青果物の週間情報 【2021-W46】

■週の概況 第46週 11/8(月)~ 11/13(土)

【全体】

 毎年11月第2週以降、石川県の食の関心は蟹一色になる。特に今年は〝輝〟ブランドがスタートし、ルビーロマンに比肩するご祝儀相場が出るかもしれなし。反面、青果物の業界は残念ながら静かになり、動きが止ってしまうのが例年のパターンだ。ただ、今季はコロナが収まって人々の外出ムードは高まっており、業務野菜を中心に回復傾向が見られる。また、この週は冷え込みがきつくなり、煮炊き商材の需要が高まる。特にきのこ類は面白味があり、質・量ともに回復を見せた地物の松茸がこの週も続く。さらに原木なめこ、しばたけなど自然きのこ類もそれなりに量が出回るだろう。
 果実は早生種のみかんを中心にりんご・柿が定番品ながら、りんごは長野県産の不作で全体的に市況を押し上げ、地物の柿は霜害や炭疽病の影響から数量の大きな減少が目立っている。

【野菜】

葉茎洋菜類では、ブロッコリーは県内産を主体に価格は下げに向かう。キャベツは、茨城産と愛知産の生育遅れから数量が伸びず、価格は底上げするだろう。菜類では、ほうれん草は産地切り替わりで安定した入荷となり、価格の一段下げを見る。アスパラはメキシコ産からの潤沢な入荷が続く。菌茸類では、えのきは単価安だったが需要の高まりから価格が底上げするだろう。
 果菜類では、トマトは数量が回復するが、愛知産は前年を下回る入荷となる。ピーマンは高知産、鹿児島産の潤沢な数量と安値基調から売場の拡大が期待できる。大葉や茗荷等は飲食店等の業務需要増加の影響もあり堅調な価格推移が予想される。
 根菜類では、大根は千葉みどりからの入荷がスタートし、肥大良好で安定した数量が期待できるのに加え、県内では志賀町からの入荷を見る。源助大根は、播種の狭間も終わり数量は回復する見込みだ。かぶはJA金沢市から、人参は小松市からの入荷が始まる。ごぼうは青森産の秋堀物がピークを迎え潤沢な数量が期待できる。反対に、たまねぎは数量が少なく高値推移が続きそう。季節商材の百合根は小玉傾向ながらも安定した入荷となる。

【果実】

 国内果実では、みかんは、福岡産、長崎産を主体に愛媛産より安定した数量が見込まれる。柿は能登地区のさわし柿で霜害が出ており、前年を若干下回る量だ。反対に、高松紋平柿は潤沢な入荷が続く。苺は愛知産の章姫がスタート。前年と比較して前倒し傾向での入荷となる。巨峰、シャインマスカットは長野産が終盤の為、数量は減少し価格は上げに転じる。その他のぶどう類では、岡山産のコールマン、紫苑を入荷する。
 国外果実では、アメリカ産の赤系、緑系のぶどうの需要が高まっているが、生育遅れから数量の確保が厳しい。その他の品目は安定しており、価格は保合が予想される。

恐るべき県民割

県民向け県内旅行応援事業

 いわゆる〝県民割〟の破壊力がすごい。正式名称「県民向け県内旅行応援事業」。GoToトラベル代替の地域観光事業だ。緊急事態宣言やまん延防止措置で一旦凍結されていたが、それが解除されるにおよび石川県でも10月8日から復活した。石川県の場合、宿泊旅行および日帰り旅行が対象で、1人1回あたり最大5,000円を上限に旅行代金の半額が補助され、飲食店や土産店などの地域で使える「石川県観光クーポン」が1人1回あたり最大2,000円分付与される。

五感にごちそう金沢

 「五感にごちそう金沢」との合わせ技でさらに破壊力は上がる。金沢市内の宿泊施設または旅行代理店が企画した飲食店での食事と宿泊がセットになったプランでやはり10,000円につき半額相当が割引になる。

旅行会社の特別プラン

 旅行会社と飲食店が知恵を出しあってさらに爆発力が出た。両者が提携し、食に特化した「特別プラン」を提案。宿泊することを条件に、料亭の2万円相当の料理が支払い実額1万円で利用できる。しかも宿泊費込み、別に2000円のクーポンがもらえるのだ。旅行会社のチラシには〝職場仲間との会食に〟〝ご接待に!〟〝ご家族の外食に〟〝忘年会に!〟と堂々とうたっているから、別に旅行と意気込む必要はない。

