青果物の週間情報 【2022-W23】

■週の概況 第23週 6/6(月)~ 6/11(土)

【全体】

 春から夏への移行期で、産地切り替わりが品目ごとに完了していく。後続産地がやや遅れ気味なのが全体的な潮流だ。このため数量的には平年よりやや減少傾向で、市況は比較的堅調である。ただ、消費そのものはあまり活発でなく、天候・気温次第でどうにでも変動する〝危うい安定〟にあると言えそう。降雨曇天が続けば集荷数量が伸びず堅調な相場が続く反面、真夏日の暑さが来れば消費が止まる可能性もある。野菜でイレギュラーなのは馬鈴薯で、かつての高値は完全に過去の話。厳しい安値である。異常高値が続いた玉ねぎもかなり下がってきた。
 果実は地物の西瓜・小玉西瓜がこの週から始まり、山梨の露地桃の登場もあるかも。いよいよ夏果実のシーズン到来だ。少量高値で売り辛さのあった果実に増量かつ値ごろ感が出てくるだろう。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、ブロッコリーは県内産をメインに増量が期待される。キャベツは産地での降雨が予想され入荷不安定。葱は数量減の単価高が続くだろう。季節商材では、愛知産のとうもろこしが入ってくる。
 果菜類では、胡瓜は県内産・群馬産の入荷。東北産地は翌週に増加となる見込み。トマトは県内産がピークを迎え、価格は下がる。反対に、ミニトマトは数量が伸び切らず、強保合の展開が予想される。ピーマンは前年より潤沢な入荷となる。
 根菜類では、馬鈴薯は安定した入荷から値段はますます下がる。長芋は需要が高まり相場は上げへ。季節商材では、梅は順調な入荷で前年より安値が予想される。らっきょうは県内産が徐々に増量する見込みだ。

【果実】

 国内果実では、さくらんぼは露地作の増加に伴い安くなる見込み。西瓜は熊本産より大玉中心で潤沢な入荷となる。関東産のメロンも大玉傾向だ。福岡産ハウスみかんの入荷がスタートする。
 国外果実では、バナナは入船の乱れから入荷は不安定。ゴールドキウイは各サイズ安定した数量が見込まれる。ぶどうはチリ産をメインに前年以上の数量が期待できる。

穴水農場長、人物選定眼を語る

県外のスーパーさんをご案内

 穴水にある我が社の直営農場「ファーム菜四季」にお客様をお連れした。県外でスーパーマーケットを経営されている社長とその幹部の方々である。うちの農場との取引はまだないが、ぜひ見たいとの意向をお受けした。そのスーパーでは、生産者の活きた声が届くような売り場作りをしたいとのコンセプトがあり、うちの農場にも興味を持たれたのだ。

簡単なことを最後まできちんと

 河端農場長がいろいろ説明した中で、一同が感心した話があった。
 「人には向き不向きがあります。農業にも向いている人、向いていない人が明確に分かれます。年数や慣れとは別物です。試しに何かの作業を30分やらせてみればすぐわかります。私どもはやはり農業に適性のある人を雇わねばなりません。適性とは何か。それは当たり前のことをきちんとやり続けることです。農業でやるべきことに、それほど複雑で難しいことはありません。一つ一つはシンプルで簡単です。でも押さえるべき基本をちゃんと押さえ、それを最後までしっかり続けないと、農作物は思い通りに育ちません。私が指導しているのはそれだけです」
 これを聞いてお客様方は「やるべきことを粛々と…か。うちの従業員全員に聞かせたい話だ」と感心された。河端農場長恐るべし。なかなかの語り部である。私もこのネタは(こっそり)何かの機会で使わせてもらうことにしよう(自分の哲学のふりして)。

加賀野菜会議で講釈垂れる

金沢市農産物ブランド協会とは

 本日、加賀野菜の総本山的機関「金沢市農産物ブランド協会」の総会があった。年に一度の活動報告、収支決算、新年度予算等を決議する日だ。と真面目に書いたが、実態は堅苦しいものではなく、いわゆる〝シャンシャン〟の会である。ブランド協会は加賀野菜の認定、普及活動を行う行政(金沢市)・出荷団体(JA、生産部会)・流通業者(市場関係者)の連合体である。会長は金沢市農協の橋田組合長で、副会長が僭越ながら私が務めている。

