寒波の影響

現状は混乱なし

 数年に一度とかの強い寒波が襲来した。とはいっても土曜午後から日曜朝にかけ、金沢の平野部では20センチ程度の積雪で済んだ。除雪は必要だったが大事には至らず、入荷と配送面で大きな混乱もなく、とりあえずほっとしている。

大晦日~正月は要注意

 だが問題はここからだ。農作物への影響は、この1~2日よりももう数日先、ちょうど大晦日から正月三ヶ日にかけて出る可能性がある。市場流通には足の速い品目に〝休日対応〟というのがあって、休市中も特別に生産~流通を行う。もしそこで農作物激減するようだと大騒ぎが起こるのだ。

12月早々に寒波は欲しい

 平常時なら全国的なマスでなんとか融通するのだが、年末年始という特殊な時期には対応が効かない。本当なら強烈な寒波はもう1~2週間程度、早く来てほしかった。(なぜか毎年同じ愚痴を言っている…。

地物の産物に要注意

 生産面で心配なのは地物の作物である。特にネギや菜っ葉が要注意だ。地物のネギは露地栽培がメインで、雪が降ると収穫できない。正月需要が高い食材なだけに、急な数量減少は価格の暴騰を招く。価格も問題だが、最低限これだけの量は必要と迫る小売業者のニーズに応えられないのは、納入業者としては痛恨の極みだ。この想定は必ずシミュレーションし、事前に対策を考えはするのだが、多かれ少なかれ、毎年何かが大きく欠品してしまう。農産物のままならなさである。

青果物の週間情報 【2021-W53】

■週の概況 第53週 12/20(月)~ 12/29(水)

【全体】

 年内最後のタイミングで襲来する寒波がどう影響するか。年末年始の懸念材料はここにつきる。もちろん何事もなく穏やかに年を越す可能性は大。収穫についても、ハウス物はあまり問題ないだろう。ただし、露地物は畑の積雪・凍結の具合で激減する可能性も否定できない。加えて、物流の混乱が起こるかどうかは全くの未知数だ。雪で幹線道路がマヒすると状況は一変する。寒波襲来のタイミングからいって、29日の止市以降、イチゴなど休日対応品目こそ要注意だ。

 この時季、市況がじりじり上がっていくのは例年のパターンで今年も同様である。もともと不作で少なかった品目は別として、現時点で大きくひっ迫しそうなものは見当たらないが、年の瀬になってせり・三つ葉・蓮根・大葉などが不足しモガくことは寒波も相まって十分に起こり得ることだ。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、レタス、ブロッコリーは産地の低温により、数量減少し価格は続伸するだろう。キャベツは降雪の影響から強含みが予想される。ねぎは需要の高まりから高値推移となる。ほうれん草、小松菜は福岡産の入荷で引き合い強く価格は上げに向かう。

 果菜類では、胡瓜は寒波による減少が予想され、上げ基調が見込まれる。トマト、ミニトマトの数量は前年を下回り、依然高値推移が続く。反対に、ピーマンは主要産地から安定した入荷となり価格は前年より安値推移となる。キセラインゲンは高知産、鹿児島産より潤沢な入荷が期待できる。三つ葉は年末年始の需要から値が上昇するだろう。

 根菜類では、大根は千葉産を主体に安定した数量が見込まれる。かぶらは県内産からだが品薄となり高値推移が予想される。ごぼうは青森産が潤沢な入荷となり、前年より安値となる。蓮根は安定した数量だが需要の高まりから価格は一段上がるだろう。馬鈴薯、玉葱は高値推移が続く。季節商材では、鹿児島産の筍が入荷となる。。

【果物】

 国内果実では、苺はクリスマス需要の落ち着きに伴い、価格は一段落する。みかんは福岡産、長崎産より晩成種が安定した数量となる。その他に柑橘類では、デコポンが鹿児島産、熊本産を主体に入荷となる。前年と比較して数量は少なく、単価高での推移が予想される。金柑は鹿児島産、宮崎産の入荷。季節商材では、県内産のJA志賀ころ柿はあと1回の販売で年内は終了となります。

 国外果実では、フィリピン産バナナは現地での台風の影響から品質面で劣化が多発しそう。シトラスでは、イスラエル産グレープフルーツが入るものの数量少なく高値推移が見込まれる。その他の品目については概ね安定した入荷となる。