WIN-WIN

 このお得感は半端でない。特にこの時期、和食割烹では蟹料理が大人気となるから、20000円程度の料理が半額以下で食べられるとあっては使わない手はない。飲食店は、これでワンランク上の料理が注文される場合が多く、大いなるメリットがある。旅行会社は手数料を得てもちろん売り上げ増になる。宿泊施設ももちろん収益増だ。11月に入って目に見えるほどに人の動きが出てきた。会社でも来客・出張が急増している。仕事がらみの会食で使っても大いに利用価値がある。接待の用途が増えると、旅行のイメージから離れるが、地域の経済活性化に寄与することでOKのようだ。

こちらもギアチェンジを

 宿、人気料理屋の予約が取れにくくなっているのは既報のとおりだ。需要は間違いなく増えている。生産縮小した社会で、一気にV字回復せんとする社会に対応できるか。こちらも仕事のギアをチェンジしなければならない。

スーパー特売における利益管理について

特売の利益管理

 スーパーマーケットが特売を組むのは日常茶飯事である。他の店よりも安く売る目玉商品を設定し、チラシに載せることで多くの集客を狙う。該当する商品の利益管理は以下のいずれかか、もしくはミックスになる。
①単純に他社より売価を下げる。つまり小幅な利益か、赤字で販売する。
②仕入先に協力を求め、仕入値を下げてもらう。

仕入と納入の関係性

 ①だけならば、仕入先(納入業者)にとって負担はない。だが実際は②も併せて行われるケースがほとんどだ。その場合、納入業者側も小幅な利益で我慢することとなり、ひどいときは赤字を被ることになる。かといって納入業者はおいそれと断れない。断るとそのスーパーとの取引が終わってしまう危険性があるからだ。仕入値の値引きがスーパー側から高圧的に要請されるようだと〝優越的地位の乱用〟とか〝バイイングパワー〟と表現する。

納入業者の負担大

 スーパー(小売)が特売を組む場合、私はまず第一に小売側が利益を圧縮するのが筋だと思う。特売は集客するのが目的だ。特売品でお客を(言葉は悪いが)釣り、〝ついで買い〟をしてもらうことで帳尻を合わす。他の品目で利益を確保するのだ。もし特売品のダンピングの差損を納入業者にだけ負担させれば、小売側は特売品でしこたま利益を得ることになる。小売からすればこんなおいしい話はなく、納入業者からすればこんな辛い話はない。だが結構こういうケースが多いのが実態である。

単品管理でなく複眼的商談を

 適正利潤を確保することは商売の常道だ。だが特売品目だけを見れば、上記のように利益を得られない場合が少なくない。納入側こそが、知恵を働かせ、その他の品目で帳尻を合わす営業をするべきである。集客が功を奏し、たくさんの人が来る。そこで通常品目をしっかりと納入しておくことで、特売品の損をカバーする。そのためには、小売側への協力において、複眼的な商談で取引する姿勢が重要だ。間違っても小売側仕入担当
VS 納入側品目担当 の1対1対決に終わってはいけない。

チーム力の強化、個人商店からの脱却

 言い換えれば、チームで当たるか、できる社員に多品目を持たせるかであり、人材難の時代を考えれば、後者より前者で対応する組織改革をするべきである。卸売市場は品目別の個人商店のような体質が根強い。この体質からの脱却を本当に早く実現しなければならない。

あるかV字回復

金沢の人出はかなり回復

 最近、金沢はすごい。国内観光客やの話しだ。コロナ第5波が収まり、緊急事態宣言、まん延防止処置が解け、人の移動が自由に戻った。ほんのしばらくは様子見の感じだったが、ここにきてグンと人通りが増えた。経済対策による「県民割り」も大人気で、石川県民が石川県内の観光施設・宿泊、食事処で大きな割引きを受けられる。今やホテルや人気の店は予約が取れない状況だ。

外食産業のV字回復

 コロナ拡大期には、外食産業は9割減の売上減を喫した。これが元に戻るならば10倍、つまり1000%になる。外食産業がV字回復になるならば、その一歩前の我々流通業者も、業務向けは急上昇しなければならない。