優しさあふれる橋田会長

 橋田会長は極めて実直な方であり、きちんきちんと議事を進行された。約30分ほどで全ての議案は承認され、新年度からも協議会は心新たに加賀野菜振興に邁進することになった。「それでは議事は終了し、これから懇談に入ります。どなたか何かありますか。はい!では岡嶋さん!」と私が一切反応しないのに指名された。これは毎年の橋田会長のパフォーマンスである。私に出番を与えてくれているのだ。お陰で私は当協議会である程度の存在アピールができている。せっかくお膳立てしてくださったのだから、私も偉そうに講釈垂れるのを毎年の常としている。

垂れた講釈

 「ブランド協会では毎年知恵を絞って振興策をあれこれ新しく考え出している。大変ありがたく素晴らしいことだと思う。ただ、すべて新しいことにするのではなく、中にはバカの一つ覚えのように、毎年同じことを繰り返す活動も増やしてはどうか。毎年繰り返すことによって市民に定着することが確実にある。市場も、子どもたちへの給食やプレゼントに加賀野菜を使って好評だった。好評だったことは愚直に続ければいい。加賀野菜が成功してきたのは生産者、行政、市場、農協、小売、食べ物屋らがそれぞれ〝自分ごと〟と捉え、〝我こそは加賀野菜のサポーターなり〟を自負し、時には喧嘩もしながら応援してきたからだ。続けることで、矜持が確固たるものになる。コロナ自粛が明けて世の中に動きが戻ってきた。いよいよこれからが加賀野菜復活の時である!」

さらなる精進を誓う

 まさに講釈垂れている。お前は何様だ。文字にすると一層恥ずかしい。だが、言っていることはそれほど的外れではないと思っている。もっと見識とキャリアを積み上げ、じまんらしい(金沢弁)と思われないよう精進しようと思う。

梅干しがコロナ感染予防に効く!?

感染8割減少の報道

 日本農業新聞より。梅干しがコロナ予防に効くらしい。動物細胞を使った実験では、感染が8割減少したとのことだ。和歌山県のみなべ町と東海大学が6月1日に発表した。みなべ町が東海大学に委託して2020年から研究が開始された。みなべ町は梅の全国一の産地である。当市場にも毎年に豊富に出荷していただいている。

あくまでも研究段階だが…

 あくまで研究発表の段階で、梅干しに含まれるどの成分が感染を抑制するのかは不明である。また、猿の細胞に梅の成分を混ぜた実験であり、人に実験したわけではない。また、1日1個を食べたら予防できる可能性がある、とコメントしているようだが、あくまで「可能性がある」に過ぎない。細胞に梅の成分を混ぜるのと、普通に口から食すのではかなり内容が違う。だから「梅干しを食べれば感染しない」という表現になると明らかに言いすぎとなるので注意しなければならない。

みなべに切れ者あり

 だが、それはそれ。発表内容に偽りがあるわけではない。讃えるべきは、梅はコロナ感染対策に有効なのでは?と発想したこと、大学にその研究を委託したこと、このタイミングに発表したことである。大学に委託したみなべ町の人物は誰なのか。切れ者だ。そもそも、どういうところから梅がコロナに効くのではと発想したのか。聞いてみたい。さらに、これから梅のシーズンに入ろうとするタイミングにこれ以上ないタイムリーな発表だ。みなべ町には優秀な人材がいる。

梅の販売、消費拡大に期待

 我が社を含め、梅を販売する流通関係者は、誇大説明にならないのを注意したうえで大いにこの情報をPRすればよい。そもそも梅は健康食品として有効なのだから、消費拡大策に業界一丸となって取り組めばいい。

研究概要(日本農業新聞より)

・和歌山県みなべ町が東海大学に委託して2020年から開始。大阪河崎リハビリテーション大学と、和歌山工業高専も参加。
・梅干しの果肉から抽出した成分を新型コロナを培養した猿の細胞に混ぜて、ウイルスの感染が抑制されるか確かめた。
・武漢株、アルファ株、デルタ株、オミクロン株の4種で、ウイルスへの感染が約80%減少した。実験に使った梅干し抽出物は、梅干し1個分の成分を2リットルに溶かした濃さに当たる。
・人体での効果はまだ調べていないが、東海大学医学部教授の竹腰准教授は「毎日1粒を習慣的に食べることで予防効果が期待できるのでは」との可能性を指摘した。
・梅干しに含まれるどの成分が感染を抑制するのは不明。今後の研究となる。
・他にも、和歌山県田辺市とJA紀南でつくる紀州田辺うめ振興協議会が、今年3月、梅酢から抽出した梅ポリフェノールに感染を阻害する効果があると発表している。