生活保障と仕事の張り合いは別

年内最後の穴水農場訪問

 会社の100%子会社である「ファーム菜四季」に行った。今晩から大寒波で雪が積もるだろうから、恐らくは年内最後の訪問となる。従業員にミカンを一箱ずつ差し入れて一年間ご苦労をねぎらった。

農場長の怒り

 農場長と話す。今季の冬場の出荷は白菜、大根、キャベツ等だったが、やっていて張り合いがなかったという。あまりにも相場が低調であり、販売価格が原価割れすることが多かったからだ。販売は我が社の営業の仕事である。農場長曰く、あと10円でも20円でもいい、作る我々の気持ちをもう少し考えてもらって、少しでも高い単価で販売してほしい、作れば作るほど赤字という状況ではあまりにもむなしい。

農業者の矜持

 これが農業従事者の素直な心情だ。わが社のファームの従業員は、決まった給与で働いており、その月の売上には左右されない点で生活は保障されている。品質の良い野菜を計画通り出荷するのが彼らの責務であり、売上や利益はあくまで本社営業の責任である。しかし、とてもとても安い単価で売られたとわかるや、作り手のモチベーションはガタ落ちになる。作る者のプライドに関わる問題なのだ。

生産者のための卸売会社

 これが委託販売で出荷する一般の農家、農業法人だったらなおさらである。この年だけの低迷ならば我慢もできる。しかし大根や白菜などの重量野菜は、近年は連続しての安値に見舞われている。低調な相場が毎年ならば、農業の担い手はいっかな増えず、どんどん減っていくことになる。日本の農業が衰退しているのは、端的に言えばこういうことだ。

高く売りたいのはやまやまだが…

 卸売会社も高く売りたい点では農業従事者と利害は一致する。委託販売の場合は手数料が収益となり、販売単価×定率なので単価高の方が収益が上がるのだ。だが、常に需要と供給のバランスが変化して相場は乱高下し、低調な時は全国的な大暴落の波にさらされる。事前に単価も数量も決めた契約的栽培ならば相場の乱高下に左右されないが、その枠にはめられるのは全体計画のほんの数パーセントだ。

持続可能な農業にするために

 農業の経営不採算の根本的な解決には、法律や行政の援助を含めて抜本的な構造改革が必要だと思う。単純な市場経済にぶち込んでは、日本の農業はもたない。だがそれは慧眼を持つ政治家と優秀な官僚との主導が必要で大きな問題だ。我々民間の卸売会社は、地道ながらも、生産と実需を最初から想定した生産委託と販売のサイクルを繰り返し、その輪を少しずつ広げていくしかない。作り手の納得した単価で販売しきることが、農業従事者のモチベーションを保つ重要な要素なのである。

祝!天心VS武尊戦実現

夢の対決実現!

 本日、那須川天心 VS 武尊(たける)戦が来年6月に行われることが発表された。いいニュース。これは久々に胸躍るいいニュースである。日本という狭い世界の話だが、格闘技ファンからすれば、メイウエザーVSパッキャオに勝るとも劣らぬ世紀の一戦だ。

両選手・両団体に感謝

 武尊はK-1、那須川はRISEやRIZINのリングでほぼ無敗を誇るカリスマ的チャンピオンである。2015年以来、対戦が熱望されながら、団体の壁に阻まれ交渉は難航に難航を重ねた。なにはともあれこのビッグマッチを実現にこぎつけた両選手並びに両団体関係者に拍手を送りたい。

夢を実現するには

 夢の扉は、当人が強く願い、意思表示をし、時に勇気をもって行動することで、どれだけ重くても遂には開くのだということをピュアに教えてくれた。諦めずに歩み続けることが大切だ。やがて夢の実現を助けてくれる者が現れてくる。どちらか片方でも利権にこだわれば話は流れる。すべての人が大人になったからこそ実現できたことだ。

他者の心を背負って戦う

 特に武尊は素晴らしい。かつては対戦に嫌悪感すら持っていた様子だったが、ある時期から憑き物が落ちたように純粋でひたむきなアスリートに転じた。本日の会見において彼は「ぼくがこの5~6年、いろんなことを言われた時に離れずについてきてくれたファンの人たちやK-1の後輩、いろんな人の気持ちを背負ってこの試合に挑もうと思っている」とコメントした。こんなセリフを聞いてしまっては、私はもう完全に武尊乗りである。