市場、後手を踏むべからず

 卸売市場流通の弱みは、急激な社会変化で後手を踏むところである。コロナで業務用野菜が大きく減産。しかし植物栽培は、急な回復は無理である。結果、相場の高騰と欠品を繰り返すことになる。

今から対応を

 第6派が必ず来るから、安穏とはしていられないと警告する声もある。だが、ワクチン接種がかなり進んだから、以前のような危機的状況に陥る可能性は低い。だとすれば、業務用需要のV字回復への対応は、今の内から機敏に仕掛けておかねばならない。

TVレビュー:おかえりモネ

朝ドラ史上、屈指の名作

 NHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」が10月29日に最終回を迎えた。雰囲気的に地味、暗い、重い印象で視聴率は苦戦したようだ。だが、個人的に、この作品は朝ドラ史上屈指の名作だと思っている。

優れた脚本、一貫したテーマ性

 高評価の理由はひとえに脚本の優秀さだ。テーマは一貫していて、しかもスッキリ美しい。災害で心に受けた大きな傷。大切な妹や友人との絆にもひびが入る。無力に打ちのめされる自分。そこからドラマは、繊細な心情を、とてもシンプルなストーリで紡ぐ。主人公・百音(ももね=モネ)は、「海の街」宮城県・気仙沼に生まれ育ち、「森の街」宮城県・登米で働き、「空の世界」気象予報士を目指し東京へ旅立つ。そこで何がしか、人の力になれる自分、心を開き人と触れ合える自分を実感する。

海、山、空、水

海、山、空はすべてが水で繋がっている。水は海から空に上って雲となり、山にぶつかって雨を降らす。雨は森を潤し川になって海に戻る。すべて巡り巡って回り続けるサイクルだ。モネにとって、海は故郷、山や森は最初の社会、空は夢を抱いての新天地の象徴だ。モネ自身は世界を巡っていく〝水〟である。そして最後は、得た知識、智慧、経験、情熱をもって故郷に帰る。そのラストを第一話からしっかり見据えた上でのタイトル「おかえりモネ」である。脚本を手がけた安達奈緒子氏の力量は物凄い。

橋を渡ってきた

 登場人物から出るセリフは、平易ながら胸に迫る。
「お姉ちゃん、津波、見てないもんね」
「山は、水を介して空とつながっています、海もそうです。海と山を知っているのなら、空のことも知るべきです」
「どうして自分で行かないの?また言うの?何もできなかったって。あの時いなかった思いに押しつぶされてきたのは誰ですか」
そしてモネは竜巻被害をあった故郷に帰って言うのだ。
「橋を渡ってきた」
このシーンが本ドラマのクライマックスだ。モネが呪縛から解き放たれる瞬間である。こんなにいいセリフはなかなかお目にかかれない。

東日本大震災と「おかえりモネ」

 東日本大震災においては、未だにPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ人々が多くいる。3.11は作り手にとっても非常にリスキーな題材だ。その点、「おかえりモネ」は人の心と真摯に向き合い、極めてデリケートに扱った。静かに、重く、何度も揺れ動く感情の波を丹念に描いた。役者の演技体にもそれは表れ、主人公・モネ(百音)を演じた清原果耶は吐息のようなセリフ回しが多かった。演技もセリフも抑えに抑える。これは、脚本家・演出家・役者がみな相当に覚悟しないとできない。

愛着が湧くからこそ

 「おかえりモネ」は素晴らしいドラマだったが、一つ難を言えば、最終回は淡泊すぎた。いいドラマは、脇役にも愛着を感じる。ポンと時間が飛んで、コロナ禍が終息した現代で菅波と再会して終わったが、少々物足りない。ほんの1分の尺でいいので、家族、同級生、登米の人々、東京の人々の〝今〟を見たかった。宇田川さんにも(正体ばらしまでは求めないから)絵を描いている様子を確認したかった。この物語は、主人公に限らず、多くの人が呪縛から解き放たれることがモチーフだったからだ。

次作は「カムカムエヴリバディ」

11月から朝ドラは「カムカムエヴリバディ」となる。祖母・母・娘3代に渡る3人ヒロインだ。半年で3世代を描くならばかなりスピーディーな展開になるだろう。「モネ」を引き継ぐもう一人の「モネ」こと上白石萌音。深津絵里にはずれなし。川栄李奈はなぜかNHKに愛されている女優だ。第一話を見る限りはコテコテの朝ドラ王道路線。脚本は「ちりとてちん(朝ドラ)」「平清盛(大河ドラマ)」の藤本有紀である。この脚本家も小さくはまとまらない。新作にも大いに期待が持てる。