映画レビュー:トップガン マーヴェリック

第1作目の思い出

 第1作の時、私は24歳。芝居に一番ハマっていたころで、成り行きで振り付けまでやっていた。トップガンの音楽はどれも名曲揃いで、特に有名なインストゥルメンタルに私は振り付けし、公演にダンサーを募集する際のオーディションの課題に使った記憶がある。第1作はとてもシンプルな映画だったが、飛行シーンの迫力、トムクルーズのカリスマ性、楽曲の素晴らしさで、何とも痺れる格好良い映画だった。

第1作の試聴は必須

 そして、36年ぶりの続編である。私はアマゾンプライムで第一作を見直してから映画館に行った。これは正解だった。第1作で死んでしまった相棒グースの息子・ルースターとのぶつかり合いが今回のテーマである。そして、第1作のテーマは親友を死なせて自信もプライドも失ったマーヴェリックが復活するのがテーマである。36年という月日(劇中の年月はそれより少ないが)を経ても第1作の肝は第2作にダイレクトに継承されている。

第1作の踏襲

 本作は、第一作の印象的なシーンを次々と踏襲する。母艦からの離着陸シーン、酒場での出会い、訓練でのドッグファイト、第1作がビーチバレーで第2作はアメフトで興じ、恋人とのデートからベッドインまではまったくの焼き直しと言って良い踏襲ぶりで笑ってしまう。そしてシチュエーションは違えどクライマックス(と思われた)爆撃ミッションのスリリングさ。悪く言えば「第1作のまんまじゃん!」という映画だ(と思われた)。

踏襲の後の真の肝

 だが、ここから先のオマケが凄かった。いやオマケというのは明らかに間違いで、ここから本作の真の肝だった。墜落脱出して、二人でF14を奪い、F14で敵の第5世代戦闘機を撃墜。弾薬切れでもうダメと思われたところにルースターのライバルが最後に救う。そしてラストまた第1作の踏襲に戻って、チームメイトの大歓声に迎えられるフィナーレだ。

同い年、トムクルーズのかっこよさ

 見終わっての感想は一言、つっこみどころは満載ながら文句なし娯楽超大作であった。 アメリカ映画らしいご都合主義(大切な人の命は何物にも代えがたいが、敵側の命は情け容赦なく奪いまくる…)はこの際目をつぶるしかない。 もうとにかくトップガンはシンプルで面白い。ひたすらトムクルーズ格好ええ!という映画なのだ。恐るべき59歳。なんと!私と同い歳ではないか。私は彼を見習って、明日からジム通いすることにしよう(笑)。

金沢名所(2)「バラ園」

寄りやすくなったバラ園

 正式名称を「金沢南総合運動公園 バラ園」という。昔(昭和59年開園)から当地は市民の人気スポットだったが、車を停める場所がなく不便だった。しかし今ではとても来やすい環境になった。隣はサッカーやラグビーによく利用される市営球技場であり、近年人工芝になって利用頻度が上がり、また、反対側のお隣はかつての市営プール場跡地で、広々とした駐車場になった。格段にアクセスが良くなったのである。
住所:金沢市富樫3丁目8-30

5月20日頃が一番良い?

 バラ園には約150品種、1,800本のバラがある。屋外の無料会場で、気楽に見て回るにはちょうど良い規模だ。ブラブラ歩くだけで楽しい。が、目を凝らすと私のようなバラに無知な者でもいろいろ発見がある。品種によって花の形、大きさ、色、匂いが様々であり、この世界の奥行と歴史を感じさせる。品種によって開花する時季、散る時季が微妙にずれているのもわかる。私が観たのは5月の終わりであり、少し遅すぎた。満開が済んで散る直前の品種が多かった。人間の女性に例えれば老婆ばかりの園である。5月の20日ごろが一番のタイミングではあるまいか。その時季なら、まだ幼い少女、美しく若い娘、百戦錬磨の熟女が一同に鑑賞できる。一般的なガイドには見ごろは5月中旬〜6月上旬とある。

バラは人名が目立つ

プリンセスアイコ

 初めて知ったことだが、品種名に人の名が使われているものがとても多い。しかも皇族が多い!バラは個人にささげられたり、何かの記念にちなんで名づけられることが多いからだそうだが、本人からの許可などを受けているのだろうか。例えば「プリンセスアイコ」。敬宮愛子内親王の2001年の誕生を記念して名付けられたそうだ。「プリンセスダイアナ」もあった。同じプリンセスでも「プリンセステンコー」があるのにはびっくりした。時々消えたり突然咲いたりするかもしれない。ヨハネ・パウロ2世、シャルル・ドゴールなんてのもあった。

人のイメージとあっていればよいが…

 名は体を表すというから、見た目の印象と名前のイメージは大事である。正直言って、このバラの名は何でこの人?と首をかしげたくなるものも多々あった。そんな中、一番いいなと思ったのが「プリンセスミチコ」である。美智子上皇后陛下の皇太子妃時代に捧げられたバラだそうだ。その気品と美しさが上皇后陛下のイメージに合っていて素敵に思えた。