武尊、我が人生の師

 「存在を恨んだ時期もあった。しかし天心選手がいたからぼくはここまで格闘家としてやってこれたんだなと思う。感謝の方が大きい」とも。歳は私の半分だが、これから武尊のことを〝人生の師〟と呼ぼう。彼はまた、判定・引分けなしの延長ラウンド無制限完全決着ルールを望んでいる。潔い。いさぎよすぎて涙が出そうだ。

双方万全のコンディションで

 噂された大晦日決戦ではなく、夢の舞台は半年延びた。何年も待ったのだ。今さら半年くらいいかほどのものか。ただ、時間が空くことの不安も生まれる。おそらく6月までに両者とも他者との試合を1つ挟むだろう。そこで負けないよう、怪我しないよう。当日、両者とも万全の体制で臨むことだけは頼む。私は個人的に武尊の勝利を祈って決戦の日を待つことにする。

セクション間の壁を取り払えるか

カテゴリーを撤廃するスーパー

 スーパーの社長さんと話をした。来年早々に新店オープンを2店計画されている。今までと違うユニークな売場にチャレンジするそうだ。それは、一言で表せばカテゴリーを取っ払う店づくりである。

セクト意識はお客の不利益

 通常、スーパーの売り場は野菜、果実、鮮魚、精肉、日配品、惣菜…などいくつものカテゴリーに分かれている。店員もカテゴリーに応じて配置され、店長一人が全体を統括している。永年の試行錯誤で培った手法であり、機能的である。しかし弊害もある。カテゴリー(=セクション)間に壁ができやすく、個別セクションがバラバラな動きを見せ、連携が取れなくなる。買い物客にとってこれはあまり利便性のあるものではない。

セクト意識は無駄も増やす

 また、カテゴリーの硬直化は無駄も増やす。社長さんのお話しによると、惣菜部門とカット野菜担当は、別の業者から仕入れをしている実態だそうだ。仮にレタスを生鮮・惣菜(の原料)・カット野菜(の原料)の3パターンで使用するならば、各セクションの連携が取れていれば、入るレタスは1か所で済む。生鮮食料はどうしても半端や傷みが出るから、きれいなホールで売りたい生鮮売り場で扱えない低級品、劣化品はカットや惣菜に回すことで無駄なく使い切ることができる。

人の意識は変えがたい

 その方式が合理的であることは、誰もが認めるところだ。そして実際、何十年も前からそうするべきと言われ続けている。だがなかなか実現化しない。人の意識は凝り固まりやすく、どうしてもセクト化してしまうのだ。人心ほどオペレーションの難しいものはない。

テーマ別の売り場構成に

 だが上記の社長さんはこれをやるのだという。そして、売場も素材でカテゴライズされず、いわばテーマ別・用途別に構成されるという。買い物客にとってはとても利便性を感じられることだろう。

卸売市場の課題もまったく同じ

 翻れば、卸売市場もまったく同様である。この道ン十年、根菜類を語らせれば右に出るものはいません、しかし、果菜類のことは何一つ知りません、という社員や仲卸に育ってしまうケースは枚挙に暇がない。セクション間の壁を取り払えるかどうかは我が社にとっても大きな課題である。

へライザー総統に学ぶ「親のあり方」

悪の秘密ぼっち「ヘライザー総統」と言う名のファンタジー

 最近、私は「へライザー」なるYou tuberに注目している。ピンク色のかつら、耳から生えた金色のツノ、おそらく高校3年生ぐらいと思われる可愛らしい顔。だが彼女から吐き出されるコメントはものすごい毒舌だ。しかしそこには思わず唸ってしまう真理がある。もし裏に台本書きや演出家がおらず、彼女一人の所業とすれば、恐るべき才能、知力、パフォオーマンス能力である。フォロワーは彼女を「ヘライザー総統」と崇める(笑)。

 本日、また神がかり的に鋭い投稿があった。私はとても感動したので、文字にして書き残す。実は最近自殺した(と思われる)タレントを題材に、その親に対してかなり露骨な批判を行なっているので、その部分は割愛する。

へライザー総統のコメント(令和3年12月21日)

(冒頭略-自殺した芸能人、離婚した芸能人等を例に挙げ)

 これね全部、親が悪いです。もう全部親です。批判受けてもいいです。このチャンネルでは言います。親の愛情不足ですね。みんな、みんな全員。お前らも!