金沢マラソン2021

2年ぶりの金沢マラソン

 10月31日(日曜日)は、金沢マラソンが開催された日でもあった。昨年はコロナ禍で中止となり、2年ぶりである。参加者は13000人から10000人に縮小、スタートエリアの拡大、沿道での応援自粛を要請するなど、コロナ対策を徹底された。それでも〝本当に決行されるのか〟とつい1ヶ月前まではみな半信半疑だった。実現に向け、組織委員会事務局は大いに苦労されたことだろう。そのご努力にまずは感謝申し上げる。結果的に、このマラソン大会は街を元気にしてくれた。1万人のランナーのうち、県外者が6割を占め、街中は人出で賑わった。自粛とはいっても沿道の応援者はそれなりに出ており、皆笑顔で声援を送っていた。これでもし2週間後に金沢で陽性反応者が激増すればまた問題だが、そうでなければ大会開催は大きな成功と言える。

個人的には地獄を見る

 さて、私は一昨年に続き、6回目(皆勤賞!)の参加を果たした。昨年のオンライン大会の賞品で「優先出走権」という1等賞に相当する権利が当たって労せずの参加である。コロナ禍でも月間100kmは走って来たし、ここ2か月間で20km、30kmといったロング走も何度かこなした。練習量としてはまあまあの部類だ。完走は問題なかろう、タイムは走ってみての調子次第…と気負いなく臨んだ。しかし結果は散々だった。今思えば、前半を飛ばしすぎた。1kmあたり平均5分30秒。2年前と同じペースではあったが、今年は実力が伴っていなかった。28km地点で限界となり、一気にスローダウン。その後は歩いてはちょっと走り、また歩いては…というひどい状況となった。本当は、歩いてしまっては〝マラソン〟とは言えない。だが、ゴール地点にたどり着くか棄権するかは天と地の差であり、足が痙攣して傷みを抱えながらもなんとか完走(完歩)だけは果たした。タイムは4時間38分46秒だった。

来年への対策

 3年前か4年前も似たような経過で途中から潰れた。それに懲りて、翌年はトレーニングを増やし自己ベストとなった。マラソンは失敗した時の方が体が苦しく、時間も長く、ダメージも深い。来年に向けての具体的な対策として、以下記録しておく。
①暫くは月間100km程度でよしとし、3ヶ月前からは月間200kmの距離を踏む
②2ヶ月前~2週間前までに30kmロング走、20kmロング走をそれぞれ4回程度こなす。
③インターバル走、ペース走、ビルドアップ走も取り入れる。(今回はこれが全くできておらず、強い足が作られなかったと思われる)
④レース時の体重を58キロに絞る。1kgあたり3分のタイム短縮とよく言われる。
⑤当日の朝、食べ過ぎない。(今年は食パン1枚、ご飯1杯、もち3個食べてレース中、吐きそうになった)
⑥上記トレーニングをこなした上で、前半はkm5分台中ごろをキープし、後半余力を残す。

祝 松本尚君当選!

松本尚代議士の誕生

 小中高の同級生である松本尚君が、このたびの衆議院議員選挙で千葉13区から立候補し、見事に勝利、当選を果たした。(立候補の経緯や彼の政治信条については、4月22日、7月28日のブログに詳しい。)ドクターヘリなど、現代の救急医療における最先端を構築してきた立役者である。東日本大震災やコロナ禍の矢面に立ち、災害に対する安全保障体制を再構築すべきと、医療から政治への道に転出した。

接戦を制す

 選挙は水ものだ。政策、思想、信条、人柄をほとんど理解していない一般市民何万人から支持を得なくてはならない。千葉13区は対立候補も強力だった。最後の最後まで接戦、激戦と言われた。千葉から遠く離れた石川からは何もしてやれなかった。せいぜいが鎌ヶ谷市や柏市などにわずかにいる知人をつたってお願いするだけ。もどかしい日々が続いた。しかし、幸いにも当確が出て心から安堵した。結果は10万票を超えて獲得し、対立候補の復活当然も阻む堂々とした勝利だった。本当に、彼の一からの草の根活動が市民に届いたと言うほかない。彼自身はもちろんながら、それを支えたスタッフにも感謝の気持ちで一杯である。

