言われるのが下記3点である。

①SNSが普及し、はがきを出さなくても簡単に近況報告できるようになった

②年賀状にはお金と手間がかかり、そこまでする必要はないと考える人が増えた

③個人情報保護で個人宅の住所が入手し難くなった

コロナと虚礼廃止

 上記の理由に加え、私は次の点も理由にあると考える。②にかぶることではあるが、

④年賀状を〝虚礼〟と捉え、世間の風潮に乗ってこれ幸いと辞めてしまう人が増えた

この風潮を後押ししたのがコロナだ。会議・集会・出張・会食など激減し、必要なことはオンラインで自室からチャッと済ます。お通夜、お葬式は回り焼香で終わり。手間と時間は省いてみたけど全然大丈夫じゃん、という空気。コロナと年賀状という本来無関係なものが、コロナ⇒オンライン普及⇒紙文化(=虚礼)の廃止 という図式で結びついた。

生存だけを知らせる代物

 今年で辞めると宣言した人は素早いほうだ。今後年を追うごとに廃止がどんどん増えるだろう。それを証拠に今年頂いた年賀状は〝元気のない年賀状〟が多い。元気がないというより、やる気がないというか。何の変哲もない図柄と文面で、もらった方も一瞬で読む気が失せる代物。一言コメントもなにもない。これでは〝私、生きてますよ〟と言っているだけだ。

人間関係はより希薄に

 ああ、しかし、年賀状がさらに衰退していくと、この〝私生きてます〟も定かでなくなるのだ。虚礼廃止は仕方ないとしても、人間関係はますます薄くなっていく。「今年を最後に年賀状のご挨拶をやめることにします」という案内を数人の方からいただいた。これはこれで面倒で、来年の年賀状は、こちらから出すのも遠慮した方が良さそうだ。1年後の年賀状管理で誰それさんはこのことを思い出さなければならない。

郵便局は何をしている?

 それにしても、「真っ向サービス」の郵便局はいったい何をしているのだ。数の激減に反比例して値上げするだけが取り柄か?私が生まれた頃は葉書1枚7円、昭和47年10円、昭和51年20円、昭和56年30円、平成元年41円、平成6年50円、平成26年52円、平成29年62円、そして令和元年63円だ。いったい今いくらだっけ?と半年もすれば忘れてしまうほどに葉書料金は馴染みが薄くなってしまった。

逆張りはあるか

 逆にチャンスな面もある。はがき文化が衰退し、お便りが減れば減るほど、個性的な年賀状は人の目を引く。心を込めて伝えたい人、承認欲求の強い人、商売につなげたい会社などにとって、年賀状はツールとしてまだまだバカにできない。

RIZIN33:レビュー

大晦日のRIZIN

 大晦日の格闘技ビッグイベントは格別だ。2003年にはINOKI BOM-BA-YE、PRIDE、Dynamaite!!の三大格闘技が同時開催されたこともある。その後、紆余曲折を経て、今はRIZINである。大晦日はその時点で考えられるありったけの好カードをもってくる。今回の目玉はバンタム級トーナメントの準決、決勝、および朝倉未来VS斎藤裕の再戦だ。

バンタム級トーナメント決勝

 バンタム級トーナメントは扇久保博正優勝で幕を閉じた。優勝は朝倉海と井上直樹のどちらかと誰もが思っていた。が、扇久保はその二人を準決、決勝で破っで優勝したのだから、文句のつけようがない。打・投・極、まさに格闘の総合力で勝り、最後は根性で勝ちきった。M-1優勝の錦鯉と同じく、ベテラン中年が苦労を重ね、さらに高みの域に登りつめた。朝倉海はみたび大晦日で挫折を味わったことになる。

朝倉未来VS斎藤裕

 朝倉未来VS斎藤裕の一戦はスリリングで素晴らしい内容だった。朝倉未来はYOUTUBERとして大成功している面もあるが、自分の存在意義を熟知していて、格闘家としてのハングリー精神を磨き上げている点は敬服に値する。自己制御とセルフプロデュース力の達人だ。対する斎藤裕も非常に魅力的だ。派手なことを言わず、実直に研鑽を積む。朝倉未来から過去何度もいわれなくけなされてきたにも関わらず、彼の一連の応対や態度は常に理性的だった。トップファイター同士であり、人格者同士であり、第一戦以上に緊張感のある噛み合った試合となった。結果は、あまりにも朝倉の出来が良すぎて完勝。飛び抜けた人気選手なだけに、RIZINとしても最高の結末であった。敗れた斎藤もこれで株を下げるわけではない。