プリンセスミチコ

街の文化度

 美しさ・楽しさ・面白さなどと身近に触れ合える場所がたくさんあることが街の文化度の指標になると思う。バラ園も我々の知らないところで多くの人が献身的にお世話されていることだろう。感謝しながら、これからも目を楽しませていきたい。

藤本流端唄「ふじ与会」お浚い会(第51回)

第51回で開催

 5月29日(日曜日)、藤本流端唄「ふじ与会」の第51回目のお浚い会が県立能楽堂別館で開催された。コロナで何度か開催を見送ってきたが、半年前の50回記念大会からお浚い会(発表会)を再開し、今回もごくごく限定的ながらお客さんを呼んで開いた。先日、師範に昇格された中谷良子さんのお披露目会でもあった。

男性二人目のお弟子さん

 今回から二人目の男性のお弟子さんが入会した。東京在住の吉田常孝さんで、外務省メンタルヘルス対策上席専門官という異色の経歴の方だ。まだ三味線も着物も出来ていないので、今回は唄のみ参加の初舞台だった。ゆくゆくは「人前で演奏できるように上達し、海外で日本の文化を紹介したい」という素晴らしい目標を持たれている。

品川甚句

 今回、唄は「品川甚句」にした。これは師匠藤本秀佳与先生も知らなかった曲だが、無理にお願いしてやらせてもらった。桧山梅吉のCDに収録されているのを聞いて「これは面白い!」と思ったのだ。秀佳代先生は、「原曲だけでは短くてすぐに終わってしまうから、替え歌バージョンも付け足してやりましょう」とアレンジしてくださった。感謝である。それなのに、本番では2題目の入るタイミングを思いっきり間違えてしまった。万事首尾よくとはなかなかいかないものである。

会主のお人柄あってこそ

 今回のお浚い会は家庭の事情もあって稽古時間が本当に短かった。一時は不参加も考えたが今となればやって良かった。そして着付けでは大先輩の上高さんに大変お世話になった。お仲間もいい方々ばかりだし、お客さんがとても優しい。その理由は、大元をたどれば会主のお人柄に尽きると思う。やはり会や組織の風土や発展はトップに立つ方がの人となりが一番肝心だ。今回も素敵な会であった。次回以降も楽しみである。

青果物の週間情報 【2022-W22】

■週の概況 第22週 5/30(月)~ 6/4(土)

【全体】

 暑い日が多くなってきましたが、野菜はここまでは出方が鈍い日が続いている。産地切り替わりのタイミングが平年より1週間~10日ほど遅くなっており、多くの品目で出荷の谷間で数量が少なめなのが原因だ。寒い時季の雪解けが遅く、その後は干ばつ等で生育が進まず、東北を中心とする後続産地が出遅れている。したがって相場もこの時季としては比較的底固く、大きなナヤミに入っている品目はない。消費は一般売りはあまり活発ではないものの、業務筋においては昨年より戻ってきた感がある。
 果実では、サクランボや桃など初夏に売り場を賑わす商材がボリュームを増してくるが、盛りとなるのは6月第2週以降になりそうだ。この週はその前段階で物量は物足りず、全体に中途半場な品ぞろえとなり、やや売りづらさが残るかもしれない。
 青果物の相場は前年に比べれば高いが平年比では平準であり、生鮮以外の食品が軒並み値上げしていることに比べれば、販売アピールをしやすい環境だ。積極的な販売展開が期待される。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、レタス・ブロッコリーは生育遅れから、前年を下回る数量となる。キャベツの値段は下がるが、数量は日々ばらつきがある。アスパラは国内産をメインに数量は安定し、前年より安値となる。ほうれん草は主要産地の増加で価格は下げる。
 果菜類では、胡瓜は県内産・群馬産中心となり、引き合いが強く値段は上がるだろう。ミニトマトは数量が伸びず価格の底上げが予想される。トマトや茄子は概ね順調だが、前年より量はまだ少ない。キセラインゲンは産地梅雨入りのため減少し強含みが予想される。週後半には富山産のにらがスタートする。
 根菜類では、大根は減少するが、需要期を外れ価格は下がる。馬鈴薯は順調で、前年より数量増の単価安となり販売拡大が可能だ。玉葱は主要産地の数量は前年並みだが、価格は依然として高値推移となる。季節商材では、和歌山産の梅が入荷中です。生育遅れから小玉中心の入荷が予想される。