怠慢だった私

 〝何もしてやれなかった〟と書いたが、それは言い訳にすぎない。同じ同級生である市川君や中島君は、はるばる選挙事務所に応援も行ったし、当選した際には一緒に万歳三唱もやっている。私は怠慢だっただけだ。恥じ入るばかりである。

彼は必ず仕事をする

 とにかく当選してくれてよかった。彼は必ずや仕事をする。大多数の政治家と違い、明確な目的意識があるからだ。日本の医療体制の立て直しだ。大いに力を振るってもらいたい。

青果物の週間情報 【2021-W45】

■週の概況 第45週 11/1(月)~ 11/6(土)

【全体】

 野菜は全体に秋冬産地への切り替えが一層進み、果菜類を中心に出荷の谷間に入り、数量が減少する品目が多い見通しだ。重油高の影響もあって、施設栽培物を中心に上げ基調なのは確か。ただし消費に今一つ勢いがなく、相場が急騰するまでには至らない。前週跳ねたほうれん草も、この週は徐々に落ち着くだろう。野菜の消費促進のためにはもう一段の冷え込みを期待したいところ。また、天気が良すぎるほど良いので、この時季、露地で採れる野菜は生育がよく、家庭菜園の出来が非常に好調である。郡部に行くほど店頭での野菜販売が苦戦する傾向が出る。
 果実は、三本柱のうち、ミカンのだぶつき、柿とりんごの品不足が目立つ。ミカンは未だ極早生の残量のために早生のスムーズな流通にブレーキがかかりがちだ。柿は霜や炭疽病等の影響で全国的に作況悪く、和歌山県産の早い切り上がりもあって品薄単価高である。地物・紋平柿は幸いにして被害少なく、好単価好回転が期待される。りんごは長野県産の不作により青森県産の引き合い強く、りんご全体の市況を押し上げている。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、ブロッコリーは冷え込みの影響から数量の伸びは期待できない。レタスは兵庫産メインとなり安定した入荷が見込まる。キャベツは上げ予想だが、前年と比較するとまだ安価な水準だ。アスパラはメキシコ産がピークを迎え潤沢な入荷が見込まれる。きのこ類では、しいたけ、しめじは安定した数量が入るだろう。えのきは需要の増加から価格の底上げが予想される。松茸は県内産の生育環境が向上しているものの数量の増加は期待できない。
 果菜類では、茄子は四国・九州産地の冷え込みの影響から数量は少なく価格は上げる。トマトは前週同様に減少が続き高値推移の見込みだ。ピーマンは前年を上回る潤沢な入荷で、安値基調が継続する。
 根菜類では、源助大根は安定した数量が期待できる。かぶは県内産個人物が徐々に増加する見込み。人参は北海道産の終了により価格の底上げを見せる。ごぼうは青森産の秋堀物が潤沢な入荷。玉葱は減少傾向が続き、昨年を大きく上回る高値推移となる。季節商材である百合根は週後半より道内JAからまとまったロットを入荷する。

【果実】

 国内果実では、みかんは福岡産、長崎産の入荷。北原早生は終盤へ向かう。柿は岐阜、奈良産の富有柿がスタートする。先週より販売が始まった紋平柿は週3回の販売。柿は全国的に前年を若干下回る数量が予想される。りんごは青森産、長野産の入荷となり、前年と比較して高値推移となる。苺は愛知産が週後半からスタートする予定で、9月の高温の影響から平年より前倒しの開始となる。その他、山形産の洋梨は安定した数量が見込まれ、季節商材として富山産の干し柿、茨城産の栗を入荷する。
 国外果では、バナナがフィリピン産・南米産主体で、前年を下回る安値から底上げが予想される。

金城大学短大で就職講和

企業人講和

 昨日、午後より金城大学短期大学部の1年生110名を対象に「企業人講和」なる話をしてきた。短大生は年明けから早くも就職活動が始まる。学生さんが企業の人事役職担当から、専門科目内容を学ぶ心構え、求められる人物像、業界における就活のポイントを聞く機会とする授業だ。なぜか私が「フードビジネス業界」の代表としてご指名を受けた。金城さんには恩義がある。私で良ければ、と引き受けさせていただいた。20分間の講和である。そこで私は、「求められる人物像」として、〝仕事に楽しさを見いだせる人〟〝人を幸せにしたいと思う人〟の二点を挙げた。さらに、就職前の準備として、〝出汁から料理を作ってみる〟〝自分で大枚はたいて、一流料亭に食べに行く〟を挙げた。