八百長疑惑

 そして、シバターVS久保優太についても最後に少し触れる。半ば客寄せパンダ的に組まれた試合で、誰もが久保の圧勝を予想していたが、結果はまさかのシバター一本勝ち。しかし、年が開けて事件に発展した。今、この試合に八百長疑惑が渦巻いている。進展次第では久保優太という逸材の選手生命が絶たれるかもしれない。

今後の格闘技界のために

 以上のように、大晦日RIZINは、これぞMMAと興奮できる試合が目白押しだった一方で、スポーツ・競技では許されない暗部を秘めた大会となった。6月の天心VS武尊戦も決まって格闘技界全体が盛り上がってきたところである。粛清するべきところは粛清し、軌道修正してもらいたい。

青果物の週間情報 【2022-W1】

■週の概況 2022年第1週 1/5(水)~ 1/8(土)

【全体】

 2021年最終週は、強い寒波の襲来で物流に混乱が生じたものの、まずまず平穏な締め括りとなった。それでもせり・三つ葉といった正月需要品、大葉などの業務用野菜、地元産の蓮根などは大きく不足感が生じた。

 この年末年始、寒波の再来により降雪はありそうだが、露地野菜は順調な収穫が見込まれ、新年1月5日の初市からは、潤沢かつ安値感のあるスタートになると予想する。ただし、果菜類に多いハウス栽培ものは、重油高により加温が制限されるため、例年より出荷数量の抑えられた出だしとなる見込みだ。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、ブロッコリーは数量の減少により、価格は上がる見込みだ。白菜は安定した入荷であるものの前年と比較して少ない模様。価格は一段上げに向かうだろう。菜類では、小松菜は寒さの影響から減少傾向の為、堅調な価格推移が予想される。菌茸類では、椎茸、えのき茸は各産地より潤沢な入荷となり価格は下げに向かう。

 果菜類では、胡瓜は高知産主体の入荷。年末年始の需要も落ち着き価格は下がる見込みだ。茄子は年明けに入荷は増量し、下げに転じるだろう。大葉や茗荷は年末の引き合いも落ち着き弱気配が予想される。トマト、ミニトマトについては、重油高の影響から数量は伸び切らない状態が続く。

 根菜類では、大根、人参は安定した入荷が見込まれる。かぶらは共撰物、個人物の入荷。年末需要も落ち着き価格は下がる。馬鈴薯、玉葱は北海道産地から翌週からの入荷となる。ごぼうは安定した入荷とで、前年と比較して安値推移が続き量販に向く。

【果実】

 国内果実では、苺は、愛知産、長崎産、鹿児島産主体の入荷。クリスマス需要は終了し、価格は下がる。みかんは、長崎産は週末の販売で福岡産は隔日での販売となる。メロン類は、静岡産は生産を休む人が出ており入荷は減少傾向の為、価格は高値が続く見通しだ。福岡産の冷蔵柿やキウイフルーツは、翌週以降からの入荷スタートとなる。

 国外果実では、各品目安定した入荷となり、価格は保合で推移する見込みである。

【最後に】

 令和3年の青果物を総括すると、コロナに翻弄され業務需要は依然として不振が続き、一般野菜の巣ごもり需要もパッとせず、芋玉を除き市況低迷が長期化するなど、販売面では厳しい年だったと言える。初市は例年通り5日からとなる。

雪の元旦は美しい

新年を迎えて

 2022年、令和4年の1月1日を迎えた。30日夜からまとまった雪が降り、金沢は雪景色に覆われた。白化粧の金沢は美しく情緒にあふれる。あまりのドカ雪は困るが、この程度ならむしろ歓迎だ。

初詣&お墓参りへ

 我が家では元日早朝から初詣とお墓参りをするのが恒例である。今年は姉夫婦の家族も一緒に車2台、総勢9人で7時に家を出発した。体の不自由な母も車に乗せ、降りはしないが車中から手を合わせて気分を味わってもらう。神社5つ、お墓2箇所の行程である。

野田山墓地の厳粛さ

 平野部は何ということはなかったが、野田山の墓所に来て驚いた。雪が深い。お墓にたどり着くまでの道中、高齢の父は雪に足を取られ、何度か転んでしまった。ふかふかの雪でなんの怪我もなく幸いだったが、行って帰るのに例年の倍も時間がかかった。行ってみれば、行って良かった、となるのが初詣&お墓参りの常だ。心が洗われる。この深い雪の中、ご先祖様がひっそり眠っていらっしゃったと想像すると、不思議と清い気分になる。新年の幕開けは気持ちがいい。