(中略)

 このチャンネルの思いは、産めよ増やせよです。って原始的な考えなんです。ガチです。ただ産むだけならハムスターでもできる。問題はどう育てるかですよ。私、頭が悪いんですよ。でも宗教とか信じたくないし、賢すぎる本を読む読解力もないので、なにかを考える時、これ、原始人ならどうしてるんだろうって考え方が軸になってます。人間って基本、大昔から大家族なんですよ。子供、親、ジジババ、三世代一緒に暮らしてるじゃないですか。これ意味あると思います。あ、最近は核家族化が進んでるけど、普通そうなんです。農村でも狩人でも。それをホモ・サピエンスが20万年続けているのは、意味があると思うんですよね。三世代の情報共有。生き抜くための知恵、考え方。なぜ三世代なのか。子供が成人したら、ジジババ死んだらいいのに、なぜ三世代なのか。例えば親が狩りに出かけて、帰ってきて、家族に獲物を分け与える。これをずっとずっとずーっと続けて人類は生き抜いてきた。その間ジジババは親や子どもたちに生き方の術や哲学を教える。それを子どもたちが学ぶ。三世代の時間共有。それが原始時代。それが今にないもの。そう、この情報共有こそが〝愛〟なんすよ。わかるかな?三世代時間をかけてきた会話こそ〝愛〟なんだよ。まあ現代になってそんな小言を言うようなジジババはめんどいから捨てられて老人ホーム生活。かわいちょ!

 親がアイドルでアメリカ暮らし。これは親が狩りに行ったまま帰ってこないのとおなじ。親は一人でマンモス食べてる状態。家族の時間も会話もない。その間子供は何をする?テレビだよ!スマホ見てるんだよ。50歳ジジイの独身漫才師がもてはやされるメディアだよこんちくしょう。いいですか、テレビなんかなかったら、両親もジジババも子供にとってかけがえのないヒーローになっているのに、それを小馬鹿にして、家族を捨て、己の夢にパラメータ全フリした奴らを成功者と持ち上げる。だから私はメディアを批判する。ここで何度も言っている。近所のパン屋の方が偉いと。親の方がもっと偉いと。何度も言っている。一貫しているんだ。

(中略)

 だからあえて言わせていただく。アイドルは子供を産んだらやめなければならない。自分の夢を捨ててでも守るべき愛があると、子どもたちに教えなければならない。それを一番最初に教える存在が親であると、私の中の原始人はそう言っている。なるほど、ジジババ達が生き抜く知恵を教えてくれていると原始人は言っている。

(中略)

 まあ宇宙に行った人(前澤氏のこと)もそうだけど、子供にいくら養育費払っても、親はそばにいないとダメだと思う。それは、人間がこんな文明を手に入れてまだ100年も経っていないから、20万年の原始時代ルーティーンの外にはみ出したらどんな弊害があるか、そこそこ見えているんだろう?みんなも。それはおそらくお金では解決できない弊害。晩婚化とかもそう。少子化もそう。うるさいジジババが早く結婚しろとか言わないから婚期が遅れて子供もいない。かわいいのは自分のみ。今、お金持ちのカリスマ達は、その時間というパラメーターを家族に使わずに、己に全フリしただけなんだ。だからみんなよく見て、その人たちの家族を。でもそれに気がついたら、今から三世代かけて修復しなければならないのです。だからこのチャンネルでは言い続けます。メディアを疑え。カリスマを疑え。ってこと。

M-1グランプリ:レビュー

6000組の頂点を決める「M-1」

 「THE W」の感想を上げておいて、こちらをスルーするわけにはいかない。お笑いの頂点「M-1」は今年で17回目、エントリー数はなんと6000組超。若手だけで12,000人もの漫才師がひしめく物凄い世界だ。