仕事に楽しさを見いだせる人

 アドラー心理学に触れてから思うようになった価値観だ。自分探しをしても自分なんてみつからない。そもそも空っぽに近い自分にとって、私に合う職業なんてあるはずがない。一方、万人が楽しいと感じ、万人がつまらないと感じる仕事もない。価値観、感じ方は人それぞれだ。よって、〝楽しい仕事を探し出そう〟としても失敗する場合が多い。必要なのは、どんな仕事であれ、〝仕事の中から楽しさを見いだせる感性〟だ。それができる人間なら、極論、どの職業についてもやっていけるし、そういうセンスこそが大事なのである。

人を幸せにしたいと思う人

 そもそも人はなぜ仕事をしなければならないのか。生活のため、すなわちお金のためか。ならば、宝くじで3億円当たり、一生遊んで暮らせれば人は仕事をせずに生きていけるのか。残念ながら、お金だけでは幸せになれない。自分が社会に役に立っている、もっと具体的には、誰かを幸せにできていると実感できたとき、人は途方もない充実感を得るのだ。

出汁から料理を作る

 金沢に生まれ育ち、フードビジネスに身を投じたいのならば、日本料理の真髄に挑んでみよう。その基本中の基本であり最も奥が深いものは〝出汁(だし)〟だ。特に昆布と鰹節を使うのは日本ならではだ。煮干、椎茸も含め、日本料理の出汁は多種多様で、合わせることで無限のバリエーションを持つ。今はもちろん駆け出しでも、見よう身まねでやってみることを勧める。全く駄目だ、意外と行ける…結果はともかく、何かを感じることができるだろう。

一流料亭に食べにいく

 〝出汁から作る〟と根っこは同じである。せっかく金沢にいるのなら、一流に触れること。そのために身銭を切ることが大事だ。普段は安いもの、全国一律のもので済ませていればよいが、1~2ヶ月に1度は、アルバイトで溜めたお金3万円ぐらいを握りしめて、一流料亭に食べに行くことをお勧めする。その味、風味、しつらえ、盛り付けを体感することで磨かれるものがある。

紋平、一本太のダブルせり

ダブルせり

 本時10月29日、石川県産農産物「高松紋平柿」と「加賀一本太ねぎ」の同時初売り日となり、場所と時間を少々違えてダブルせり販売を行った。紋平柿は「かほく市高松地区」の特産品であり、全国でもここにしかないオリジナル品種、大して一本太ねぎは加賀野菜15品目に認定されているブランド農産物である。

豪華な来賓

 せりには関係者が多数詰めかけた。特に紋平柿のほうはかほく市の油野和一郎市長を筆頭に西川組合長(JAいしかわかほく)ら、一本太ねぎは金沢市の山野之義市長、藪野部会長らである。

ご祝儀相場のあるなし

 せり結果はやや対比的な結果となった。紋平柿にはご祝儀価格が付き、桐箱入り6玉が10万円となった。対する一本太ねぎは秀品で2000円。これはご祝儀ではなく、ごくごく一般的な価格である。せりは買う側のご好意が反映されるものであり、ご祝儀がつくとニュース性が出て盛り上がるが、その価格の高低がそのまま価値を示すものではない。だから、一本太ねぎが2000円だったからといって、一本ねぎの価値が低いわけでは決してない。一本太ねぎは煮物にするとその食味の良さが初めてわかる極めておいしいねぎだ。

モチベーションを持ってもらうために

 ただし、祝儀値がつかないのにもそれなりの理由がある。一本太ねぎは見た目は普通のねぎと全く変わらない。よってそこでの差別化が図れない。生産規模も問題で、11戸が0.26haで、シーズン700箱しか生産しない希少品目だ。幻のような存在で、一般市民の人が認知できていないのだ。そうした背景があっても、ご祝儀相場がつかない。生産者にとっては張り合いがなく、モチベーションが上がらない面があろう。市場流通者としては何とか打開策を考えたいと思うところだ。