【果実】

 国内果実では、さくらんぼは作型が切り替わり、翌週以降には回復に向かう。西瓜は熊本産の潤沢な入荷が続くだろう。メロン類では、関東産・愛知産のアンデス系、赤肉系が順調な入荷で増量するが、静岡産のアールス系は微減となる見込みだ。季節商材ではぶどうが始まり山梨産のシャインマスカットや大阪産のデラウェアが入荷中だ。
 国外果実では、キウイフルーツは順調に入荷し、引き合いも強く価格は前年より高値となる。アボガドはメキシコ産に加えてペルー産がスタートする。バナナ、シトラス3品、チェリーは依然として高値推移が続く。

らっきょうの手間暇

旬の食材「らっきょう」

洗いらっきょうのせり風景

 写真は、個人出荷者による「らっきょう」である。らっきょうのうち、「洗いらっきょう」と呼ぶもので、生産者が手作業で先端とお尻の部分を切り取り、外皮を1枚剥いて、薄い塩水につける。当市場では昔から1袋2㎏入りの規格でご出荷いただいている。品質に大きく差が出る商品なので全量せり販売だ。高値と安値では3倍以上の値の開きが出ることもある。

土付きらっきょうと洗いらっきょう

土付らっきょう

 らっきょうは写真のような形で収穫されるのが第一段階である。当市場では「土付きらっきょう」という品名で扱い、生産者はこのまま出荷してもよい。だが、それだと値段は安価である。そこにひと手間ふた手間かけて1枚目の写真のように塩水付けにして出すことで価格を大きく上げることができる。これが「洗いらっきょう」だ。

洗いらっきょう

品質基準

 「洗いらっきょう」のいいものとはどういうのか。いろいろな要素があって、目利きの八百屋は細かくチェックする。教えてもらったポイントをざっと上げる。
①粒の小さいものの方が値が高い。
手間暇を考えればこれは妥当性がある。2㎏が同じなら、小粒なものほど個数はかさみ、手間にかかる労力と時間は跳ね上がる。そこをしっかり値段で評価してやらねば、小粒は割に合わないものになってしまう。
②色は白いものがよい。
だがこれは技術的にはなかなか難しくて、塩水の濃度によって色の具合が変わってくるのだ。黄色味の強いものは塩分濃度が濃い。その分、たな持ちが良くなる。対して、塩分濃度が低いと白い色を残しやすい。だが、その分たな持ちが悪くなる。ある程度はたな持ちが良く、色も白く残るギリギリのラインはどこかを見定める必要がある。
③切除部分が少ない
土付きラッキョウは頭とお尻部分をちょきんと切られ、外皮を1枚はいで塩水につける。その切る部分が少しであればあるだけ良い。多ければ、最悪、中身が抜けてしまうことがある。だが、切取り部分が小さければ小さいほど作業は難しく時間もかかることになる。

継続のために

 この「土付き」から「洗い」にする工程があまりにも手間がかかるので、今では高齢の生産者が数名いるだけになってしまった。この方々が続けられなくなると、もしかしたら地物のらっきょうの文化は廃れてしまうかもしれない。初夏の食卓を彩る日本の食文化だけに、なんとか担い手を確保し、継続していきたいものである。

マスク無しを当たり前に

マスクの新しい基本方針

 政府が、新型コロナウイルスの基本的対処方針で、マスク着用の基準をゆるやかに変更した。例えば、学校における体育の授業では、室内、屋外にかかわらず、マスクはつけなくてもよくなった。休み時間の外遊びも不要だ。また、登下校時は、会話を控えるという条件付きで、マスクを外すよう〝に積極的に声をかける〟こととした。

はずしていこうのメッセージ

 〝積極的に声をかける〟という文言が一歩踏み込んでいる。マスクなしを薦めるというニュアンスだ。結局、今のコロナウイルスは弱毒性となり、罹患人数はそれなりに多いが、感染しても重症化することがほとんどない。もう心配せずに普通の生活に戻していこう、でも一気ではなく、できるところからやんわりね、という政府のメッセージと思う。

マスク無しを当たり前に

 現時点では、市中でマスクを付けずに歩くのはまだ気が引ける。白い目で見られる風潮は根強い。今回の学校における変更を機に、願わくばマスクなしが当たり前の社会に戻ってほしい。着用に慣れてしまい、むしろマスクありが自然…という声は確かにあるが、宗教的な理由もなく顔をマスクで隠す風潮はやはり異常だ。特に今は、感染リスクよりも人の目を恐れてマスクを付け続けているのが本当のところだと思う。マスクは対人関係を薄くし、社会の活力を奪う。怯える必要のない敵に過剰に装備することはない。