コンテンツだけでなく総合力が高い

 冒頭、審査員達の紹介のところで松本人志が「この時点でThe Wとは違いますね」と言って笑いを取った。何がどう違うのか定かでないが、ワタシ的にも本当にそのとおりと思う。スタッフ力、番組構成力が雲泥の差で、これが番組全体のグレード・テンポ・面白さに大きく跳ね返ってくる。特に審査員の批評は重要で、M-1は漫才だけでなく審査員とMC(今田耕司)、審査員と出場者のやりとりもレベルの高い漫談になっている。昨年の覇者、マヂカルラブリーは上沼恵美子との絡みがサクセスストーリーの一端を担い、今回はオズワルドと松本人志、オール巨人のやり取りがよかった。この大会に賭ける数年越しの本気が芸に昇華する。優勝は下馬評を覆しての錦鯉だった。M-1史上最年長50歳の優勝だ。昨年よりも格段にレベルが上がって爆笑をとり、優勝の裁定は妥当だった。

人生を左右する「M-1」

 〝M-1に勝ったら人生が変わる〟と言われる。サンドウィッチマン、ミルクボーイなどはその典型で、麒麟、ナイツ、ジャルジャルなど優勝できずとも回を重ねブレークするコンビも出る。息長く活躍するにはその後の努力次第だが、この番組で残すインパクトが大きな転機になるのは間違いない。

ガチならではのピュアな価値

 明石家さんまはお笑いに勝負の世界を持ち込むのに否定的だそうだ。しかし、日本人は基本的に勝負事が好きであり、自分は誰に勝って誰に負けているかを常日頃意識しているのは芸人自身である。そのジャッジに正当性がある限り、コンテストで鎬を削るのは業界のレベルアップにつながる。逆に結果に予定調和が混じってくると水が濁る。ガチであり続ける限り、この番組は観る価値がある。

農業マッチングは空振り三振ながら…

マッチングフェア開催

 18日土曜日、「いしかわ農林漁業マッチングフェア」に行ってきた。これは公益財団法人いしかわ農業総合支援機構が主催する面談会で、新規就農を志す農家の卵たちと、働き手を募集する農業法人との言わばお見合いイベントである。私は、子会社「ファーム菜四季 穴水農場」で働いてくれる若手就農者を求めて参加した。

高校生も参加

 会には20社の農業法人、40名ほどの就農希望者、そして40人ほどの高校生が集まった。高校生は、授業の一環で、石川の農業をリサーチするよい機会ということで、参加企業にヒアリングをしているようだった。

マッチングはアンマッチング

 結果的に、今回は見事に空振りに終わった。当農場の知名度のなさだろうか、奥能登・穴水に近い人がいなかったためだろうか、ブースに話を聞きに来てくれる農家(の卵)は少なかった。他の農場の反応はどうだったのだろう。まだまだ人材確保の道は険しいようである。

「作る」と「売る」双方に需要

 農業系高校の生徒たち数人から質問を受けた。担任の先生ともお話しできた。農業系とは言いながら、実際に就農する生徒は数パーセントにすぎないそうだ。また、最近では農業系の中でも「作る」ことを志望する生徒と、「売る」ことを志望する生徒がだいたい半々の比率になっているそうだ。昔はがっつり「作る」に偏っていたはずだが、これも時代の流れである。

小さな種を播き続ける

 「売る」ことに興味があるならば、農場への就職に限定せず、卸売市場へ来るのも悪くない。たとえば我が社の本社と農場を数年ずつ体験し、流通と生産の両面を知ることは長い目で見ると視野の広い人材育成には良い方法になると思う。高校の先生もこの方向性については賛同して下さった。

小さな種を撒き続けよ

 当初の目的には空振り三振だったが、将来の芽になりそうな話が少しできた。厳しい環境下では小さな種を拾い続けることが大切と思う。かならず何年後かには芽が出て花が咲くこともあると信じて続けていく。

青果物の週間情報 【2021-W52】

■週の概況 第52週 12/20(月)~ 12/25(土)