今年の抱負

 昨年は何かと試練があったが、成長を実感できた年でもあった。還暦になる年だが、自分はまだまだ成長できる。今年はさらに自分を磨き、家族を守り、会社に貢献する一年にしたい。

久々の日直

役員が年末年始の日直を担当

 昨晩から積雪あり。15センチ程度で大したことはないが、雪景色の大晦日と元日になる。今年、年末年始の日直の一部を役員が担うことになった。日直とは、会社の休みに荷物を乗せたトラックが到着した際、その荷を受ける役目(荷受けという)の当番である。卸売市場は24時間365日の荷受け体制だ。休市の日は社員で交代してこの役に当たり、日中の当番を日直、夜間の当番を宿直と呼んでいる。

社員の負担軽減を意図して

 誰だって年末年始の休暇はゆっくり休みたい。せめて12月30日~1月4日の間ぐらいは、役員が日直の一部を担って、その分社員の負担を軽くしてやろうということだ。こう聞くと美談だが、9時~18時の拘束時間のうち最初の3時間だけなので、そういばれたものでもないが。

元日だけは勘弁してもらった

 私は本日31日の当番になった。我が人生のほぼすべての年で、元日の午前中は家族で初詣に行き、帰って朝食を共にしている。なので私の当番、元日だけは勘弁してくれ、それ以外だったらいつでもいいから、とお願いしてこの日になった。元日の当番さんには大変申し訳ないと思う。

昔の気持ちを思い出す

 会社のきまりでは、部長職以上の職階から宿日直当番は免除されている。日直をするのは10年ぶり以上だ。当たっていたころ、宿日直はとても嫌だった。内容云々ではなく、せっかくの休日が台無しになる感じがして、メンタル的に嫌だった。今の社員も同じだろう。今日、その気分を思い出すことができた。今回の件は元々は社長の発案だ。若手の負担を減らしたいという思いの外、我々が初心を思い出すことも想定されたのかもしれない。

さらに働きやすい環境を

 そして、新年からは少しルールを変えて、日直に当たった人は翌日に代休を取らせることにした。社員にきちんと休日を確保してもらうことは企業の経営義務である。人手が足りず厳しい状況ではあるものの、なんとかこのルールで会社を回し、社員が働きやすい環境を今以上に整備していかねばならない。

近江町は物凄い人出だが!?

本日仕事納め

 本日30日、会社は年内最終日だった。社員は午前中数時間だけ事務所内および現場の各持ち場を掃除し、正月用の飾りつけをする。それが終わると卸売市場内の仲卸業者に年末のご挨拶に伺い、早々に解散となる。今年は例年以上に早く終わり、令和3年の仕事納めとなった。

コロナ前に劣らない賑わい

 退社して近江町市場に出向いた。八百屋各位への挨拶および年末年始に必要なものの買い出しのためだ。近江町市場はもの凄い人出だった。まさに立錐の地なし。コロナ前と変わらない。昨年はもっと閑散としていた。今もオミクロン株の蔓延が懸念されているが、活気だけは完全に戻ったかのような雰囲気だった。

果物屋Aさんの話

 果物屋Aさんに挨拶する。私「すごい人やね、去年と全然違うね」。Aさん「いやあ、まだやぞいや。まず魚からやからね」。年の瀬、人々はまず魚や肉を調達し、その次が野菜、最後にくだものの順番に買い物するらしい。

果物屋Bさんの嘆き

 果物屋Bさんに挨拶する。私「すごい人やね、よかったね」。Bさん「全然。なおさらダメや。観光客ばっかで誰も買っていかんよ」。これはコロナ前にもよく言われていたことだ。大勢が観光客の場合、半数以上は物見遊山で、何割かは水産物のショッピングをする。野菜や果物を買う観光客は極めてまれだ。しかも混雑がすごいから、本来の常連客の足が逆に遠のく。賑わえば賑わうほど、青果業者の売り上げはマイナスに振れてしまうのだ。

ヤマカ水産で、次男のサッカーのかつてのチームメイトがバイトしてるのに遭遇

常連客への配慮と観光客への戦略

 こんな事態が良くないのは明らかだ。しかし観光客を止めることはできない。また止めるべきでもない。考えるべきは二つ。一つ目は常連客の足を遠のかせない工夫や知恵だ。丸八青果組合(近江町内の八百屋・果物屋で組織する組合)共通の会員制度を立ち上げ、特典を設けるなどできないか。水産業者も交え、宅配サービスを振興組合全体で事業化することはできないか。二つ目は観光客への売上増大戦略だ。観光客が買いたくなる野菜やくだものとは何か。ここにしかない商品やここでしか受けられないサービス…。焼き芋やフルーツサンドで新たなニーズが生まれたように、地元の食材を使い、その場で食べられる加工食品を製造し、それを各店舗に卸す事業が必要かもしれない。

近江町市場と金沢中央市場

 我が社の第一の使命は、地元の生産者と地元の小売業者に寄与することだ。観光都市金沢がますます発展し、賑わい続けるのであれば、近江町市場もまた潤わなければならない。ただしそこには知恵が要る。近江町市場と金沢市中央卸売市場は表裏一体と思っている。

止め市…今年を振り返る

止め市を終えて

 12月29日は止め市である。休日対応といって若干は年末年始も入荷するが、基本体にはこの日をもって市場は来年1月5日の初市まで休市となる。今年一年をざっくりと振り返る。

厳しかったこの一年

 まずは今年もコロナウイルスに振り回された一年だ。昨年は〝巣ごもり需要〟という特需があったが、今年は内食疲れが出てパッとしなかった。つまり業務需要が最悪なままで〝いいとこなし〟の状態が続いた。昨年より売り上げの少ない月がなんと10月まで連続した。大きな天候被害はなく、概ね野菜の生育は良好だったため、常に供給が需要を上回り、単価安が続いた。例外は北海道産のジャガイモと玉葱で、8月の高温干ばつと盆から続いた長雨によって生育不良に陥り、数量減の単価高となった。芋玉のみ高く、それ以外はおしなべて安値といった具合。特に人参・ダイコン・白菜といった重量野菜はこれでもかと底値を打った。昨年よりも売り上げが良くなったのはついこの前の11月からである。それも平年に比べれば大したことはない。昨年は11月から撃沈したため、昨年比ではかろうじて今年の11月、12月の方が良いだけだ。暦年結果を見れば依然として厳しい。

輸出の拡大が必要

 市況が長期低迷した背景には地球温暖化の弊害があるのではないか。気温が高まり、野菜の生育が全国的に促進される。かつては四季がはっきりと存在し、年間を通じて野菜は産地リレーをしながらつながってきたが、近年は一時にどっと出てくる。季節の間隔が希薄になっている。慢性的に供給過多の状態だ。国内マーケットで回している限り、価格の浮上は望めない。温暖化による産地リレーの消滅と慢性的供給過剰が真実とするならば、放っておいては例年同じ苦しみを繰り返す。国内産青果物はやはりもっと輸出の道を拡大していくべきだろう。卸売市場の課題は多いが、こうした販売ルートの開拓も来年の大きな目標とすべきだ。

水産部が26日(日曜日)に開市した件

12月26日に水産部のみ開市

 一昨日12月26日の日曜日、金沢市中央卸売市場では、青果部は休市とし、水産部は開市とした。俗に言う〝片肺〟である。片肺は年に数度ある。お客さんからの評判は悪い。野菜も魚も両方取り扱っている業者さんからすれば、片方だけの営業が不便なのは当然だ。だが、卸売業者には片肺にならざるを得ない事情がある。東京や大阪の巨大市場で片肺が起きれば、金沢のような中規模市場もひきずられる。東京の青果部が休みなのに、金沢が無理に開いても、肝心の荷物が集まらないのだ。

年内最終週でも青果は休んだ

 永年、12月最終週の日曜日は開市だった。世間は年末年始に1週間近く連休になるため、直前の日曜日は市場を開けないと小売業者の仕入れに支障が出るという判断だ。ところが近年、働き方改革で、お休みはできるだけきちんと取ろうという風潮が強くなった。そして今年はついに青果部門が最終日曜日を休みと決めたのである。

評価が低い水産開市

 水産部は日曜日に開市してどうだったか。関係者の方に聞いたところ「パッとしなかった、休めばよかった」という感想が大半であった。来場するお客さんが少ない、出荷を休むメーカーさんが多い、青果が休んでいるので相乗効果が見込めない、などが主な理由である。

同じ過ちを繰り返す?

 片肺の場合、たいがいはあとになって、開いた方が「やっぱり休めばよかった」と後悔しがちである。営業しても仕事がパッとしなければ開く意味がない。休市は商売にメリハリを与える意味もあり、営業日が多い=売上が伸びる という理屈にはならないのである。「もうそんな時代じゃないんだって」と水産の若手社員が嘆いていた。今回は水産が開いて失敗したが、青果が同じ過ちをすることもよくある。基本的に片肺は開いた方がバカを見る。揃って営業し、揃って休んだ方が吉。しかも、休市は多く設定したほうが求人に有利でメリット多し、というのが近年の常識になりつつある。だが、東西もバラバラ、青果水産もバラバラな状態が続いている。みな、全体最適をもっと意識すべきである。