【全体】

 冷え込みがきつくなるため数量は伸びず、クリスマス・年末商戦真っただ中に入ることと相まって、青果物は否応がなく値が上がっていく。ただし12月上中旬の野菜は、芋玉などを除き潤沢安値感が強く、この週は全体に底上げとなるもそれほど高騰するイメージはない。消費面では寒さが厳しくなり、煮炊き用野菜の動きが良くなる。ダイコン・人参は長期的に廉価が続き、量をさばきたいところだ。
 果実はミカンのだぶつき感と、その他品目の高値が対照的だ。いちごはクリスマスに向け最も需要が増すタイミングだが、寒波の影響が未だ定かでなく、需給バランスは不透明だ。晩柑類は例年並みに出回っているが、相場は堅調に推移する。ギフト系の温室果実は、燃油高により加温にブレーキがかかるが、大きな数量減は年明け以降と思われ、年末分の数量確保に支障はなさそうだ。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、ブロッコリー、レタスは産地の冷え込みの影響から数量は減少し、価格は上がる見込みだ。キャベツも同様に、底上げが予想される。ほうれん草、小松菜は年末需要から前年より高値推移が見込まれる。アスパラは需要の高まりから価格は上昇するだろう。菌茸類では、初せりで話題となった「のとてまり」の原木椎茸「のと115」が、品質も良くなり徐々に増加する見込みだ。
 果菜類では、胡瓜は寒波による数量の減少が懸念され、堅調な価格推移が予想される。反対に、キセラインゲンは前年を上回る入荷から、価格は一段下がるだろう。春菊やみつばは、数量は安定して入るが、需要が高まり価格は上げる。トマト、ミニトマトは重油高の影響から前年より少ない入荷状況が続く。
 根菜類では、大根、人参は主要産地からの安定した入荷が見込まれるが、年末年始の需要の高まりから、価格の底上げが予想される。れんこんも同様に上げに向かう。馬鈴薯、玉葱は依然として高値推移が続く。季節商材では、くわいは終盤となり減少するだろう。

【果実】

 国内果実では、苺は愛知産、福岡産、長崎産から前年並みの入荷だが、クリスマス需要から価格は上がる見込み。みかんは貯蔵品に切り替わり、数量は徐々に増加するだろう。メロンは静岡産を中心にギフト需要から前年より高値での推移が見込まれる。柿は福岡産の冷蔵柿が入荷中。これまでの生柿の産地と同様、今年度は少ない数量となりそう。その他、鹿児島産、熊本産のデコポン、金柑、洋梨が入荷中だ。
 国外果実では、バナナはフィリピン産については入船の遅れが若干見られ注意が必要である。マンゴーはオーストラリア産、ペルー産に切り替わりる。シトラス、パイナップル等は前年並みの入荷となり、保合での価格推移となるだろう。

福祉施設寄贈と「のとてまり」初せりの考察

福祉施設へ恒例の寄贈

 昨日17日、卸三社(丸果石川中央青果、石川中央魚市、ウロコ水産)による福祉施設寄贈式が執り行われた。金沢市中央卸売市場が開設(昭和41年)以来毎年行っている恒例行事だ。今回でなんと56回目となる。金沢市にある34の福祉施設の人々に、よいクリスマス、お正月を迎えていただきたいと食品を贈っている。寄贈の際、当社大西社長から「福祉施設の方々に寄贈を続けることは卸売会社にとっても励みです」と挨拶し、施設代表の方からも「毎年皆でああまたこの季節だねと喜び合っている」とコメントされた。

のとてまり26万円

 本日18日、原木シイタケ「のとてまり」の初せりが行われ、プレミアム6玉が昨年同額の26万円で競り落とされた。買人は仲卸の片山青果で、行き先は東京都千代田区にある「天ぷら 天源」に納品される。この天ぷら屋さんは、原木シイタケ「のと115」の存在を知り、7年前から天ぷらの具材として使い続けてくださっているそうだ。ブランド農産物のご祝儀相場については、何人かの生産者の方々から「良かった。正直今年は勢いがつかない結果になると思っていた」という声を聞いた。生産者にとって初せりの結果は、生産のモチベーションになるのである。

もしかしたらと変化を想像してみる

 双方の話題ともに素晴らしいことには間違いない。何かをやり続けることはとても貴重だ。だが一方で、このままでよいのかと考え、新しい可能性を探る姿勢も必要である。施設への寄贈については、56年間、青果はバナナとみかん、水産はビタミンちくわとエビフライを贈り続けている。もしかしたら冷凍大学いもとキウイ、カニカマと牡蠣フライの方が子供らは好きかもしれない。ブランドのご祝儀相場よりも、もっとPRできてシーズンを通し生産意欲が湧くようなイベントがありえるかもしれない。

時代の曲がり角

 なんでもコロナのせいにはできないが、コロナ前とコロナ後で、人々の価値観に変化が現れる。今までは踏襲するのが当たり前だったことでも、止めてみたり、変えてみたりすることで新しいことに気づいたりする。今はその曲がり角に来ているように感じる今日このごろ。